メルセデス・ベンツ Eクラス セダン 「薫る伝統、驚きの未来感」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
5
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
5
燃費
5
価格
3

薫る伝統、驚きの未来感

2024.5.24

年式
2024年2月〜モデル
総評
新型Eクラスは、これまで「Eクラス」と聞いて思い浮かべてきたような重厚感や物々しい雰囲気とは違って、ハンドリングには素直さが、乗り味には軽やかさが強まり、若々しい雰囲気が感じられます。しかもE200でも市街地や高速道路などで減速を最適化するアジリティコントロールが標準装備され、上級モデルにはエアサスが用意されるなど、シーンに応じた快適な走りが味わえるのも魅力的。進化したMBUXなどで先進のコネクテッド機能も手に入り、伝統と未来が同時に手に入るモデルとなっています。
満足している点
高額なオプションとなりますが、助手席の前まで一面のディスプレイとなり、走行中も同乗者が好きなメディアを楽しめる「MBUXスーパースクリーン」をはじめ、音楽に合わせてイルミネーションやシート振動が律動する機能など、まだ他では体験できない先進装備が満載。これまでEクラスはなんでもSクラスから降りてくる装備、というイメージがありましたが、若年層にも満足できるプレミアムセダンに仕上げていると感じます。その一方で、運転席に座った時のAピラーの傾斜などメルセデス・ベンツのセダンの伝統的なポジションを感じられるところも残っているのが老舗らしいところです。
不満な点
乗り心地の面でステーションワゴンと比べると、カーブでの後輪の接地感やギャップを乗り越えた時のいなし方など、なぜかステーションワゴンの方がしっとりと落ち着いているように感じました。後席に座ったり荷物を積んだりすればまた変わるのかもしれませんが、素の状態でそう感じられたのが少し残念です。
デザイン

5

大きな路線変更はないですが、大きなスリーポインテッドスターが中心に置かれた3Dデザイングリルは、先進的なイメージとEクラスらしい威厳を併せ持つ魅力的なフロントマスクを形成しています。Sクラスのようにつるんとした面ではなく、しっかりとキャラクターラインが見えるサイドパネルや、個性的に光るテールランプも印象的です。
走行性能

4

乗り味に関してはやや好き嫌いが分かれそうな印象です。昔ながらのドッシリとした重厚感や穏やかな操作感を期待すると、ちょっと軽いと感じそう。電動化されたことも関わっていると思いますが、出足からスーッと軽やかで、欲しいところで瞬時に加速してくれます。ガソリンモデルは官能的というよりは、全般的にちょっとビジネスライクな感じもしますが、素直な乗り味に仕上がっていて誰でも運転しやすいと思います。低速でのトルクがあるので市街地のストップ&ゴーでもストレスなく、上質感が増したように感じるのはディーゼルモデル。こちらも好みが分かれそうです。
乗り心地

4

試乗車がまだ慣らし途中の新車だったこともあって、低速(50km/hくらいまで)ではドタバタとする場面もありましたが、高速道路で80km/hくらいに達すると穏やかで落ち着いた乗り心地が感じられました。静粛性に関しては超一級。後席との会話も小声で済みます。慣らしが済んで馴染んでくれば、後席の乗り心地もフラットでしなやかになることと思います。
積載性

5

奥行きたっぷりで深さもある540Lの大容量トランク。トランクリッドがほぼ90度まで開くことと、自動開閉機能があるので使いやすいと思います。サイドにはちょっとした小物を入れておけるネットもあり、折りたたみ傘くらいは入りそう。後席が4:2:4分割で倒せるので、4人乗車でも長尺物を積むことができます。高さのある荷物は難しいですが、横長の荷物は積みやすいはずです。
燃費

5

ガソリンモデルのE200でカタログ燃費は14.3km/L(WLTCモード)と、このクラスのセダンとしては標準的。ISGによるエンジンの始動・休止がこちらにはわからないくらいスムーズなので、普通に運転しているだけでストレスなくエコドライブができてしまうところがいいですね。PHEVのカタログ燃費は12.6km/Lなんですが、頻繁に充電することで賢く燃料を節約。デフォルトの走行モードがEVモードなので電気から優先して使ってくれます。
価格

3

ベースグレードでもお値段約900万円からということで、永遠のライバルBMW5シリーズが約800万円からということを考えると、高いと言わざるを得ません。ただ、PHEVが1000万円を切るのはバリュー価格だと思います。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
メルセデス・ベンツ Eクラス セダン 新型・現行モデル

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