ホンダ シビック (ハッチバック) 「1.5Lに待望のスポーツモデル追加」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
4
燃費
4
価格
4

1.5Lに待望のスポーツモデル追加

2024.11.26

年式
2024年9月〜モデル
総評
2021年8月に登場した現行シビック(11代目)がマイナーチェンジを行った。1.5Lターボ、2.0e:HEV、そしてタイプRの布陣は変わらないが、ターボとe:HEVが変更を受け、ターボには新グレードとして「RS」を導入。RSはHondaの初代「シビックRS」(1974年)が原点。以降、各モデルに用意されるグレード名でロードセーリングの意味がある。
満足している点
新グレードである「RS」の追加だ。エンジンスペックこそ他の1.5Lモデルと同じだが、エンジン内部に手を加えて回転の落ちを早期化し、素早いシフト操作をアシスト。また、サスペンションを引き締めて路面の追従性を高め、前ブレーキを大径化して制動力を高めた。タイプRほど過激ではないが、性能全般はかなりスポーツ走行向き。往年のファンも納得の出来映えだ。
不満な点
正直なところ大きな不満がない。2021年の1.5Lターボ、そして2022年のe:HEV追加時から、世界中のユーザーから寄せられた声に対して真摯に向き合い方向修正してきたからだ。それでもあえて重箱の隅をつつくとすれば、5.7mという最小回転半径の大きさか。四隅の見切りが良いため取り回しにはそれほど苦労しないが、狭い駐車場では1回、切り返しが増えることがある。
デザイン

4

今回のマイナーチェンジでは、フロントバンパーの形状をより立体的にするなどの変更を行いながら、RSのヘッドライトまわりにはブラックカラー処理(他のグレードはボディカラーと同一)を行い差別化を図った。さらにRSは専用のハニカムデザイングリルも装備する。e:HEVでは要望の高かった明るいグレーカラーの内装色が追加され、前後席をカバーする2面ガラスのサンルーフが選べるようになった。
走行性能

4

試乗したのは追加された「RS」。交通量の多い都市部での試乗だったが、ベースモデルとの違いは明確。182PS/240N・mを発揮する1.5L直噴ターボは1700回転から4500回転まで最大トルクを発揮し続けるため6速MTとのマッチングが高い。具体的には一段上のギヤ段でも求める加速度を生み出しやすい。ただし、従来型から大幅に改善されたもののエンジン回転の落ちだけはもう一声欲しい。
乗り心地

3

こちらも「RS」の評価。4点に近い3点とした。市街地走行、しかも多人数乗車となると後席からは突き上げが強いとの不満がでるはず。ただし、そもそも多人数乗車になるならばRSではなく標準グレードを選択すれば足回りの設定はより快適方向になるので問題なし。「せっかくなら6速MT」というのならRSにしか設定がないため、数少ないマイナス点を受け入れるべき。
積載性

4

ラゲッジルームはクラスの平均を超える広さがある。9.5インチのゴルフバックであれば後席左右(6:4分割可倒式)を倒せば3個収納できる。後席を使った状態のラゲッジフロアは一段低くなっているため高さのある荷物も収納できるし、アンダーフロアボックスも完備する。「カーゴエリアカバー」という名称のトノカバーは先代同様の装備。左側から右側へと引き出すタイプで使いやすい。
燃費

4

「RS」のカタログWLTC総合値は15.3km/L、対してCVTモデルの標準グレードになると15.7km/Lだ。しかし1.5Lターボは実用燃費数値が抜群に良い。過去、九州地区の山岳地帯を流れに沿って走らせた場合ではコンスタントに17.0km/L以上を記録。今回、渋滞の都市部でRSはWLTC値の市街地モードで11.3km/Lのところ10.8km/Lを記録した。高速道路を丁寧に乗れば19.0km/Lに届く。
価格

4

標準グレード「LX」が344万8500円、その上の「EX」が379万8300 円。新設された「RS」が419万8700 円。ハイブリッドグレードの「e:HEV LX」が399万8500 円、その上の「e:HEV EX」が430万7600円。一見すると高めの価格帯に思えるが、実質、フロアマットをディーラーオプションでする程度。今回のマイナーチェンジでgoogle 搭載 9インチ Honda CONNECTディスプレー+ETC2.0車載器が全車標準装備になった。欲しい装備で比較すると価格競争力も高い。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
ホンダ シビック (ハッチバック) 新型・現行モデル

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