マツダ ロードスターRF 「上質なGTに向けて舵をきったRF3型」のユーザーレビュー

zato787 zato787さん

マツダ ロードスターRF

グレード:RS(MT_2.0) 2018年式

乗車形式:試乗

評価

5

走行性能
-
乗り心地
-
燃費
-
デザイン
-
積載性
-
価格
-

上質なGTに向けて舵をきったRF3型

2018.8.31

総評
上質さを向上させて、よりGT的な快適性の向上に舵を切った3型のRFに乗ると、頭の中にNTN社の多部ちゃんのCMフェーズが浮かぶ。(なんて滑らか~♪というやつ)1,2型は3型に比べるとがさつな回り方だが、熱心に走って、幌と同じように自分もスポーツカーなのだとある種の無理をしてるところが、けなげでかわいかったのだが、3型はエンジンから振動と雑音を取り除き、高回転でパワーを発揮し、室内に振動が入ってこないようにDMFをつけて静かな車内空間を作ろうとした。 足回りはブッシュも、リアのバネも柔らかくなり、もう誰もリアの突き上げがーとは言わなくなった。 最新のアテンザやCX-5に乗ると、マツダが目指したい上質さが何かは理解できるし、これまでのRFはその方向から大分ずれていたことも理解できる。中山雅氏は、RFをもっとGT的に、長時間乗って遠くに行くことがより快適な空間を作りたかったのだろう。 それに賛同する人には、良い改良だったと言える。

1,2型と3型の間には、大きな差がある。工業製品としての精度も違うし、エンジンは全くの別物だと言ってよい。マツダのディーラーによれば、1型を3型に買い替えるには、約200万円の追い金がいるという。(2型は年式は新しくとも、追い金の額は1型と大して変わらない模様)少なくとも、マツダは旧型を買った人に対して何の救済措置も取るつもりはないし、今後の年次改良でもそういう措置はない。86/BRZには改定用のキットが用意されたこともあるが、これはむしろレアなケースだろう。(長く販売店とつきあっているユーザーには特別値引きとして、初めて買う人よりは少し値引きされるくらいだが、これは販売店側の配慮であってマツダの配慮ではない)こうしたマツダの販売に対する態度が、今までマツダのスポーツカーを買ってきた顧客にネガティブに捉えられている点は理解できるが、それを怖がっていたら、思い切った年次改良はできないだろう。


 ロードスターRF(3型)

NDロードスターは、この先もまだ5年くらいは作り続けるので、今後も進化を続けていく。モデルライフが長いならば、最新のロードスターが最良のロードスターであってほしい。 ユーザは、欲しいと思った時に買うべきであり、将来の改良を待って買わずにいたら、ロードスターに限らず、マツダのクルマを買うことはできなくなるだろう。 ロードスターは、買わずに批判するのではなく、購入して乗って楽しんで価値を示すクルマである。特にこのクルマは実用車ではなく、乗って楽しいから乗ってるスポーツカーなのだからだ。最良のロードスターが、常に未来にあるのならば、一生買わないか、欲しいと思った時に買うかのどちらかだ。モデルライフが長い故に、初期型を購入して何年も楽しんだあと、熟成された後期型の乗り換えるという楽しみ方もある。

もう一つの付き合い方は、自分のクルマをどんどんアップデートしていくことだ。新エンジンが欲しいのなら、自分のRFにそれを搭載することを考えるのも、またロードスターの楽しみ方の一つである。ロードスターのショップには、高い技術と熱い思いを持ったショップがたくさんあり、メーカーが量産してくれた様々なパーツを思いもよらない方法で組み合わせて、ユーザーに提供してくれる。私の2型には既に3型のテレスコ機能が搭載され、早速新パーツの恩恵を受けている。


こうした大きな改定を他のメーカーができないのは、多くのメーカーは、「既存のお客様の気持ち」を慮っているからだ。マツダが顧客の気持ちを慮ってないなんてことはなく、より良いクルマに改良を続けることこそが、お客様の笑顔に通じると考えている。

初期型のロードスターRFに何か変化があったわけではない。旅行の荷物を積み、2名乗車で東北へと自動車旅行にでかけ、山間の歴史のある古民家の宿に泊まり、素晴らしい食事を頂く。その旅の友となる、ロードスターRFは、やはり楽しいクルマであった。それは1型、2型、3型の区別などなく、同様に楽しい時間を提供してくれるスポーツカーだ。 自分の好みにモディファイしたクルマで、大切な人と共に旅ができる、それはロードスターに共通に変わらず与えられた楽しみであり、それをより素晴らしくするために、ロードスターRFが大きく成長していくことを支持したい。



