フィアット ドブロ 「乗用ミニバンとしてのさらなる進化に期待」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

乗用ミニバンとしてのさらなる進化に期待

2024.2.26

年式

2023年5月〜モデル

総評

このクラスの輸入車ミニバンという市場は長年あまり開拓されていなかったが、ステランティス系が日本市場でこのクラスを兄弟車で展開しはじめた。その中の1つであるドブロだが、兄弟車の中では一番リーズナブルなのが大きなメリット。装備や走りの面を見てみると、全体的にまだまだ粗削りで改善が見込めそうなポイントは多い。日本のミニバンに比べるとまだまだと感じてしまうのが正直なところ。

満足している点

比較的、燃費性能に優れているディーゼルターボのパワーユニットは好印象だ。全長4405mmという車体ながら18.1km/Lという燃費性能は優れていると思うし、トルク感も十分にある。燃料代だけで考えれば比較的ランニングコストがリーズナブルに済む類のクルマだろう。

不満な点

他のミニバンやMPVと比べると古さを感じるというか、商用車的で洗練されていない乗り味と思ってしまう。また、各種装備や利便性の面においても、ファミリーカーとしてのポテンシャルは日本のミニバンと比べてまだまだだと感じる。スライドドアは重たいし、小物入れなどは大雑把な印象だ。扱いやすさや同乗者からの評判を考えると、進化するべき点は多いと言える。

デザイン

3

サイドから見たデザインは、プラットフォームを共有するリフターやベルランゴとほぼ同じだ。違いはフロントとリアしかないと言ってもいいだろう。そんなドブロだが、フロントとリアを見ても、フィアットらしい雰囲気というか、イタリア車っぽい雰囲気があまりしない。これは日本市場で販売されているイタリア車にイメージが引っ張られているからかもしれないが、もう少しフィアットらしさというかリフターやベルランゴとは異なる遊びがデザインにあっても良かったのではないかと思う。

走行性能

2

動力性能には不満はないものの、ミニバンということを差し引いてもロール感が大きく、ステアリングインフォメーションが薄い感覚がして少し不安感を抱くフィーリングだ。ミニバンに運転の愉しさを求めるのもナンセンスかもしれないが、ヨーロッパ車だとそこにも期待してしまう人もいるだろう。しかし実際に運転してみると、ミニバンを造らせたらまだまだ日本が一番だと感じる。

乗り心地

2

やや足のバタつきが感じられ、ギャップなどでも角が目立つ印象だ。また、トランスミッションは日本の道路事情だと速度域が合っていないのか、ギクシャクした印象を受ける。ただ、8速ATと多段であることを考えると、もう少しスムーズに感じられても良いのではないだろうか。

積載性

4

ラゲッジスペースの広さは日本のミニバンと比べても見劣りすることはない。また、大きなトノカバーが付いているのは好印象ポイント。これは日本のミニバンではあまり見られないアイテムだ。ただ、日本のミニバンと比べるとシートアレンジはもう少し簡単に出来るといいなと感じる。

燃費

4

ディーゼルターボということもあるが、大きな車体を持ちながらカタログ値で18.1km/Lという燃費性能は比較的優れていると言えるだろう。これには8速ATという多段トランスミッションも寄与している。燃費性能で見れば日本のミニバンと比べても見劣りすることはない。

価格

2

正直言って割高感は否めない。他のステランティス系のミニバンよりはややリーズナブルなものの、装備内容などを考えると日本のミニバンと比べた場合は高いと感じるし、他の輸入車ミニバンと比べても割高感は否めない。コストパフォーマンスで言えば有力な選択肢とは言えない。