ジープ ラングラー 「悪天候さえも楽しめる最強のオフローダー」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

悪天候さえも楽しめる最強のオフローダー

2022.1.17

年式

2018年11月〜モデル

総評

極悪路をものともしない実力は世界中から評価されている。スタックひとつが命取りになるような環境では非常に心強い存在になる。ただ、日常走行での快適性はそれほど高くない。最近はマシになったが、脱着式のルーフパネルは水漏れがあったり、車内もそれなりに騒がしい。購入される際は本格的なオフローダーであることを意識して頂きたい。

満足している点

悪路を走らせるという目的が明確であることから、用途に合致したユーザーからすればこの上ない伴侶になる。たしかにルビコンで体験できる極悪路での走破性能は抜群に高く、それだけで手に入れたくなる。また、往年のJeep「WILLYS」に由来するスタイルも所有欲を大きく満たしてくれる。

不満な点

クルマをファッションとして考えるユーザーには向いていない。手を焼くことになるからだ。通常の使い勝手が悪いわけではないし、事実ちゃんと使えるが、なにせ本格的なオフローダーなので取り回しは悪く（最小回転半径は6.2ｍ）、タイヤにしても大径で交換ともなると高価だ。人気車種ゆえに、盗難の心配もつきまとう。

デザイン

5

だれもが思い描くJeepらしいデザイン。大径タイヤが四隅に張り出した独特のスタイルに憧れる人は世界中に多い。日本におけるJeepブランドのなかで販売台数でNO1がこのラングラーである。3ドアとロングホイールベース版の5ドアがあり、それぞれに極悪路での走破性能を高めた「ルビコン」（3ドアは導入終了）の設定がある。

走行性能

5

V型6気筒3.6L（284PS／35.4kgf・m）と直列4気筒2.0Lターボ（272PS／40.8kgf・m）の2タイプ。数値の上では2.0Lターボの最大トルクが魅力的だが、悪路で多用する極低回転域の実用トルクは3.6Lが上。4WDのローモードで走行するシーンでは1000〜1200回転あたりのトルクに走破性能が左右されるためだ。

乗り心地

5

本格的に荒れた路面を走行するために作られたので、偏平率70〜75％の大径オールテレーンタイヤでの舗装路走行は安定感が薄い。しかし、ぬかるみなど路面条件が悪くなると本領発揮。長いホイールストロークをもったサスペンションとの組み合わせにより、ゴロゴロとした岩場を通過しても車内は至って快適。まるで砂利道を走らせているようだ。

積載性

3

無骨なデザインながら、ボクシーであることから車内はそれなりに広い。また、シートアレンジも複数可能なので、大きな荷物も難なく飲み込む。ただし、本格的なオフローダーなので床面が高く、重い荷物を積載するには工夫が必要だ。各部に収納スペースがあるものの、容量は大きくない。荷物は小分けにした鞄に収納して持ち込むのがベスト。

燃費

4

オフロード向けのギヤ比、前面投影面積の大きなボディ、抵抗の大きなオールテレインタイヤなど、悪化する条件ばかりが重なるが、WLTC値では3.6Lが9.0km/L、2.0Lターボが10.0km/Lと想像よりも良い。2.0Lターボの高速巡航燃費は筆者による実測値12.0km/L台と良好だった。レギュラーガソリン指定という点も地味にありがたい。

価格

3

"2021年12月17日現在、2.0ｌターボモデルのみ価格が発表されていて、現状のラインアップは「サハラ」（7,040,000円）、「ルビコン」（7,430,000円）。唯一無二の世界に近く、ほぼ指名買いとなるラングラー。さらに中古車価格も安定しており、下取り価格も高めで推移している。本国との価格差（3万ドル台）も気になるが……。"