ホンダ N-BOX 「プラットフォームを変えずにリファインされた3代目」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

プラットフォームを変えずにリファインされた3代目

2023.12.21

年式

2023年10月〜モデル

総評

プラットフォームはキャリーオーバー、基本シルエットも変わらず、ボディパネルやウインドウガラスの基本形状も変わっていない。これでフルモデルチェンジ!?と言いたくもなるが、乗ってみるとあらゆる面が洗練されている。3代目もまた高い人気をキープしそうだ。

満足している点

先代も品質感の高さは印象的だったが、新型はさらに洗練された印象を受ける。足まわりも乗り心地のよさに加え、しっかりとした乗り味が得られるようになっている。新しくなったインパネやメーターパネルも登録車並みの造りでチープさをまるで感じさせない。運転席の造りや後席の広さ、座り心地、自転車が積みやすくなったラゲッジルームの造りもいい。

不満な点

ステアリングにテレスコピック機構が欲しいのと、運転席まわりに収納スペースが少なくなったのが気になるところ。グレードが整理されて標準仕様にターボモデルがないのも残念だ。価格面でライバルよりやや高価な印象も受けるが、このへんは乗れば納得か？

デザイン

5

従来型と大きく異なるのはフロント＆リヤのデザイン。標準仕様は人の目をモチーフとしたデザインで小さな丸穴で構成されたフロントグリルもユニークだ。カスタム系は左右のヘッドランプを繋ぐ横一文字のラインが特徴。フルLED化されたリヤコンビランプはそれぞれで専用デザインを採用するなど、差別化が行われている。

走行性能

5

パワーユニットはターボ＆NAとも従来型と共通のユニットながら、CVTを含めた細部の改良は行われている。街中では58馬力のNAでも十分な動力性能が得られ、アクセルをわずかに踏み込んだ加速でもスーッと速度を高めてくれる。ターボはさすがに力強く、高速走行でも余裕のある走りが確かめられる。足まわりについても従来型を踏襲するが、サスペンションの締結を適正化することで一段としっかりとした乗り味になった。電動パワステは従来型と同じくブラシモーターを採用するが、すっきりとした操舵フィールが得られたのも細部の見直しによるものだ。

乗り心地

5

従来型でも乗り心地のよさは印象的だったが、新型はそのよさを踏襲しつつ安心感のある乗り味を実現。ひび割れや凹凸のある路面を通過した際のゴツゴツとした入力が抑えられ、クルマの揺れが小さくなったような印象も。加速時のエンジン音やロードノイズも抑えられ、走りの洗練度を高めている。シートの座り心地もよくなり、これも快適性の向上に一役買っているようだ。

積載性

5

N-BOXのこだわりはリヤゲートを開けた際のフロアの低さにある。ライバルに対してフロア高が低いおかげで重い荷物が積みやすい。後席収納時もセンタータンクレイアウトのおかげで低くフラットなフロアが得られ、27インチの自転車の積み込みもしやすい。後席は座面のチップアップ機能を踏襲しており、観葉植物など背の高い荷物の積載にも重宝する。

燃費

3

燃費はNAが21.1〜21.6km/L、ターボは20.3km/L（FFモデルのWLTCモード燃費）。マイルドハイブリッドシステムを採用するスペーシアにはリードされているが、タントはほぼ同じ、デリカミニ、ルークスよりも経済性に優れる。ただし、登録車のコンパクトクラスやハイブリッドと比べると、経済性に対するメリットは少なめだ。

価格

4

標準仕様は164.89〜188.1万円、ラインアップの充実したカスタムシリーズは184.91〜236.28万円。ベースグレードでも安全装備のホンダセンシングは標準で備わり、リヤ左側のパワースライドドア、電動格納式リモコンドアミラーも全車標準。装備内容が充実しているのはカスタム系。ライバルよりもやや高価な設定だが、造りのよさ、質感の高さを踏まえると納得させられる設定とも言える。