ジープ アベンジャー 「小さくてもEVでもちゃんとジープ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
5
走行性能
5
乗り心地
4
積載性
4
燃費
3
価格
4

小さくてもEVでもちゃんとジープ

2024.11.26

年式
2024年9月〜モデル
総評
ヤリスクロスより80mm短い全長というコンパクトなサイズで、最小回転半径が5.3mという小回り性能も含め、とても快適で楽しく運転しやすいBEV。しかもFFなのにジープらしい走破性を発揮できるセレクテレインが装備されたり、6つの走行モードを備えているコンパクトSUV、しかもBEVというのはアベンジャーだけ。雪道や未舗装路などを走ったら、もっともっとジープ本来の魅力が体感できるのだろうと思います。デザインのあちこちに隠れジープがあったりという遊び心も最高です。
満足している点
収納スペースが多く、ダッシュボードの下や大型のセンターコンソール部分、ドアポケットなど、容量としては合計26Lにもなる収納力は嬉しい限り。とくに、センターコンソールの収納はワイヤレスチャージャーも兼ねており、USBや12V電源ソケットも備わって使いやすそうです。シングル世代でもファミリーでも、室内がすっきりと片付けられるのは魅力的。
不満な点
シフト操作がセンターコンソールに横並びのボタンで選択するタイプになっています。最初は慣れず、ブラインド操作も難しいので好き嫌いが分かれるのではないでしょうか。ただ、突起物がなくなったことですっきりとしたインパネになり、収納が大きくとれ、室内もより広々とした空間にできるというメリットがあることも確かです。
デザイン

5

伝統の「7スロットグリル」はヘッドランプよりも前に出る配置となっており、万が一の衝撃からヘッドライトを守るためというのがジープらしいところ。ボンネットから続くサイドのベルトラインはほぼ水平にリアへと続き、車両感覚のつかみやすさや死角の少なさに貢献しています。リアには、レネゲードから譲り受けた米軍のジェリー缶をモチーフとした「X」のデザインが特徴的なテールランプを採用。この「X」をカモフラージュデザインに仕立てた「X-camo」がアベンジャー独自のモチーフとしてあちこちに使われていて、隠れジープや隠れキャラがフロントグリルやフロントウインドウ、テールゲートなどに散りばめられる遊び心もとても楽しい演出です。
走行性能

5

54kWhのバッテリーを車両下部に搭載し、156ps/270Nmのパフォーマンスと一充電航続距離486km(WLTCモード)を達成しているアベンジャー。FFで、1570kgという車重はBEVとしてはそれほど重くないせいなのか、発進から軽快な加速フィールです。全体的に、オフロードでの操作を視野に入れた懐の深さも感じさせる、おおらかなフィーリングが好印象でした。ドライブモードは「ノーマル」「エコ」「スポーツ」「スノー」「マッド」「サンド」といった6つの走行モードがあり、「ノーマル」「エコ」「スポーツ」は驚くほど変わるというわけではないものの、スポーツを選ぶと首都高のくねくねとしたカーブでメリハリのある走りが楽しめました。
乗り心地

4

路面の継ぎ目でゴツンとはくるもののうまく収め、市街地の舗装の悪いところやマンホールなどでも不快な衝撃は抑えられていると感じます。後席は座面がやや短めで、ドリンクホルダーやセンターアームレストがないのが残念なところ。乗り心地も前席の快適さよりはゴツゴツとした感覚が強めになるものの、おおむね快適でした。
積載性

4

ラゲッジの開口部はスクエアで、スペースも邪魔な突起物などがおおむね抑えられ、容量は355Lを確保。後席を6:4分割で倒してスペースを拡大することもできるので、コンパクトSUVとしては十分な容量ではないでしょうか。両方倒しても少し傾斜が残るので車中泊には向かないかもしれませんが、フロアボードの高さが二段階で変えらるのが便利です。コンパクトクラスには贅沢なハンズフリーパワーリフトゲートも装備されており、両手がふさがっている時もスマートに開閉できます。
燃費

3

約200万km以上のテスト走行を行い、オフロードも含まれているということから、電費よりも走破性重視となっている印象。都心部を2時間ほどエアコンをオートにして走った感覚としては、バッテリーの減りが早いと感じることはなく、エコモードも選択できるので電費向上を重視したドライブがしやすいと思います。
価格

4

ローンチエディションが595万円、通常モデルが580万円という価格ですが、補助金が活用できる地域なら100万円程度の補助が見込めるため、今ならお買い得にさえ感じられる価格です。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
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