 旅に出たロードスターRF

満足している点
新RFの改良の注目点といえば、新エンジンがどんなフィーリングなのかであろう。エンジンの変更点については、既にブログで記載した通りなので、パーツごとの説明はしないが、中山氏が述べている通り、パワー向上を狙ったものではなく、「上質さ」を狙ったものだと言う通り、このエンジンはムービングパーツが軽く、各部品のフリクションが小さいことが明らかなエンジンで、クゥゥゥンと濁音と振動の無い音を発して回る。物理的な振動も雑音も小さく、キャビンに入ってくる音は大幅に小さくなった。 アイドリング中に1,2型ではミッションのノブが軽く震えていたが、3型ではミッションのノブには振動はない。この振動低減と雑音低減は、DMFの効果が大きいが、エンジン単体が発する音も、アイドリングレベルでも、雑音がなくなった静かなものになっている。 音の質は、マツダの4気筒の音だが、抵抗がなく、すーっと回っている感覚は他のマツダのエンジンにはないし、86/BRZに積まれるエンジンが粗野に感じるほど滑らかにスムースに回っていく。


 軽量化されたムービングパーツが効いている

 マツダの人が、RFの既存ユーザからしばしばお叱りをうけると述べていたが、1,2型のユーザーがこのエンジンに乗ったら、OHVとDOHC、もしくは、アテンザの新2.5ガソリンと175馬力の旧2.2ディーゼルくらいの回転時のスムースネスの違いを感じてしまうわけで、「何で最初からこのエンジンにしないの」と言う気持ちを持つのもわからないではない。



 新KYACTIV-G 2.0ユニット。
出力は26ps向上、トルク0.5kgm向上し、最大回転数は700rpm引き上げられた。
 ハイカム化して高回転の出力を向上させても、
低速、中速トルクが落ち込まないことが特長。


 さて、巷の試乗評価では褒めっぱなしの新エンジンだが、問題も残っている。 エンジンの回転域を1000~3000回転の低速域、3000~5000の中速域、5000~7500の高回転域にわける。 低回転域は、高性能エンジンなのに、低速トルクは同様に維持されていて、明確な欠点はないが、低速域のエキマニへの背圧の変化の影響を受けるためか、回転上昇と降下の速度は、旧エンジンよりも遅い。MTに装着されるDMFの効果により、AT的にトルク変動を吸収する機能により、発生トルク自体は安定しているが、回転上昇速度は同等かそれ以下で、回転降下速度は旧型よりいくらか劣る。低回転域では、変速に支障があるほどではないが、気になる変化ではある。 問題は、3000回転~5000回転の中速域で、特に3500回転を中心とした領域での回転の上下で、DMF特有の慣性マスの変化を感じる。スナッチが発生することはないが、レスポンス速度が可変して、レスポンスに谷が生まれてしまう。一気に3000回転あたりから5000回転へと回すとその変化を感じにくいが、3000回転~4000回転の間を使っていると気になると思う。



 DMF(ドュアルマスフライホイール)


 5000回転~7500回転の高回転領域はすばらしい。振動も雑音もなく、1.5に似通った音を立てて7500回転まですぱっと回るし、5000回転以上ではパワーの盛り上がりが気持ちが良い。2速、3速といったギアで5000回転前後を使うと、滑らかだけどパワフルという、満足感のあるエンジンパワーを味わうことができる。公差が少なく、ムービングパーツが軽い、ハイカムのエンジンのそれであり、買ってよかったと思う一瞬だと思う。 パワーもしっかり出ている感じで、184馬力というOUTPUTが掛け値なしに出ているだろうと感じられた。 マフラーの音は残念な感じで、なぜ魅力的な音を全部吸収してしまうようなしょぼい音のマフラーにするのだろうかと疑問に思うが、1年くらいで、新しいマフラーが出てくると思うので、気に入らない人は好みのマフラーに変えるといいだろう。特に、高回転でいい音が出るサクラムの新マフラーに期待したい。

乗り出しで410万円~450万円くらいのレンジで、2シータのスポーツカー的なGTが欲しいというニーズにはぴったり合うし、もっとスポーツカー的な味わいにしたいと言う人は、脚回りやマフラーを自分なりに変えていけば、自分が満足する一台になると思う。ようやく価格に見合うスポーツカーになったという見方をする人が増えて、RFの販売が伸びることを期待したい。




 バランスされたクランクシャフト


不満な点
ほとんどない。
しかし、ATはMTに比べると楽しみで一歩劣る点については変わりはない。確かに、3型になってATは、シフトプログラムが改良されて、エンジン特性とのマッチングがよくなり、旧型より低速、中速、高速のいずれでもより快適に走るようになった。しかし、SkyActiveではないので、変速速度やタイミングはもう一つのところがたくさんある。 新ATの「SPORTS」プログラムは積極的に中回転~高回転を使える設定になるので、ATでも高回転エンジンを楽しめないことはない。 それでも、3型RFの高回転領域を使って走るという楽しみの点から、依然としてATはお勧めではない。

