レクサス LBX 「レクサス最小のコンパクトSUVモデル」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

3

デザイン
4
走行性能
3
乗り心地
3
積載性
3
燃費
4
価格
3

レクサス最小のコンパクトSUVモデル

2024.2.28

年式
2023年11月〜モデル
総評
スニーカーをイメージしたというレクサスの最小SUV。ただし、最小といってもサイズがものすごく小さいわけではなく4190×1825×1545mmのスリーサイズが与えられた。搭載エンジンからも想像がつくように、ベースとなったのはヤリスクロスだ。しかし単にボディを変更しただけではなく、プラットフォーム各部を補強し、前後のトレッドも拡大した。サスペンションはLBX専用にジオメトリーも変更され骨太に。乗り味はまったく別物だ。
満足している点
日本の道路環境で扱いやすいボディサイズ、なんといってもこれだろう。そこにレクサスが大事にしてきたおもてなしの数々、そして上質な素材がおごられたインテリアデザインが加わる。全高が1545mmに抑えられている点も、都市部の立体駐車場を使うユーザーからすればありがたい。パワートレーンも、速くて燃費性能に優れると定評のある直列3気筒1.5Lハイブリッドシステムで統一。FFのほか後輪独立モーター駆動のE-Fourも用意する。
不満な点
走行性能は高いが、乗り味は終始、骨太だ。人によっては硬めと感じるかもしれない。ただ、速度域によらずビシッとした走りっぷりなので車格が上がったかのような印象だ。開発陣いわく「スニーカーのような気軽さと、上質さを融合させた」というが、それが乗り味として若干硬めに感じられるのかもしれない。一方で、動力性能としては不足ないものの、全体的にゆとりが少なめ。レクサスらしい”余裕”を求める人には物足りないか。
デザイン

4

画像で確認するより実車は数倍、かっこいい。コンパクトにまとめられているが、抑揚がしっかりとつけられていて、光の具合によっては彫りの深さも助長される。“小さな高級車”という言葉があるが、デザインの上では確かに小さな高級車だ。インテリアにしても物理スイッチが煩雑な配置にならないよう工夫がなされてるし、色合いも上質。このあたりはまさにレクサス。電磁式のドアオープン機構は見た目だけでなく、クラスレスで所有欲が満たされる。
走行性能

3

直列3気筒1.5Lハイブリッドが生み出すシステム出力は136PSと必要にして十分なスペック。車両重量は最大でも1400kgだから絶対的な加速性能も不足なし。ただFFモデルの場合、発進時に割と高めのエンジン回転域を常用するため、エンジンサウンドが耳についた。この点、E-Fourの場合は後輪モーター(6PS/52N・m)のアシストがあるため、相対的に前輪で駆動するハイブリッドシステムの負荷が減り、低いエンジン回転域で発進する。
乗り心地

3

市街地走行では「3」としたが、高速領域では4以上。速度を高めるごとに突き上げは減り、安定感に変化するからだ。この現象は駆動方式によらないが、比較すれば後軸荷重の増えるE-Fourが有利だ。これは同門のヤリスクロスでも感じられた傾向だが、LBXではサスペンションのジオメトリーを専用設計にするなど大きな変更を加えている。加えてリヤサスのトーションビーム式はE-Fourになるとダブルウイッシュボーン式になるため、こうした特性でも有利だ。
積載性

3

さすがにここはボディサイズによるところが大きく、必要最低限のサイズだ。5名乗車時の最大容量は310Lで、2名乗車時では695L。リヤシートは分割可倒式で使い勝手は良好だ。シートの造りはしっかりしていて座り心地も良く、倒す際や戻す際にもそれほど力を要しない。機構はシンプルなシングルフォールディング式だ。リヤゲートは挟み込み防止機能を備える電動開閉式を採用する。
燃費

4

WLTC値ではFFが27.7km/L、E-Fourが26.2km/L。筆者はFFとE-Fourでそれぞれ試乗した。短時間であったものの、FFが市街地で25.2km/L、E-Fourが都市高速道路で23.6km/Lと、カタログ値のほぼ90%台を記録した。長距離試乗を行わなければ確証は得られないが、ゆとりが不足気味な走行特性の上から判断するに、FFモデルは丁寧な乗り方(ゆるやかなアクセル操作)をするほど燃費数値が伸びるだろう。
価格

3

460万円とボトムグレードの価格はレクサス基準からすればリーズナブルだ。しかし、それこそ上質な室内空間を手に入れたくなると「Bespoke Build(ビスポークビルド)」(550万円〜)パッケージがほしくなる。そうなると格上のNX(455万円〜)なども視野に入ってくる。もっともLBXは都市部でも取り回しが良いコンパクトなボディサイズもセールスポイントなので、サイズと価格をどのように天秤にかけるかによって評価がわかれる。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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