レクサス IS F 「和製スーパースポーツセダンの雄」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

和製スーパースポーツセダンの雄

2021.10.29

年式

2007年10月〜モデル

総評

和製BMW M3といっても過言ではないその走りは、質感も走りもかなり刺激的で面白い。それでいて普段は涼しい顔をして街乗りをイージードライブできるなど、マルチプレイヤーな側面があるところも魅力的。4名乗車となるが、それでも良いという人にはオススメの一台ではないだろうか？

満足している点

IS-Fの魅力は何といっても走りだ。ATしか存在しないにも関わらず、まるでMTモデルのようなダイレクト感を実現。シフトのアップダウンも電光石火の勢いで心地良い。また、V8が生み出す爽快なエンジンサウンドもたまらない。エンジン始動時にはわざと燃料を噴いて始動音を轟かせるという演出もあり、街乗りから刺激的だ。

不満な点

2009年モデル以前のクルマは前述した通りトルセンLSDが装着されておらず、スポーツ走行をするとすぐにイン側のホイールがホイールスピンを始めてしまい、そこを電子制御が抑え込むことでギクシャクとした動きになってしまうことが多かった。スポーツ走行をやってみたいと考えるのであれば、断然2010モデル以降のものを選択すべきだ。

デザイン

5

フロントバンパー、ボンネット、前後フェンダー、リアバンパーなどを専用部品とすることで、ISをベースとしながらもボリューム感のあるエクステリアを実現しているところがこのクルマの魅力のひとつ。V8エンジンを押し込むために拡大したバンパーやボンネット、ワイドタイヤを装着するために必要だったフェンダーは機能美に溢れている。

走行性能

5

423馬力を誇るV8ユニットが生み出すパワーを、いとも簡単に、そしてダイレクトに伝えてくれる8速ATを搭載。一方でブレンボ製ブレーキを奢るなどストッピングパワーにも気を遣ったところはさすが。2010年モデルからトルセンLSDが加わりトラクション性能が向上したことで、FRらしいスロットルでの挙動変化を愉しむことも可能になった。

乗り心地

3

走りに振ったFのエンブレムを持つため、足回りはかなり引き締められたものに。レクサスだから乗り心地が優れると思っている方々からすれば拍子抜けするかもしれない。だが、フラットな路面であれば路面に吸い付くように走る。いずれにしても、高速巡行状態にターゲットを絞った設定であると考えたほうが良いだろう。

積載性

3

テンパータイヤが収められていることから深さはそれほどないが、奥行きはまずまずのラゲッジスペース。トランクスルーはアームレスト部分のみとなっているため、長尺モノを搭載することは難しいだろう。このクラスのFRセダンとしては一般的なレベル。その分、リアのオーバーハングがなく運動性に優れるのだから許せるところだ。

燃費

3

モード燃費は8.1km/Lとなっているが、実のところ走り方でかなり変化するのがハイパワー車の宿命といっていい。街乗りでは悪ければ5km/L台、拘束では12〜14km/L以上走ることもあるという。2〜8速までロックアップ機構を持つことでダイレクトにも走れるし、無駄もない。さらにD4-Sによる燃料噴射でエコにも振舞うこともできる。その二面性が良いところだ。

価格

4

新車価格は700万円半ばからのスタートだったが、後にチューニングモデルは1000万円オーバーのものも存在。結果として中古車市場はかなりの幅で存在しており、100万円台のものもチラホラ出現するようになってきた。一方で最高価格はおよそ700万円近い。だが、上も下も内容からすればリーズナブルに感じる。