なお、1,2型で問題になっていた、変速時に回転数が上がって、変速時にぎくしゃくする問題は解決している。(「ロードスターRF商品改良における、ATの問題の修正」参照)

見掛け上、「これはなあ」と思うのが、リアバンパーに設けられたセンサーの穴である。写真でみても、がっつりでっかい穴が開いているので、気になる人はいるだろう。しかし、ロードスターのいいところは、こうした「これは直したい」というパーツについて、大抵の場合、「何とかした物」が出てくるので、それほど心配しなくてもいいと思う。


 リアバンパーの穴


 クルコンは、今や珍しい昔からある速度固定タイプで、自分で巡航走行ができる人にとっては、欲しいかと言えば、それほど欲しくはない装備である。サポカーの装備(自動衝突防止機能)は、他のマツダのクルマの機能に比べると最低レベルではあるけれど、いざという時に守ってくれるケースもあると思うから、あった方が良い装備だと思う。 なお、サポカーの仕組みを組み込んだために、車高が変更できなくなるかもしれない、という噂はあるが、まだ各ディーラーとも対応をはっきりさせてはいない状況で、どうなるのか心配な点だ。
デザイン

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走行性能

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全国の多くのマツダディーラーに配備が進んでいるRFの試乗車は、VS系のATモデルが多い物の、県に数台は、MTモデル(RSが多いようだ)も配備されており、マツダのHPから予約すれば乗ることができる。ディーラーによっては、「ちょっと回るだけ」の試乗コースになっている所もあるので、試乗するならば、今回の新エンジンが体感できるようなコース、自動車専用道路や、60km/h制限の道路などを含むルートを選んで、試乗してほしい。


 ロードスターRF(3型)RSでもツートンカラーが選べるようになった

3型(製造番号が30万番台から始まる)のRFは、S、VS, RSの間に大きな違いがなくなり、走行性能自体に大きな差がなくなったと言っていいだろう。3型のRFは足回りに使っているブッシュをより柔らかなブッシュに変更した。それに合わせて、RSも足回りはバネレートを下げるチューニングをしているようだ。 RFはNDロードスターの課題である、「フロント剛性の低さ」をそのままにした上にリアセクションが相対的に剛性が高くなるために、幌よりもアンダーステア傾向が強い。1,2型までのRSはそれでもバネレートとダンパーの衰滅力をSやVSより高めていたのだが、3型ではブッシュの設定に合わせて、特にリア側のバネレートを落としてきた。その結果、フル加速時にはリアがスクオートしてしまうし、ハードコーナリングでバンプラバーに当たるケースが増えるチューニングになった。 これは、以前から指摘されていた、バンプラバーに当たるあたりから、特にフロントのロール剛性が非線形に変化するという問題(某メーカー出身の自動車評論家の方が述べていたこと)が緩和されている。 リアのスプリングレートが下がったことで、RSは一般道での乗り心地もVSと比較して固いと感じることもなくなり、平滑な直線道路における乗り心地は向上している。


 輸出専用だったタン色がVSの革内装色として選べる


ステアリングフィールは、テレスコが装着されても剛性やフィーリングに変化はない。シートポジションは、前後2~3ノッチ、リクライニング2ノッチくらいの余裕がでるため、脚を基準に合わせても手の位置をぴったり合わせられる点が素晴らしい。このパーツは1,2型にも装着可能(ディーラーではつけてくれないが)であるので、興味がある人は一度3型を試乗して、対応してくれるショップと相談すると良いと思う。

コーナーリングは、前述のとおり、脚の設定が少し柔らかくなって、RSは左右へのヨーの発生タイミングがわずかに遅くなったが、公道の制限速度の範囲では、ロードスターRFが持っているニュートラル感は3型でも同じだ。リアのヨー発生速度がいくらか遅くなったことで、フロントのヨー発生速度とバランスが取れたので、ボディ補強をして前後のヨー発生速度を調整しなくても良くなった。 全体的にリアセクションの反応速度を落とすことで、前後のバランスを取る方法は、私の好みではないけれど、このクルマを買おうと思っている層にはあったチューニングだと思う

ブレーキは問題なく効くので、ここは何も変わっていないと思う。 ブレーキフィーリング等にも特に大きな差を感じなかった。ミッションは、何度も改良が入り、想像するに、3型ではミッションオイルの粘性が変わったのかな、という手ごたえで、1,2型よりもミッションのひっかかりフィールが小さくなったように感じられた。


エンジン以外の走行性能に関しては、大きな変化はなく、ブッシュとリアバネを柔らかくして、「上質」さを求めたのかもしれない。もっと、スポーツしたい人は、RSは買わずに、SかVSを買って、ブッシュやバンプラバーを含めて、自分好みの脚に置き換えていった方が良い。
乗り心地

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積載性

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燃費

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価格

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故障経験

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