車はますますリビングになる
FF乗用車ベースの軽としては最大級の室内スペースを持つタントがモデルチェンジして新型となりました。性格付けとしては旧型の正
2008.1.15
- 総評
- 車はますますリビングになる
FF乗用車ベースの軽としては最大級の室内スペースを持つタントがモデルチェンジして新型となりました。性格付けとしては旧型の正常進化版として目新しいものではありませんが、乗用車ベースで広大な室内空間をという旧型の特徴をより磨き上げている印象です。
この車に乗って感じるのは、自動車と家庭のリビングとの境界線が益々あいまいになってきたなということです。子供なら余裕で立って歩ける室内高やオプションのフローリングフロア、ラグマットをはじめとする装備など、すでにこれは自動車ではなく家庭のリビングにタイヤがついているだけという印象です。車に対して見栄を張らず、日常生活の中での使い勝手を徹底的に追求するならこういう選択もありかなと思えます。
- 満足している点
- ・なんと言っても室内の広さ
総評にも書いたのですが、室内は徹底して広いです。外観から想像されるとおり高さ方向の空間的余裕は相当のものですが、前後方向の余裕も特筆すべきものです。後席スライドを下げれば、後席で足が組めるどころか床で横になれるほどのスペースが出現します。また全幅が軽自動車の枠内にありながらベンチシートのお陰で成人男性二人が横並びに座っても狭苦しさはまったくありません。
・使い勝手の向上がよく練りこまれている
大容量のオーバーヘッドコンソールをはじめとする収納の数々や、座席を床下に格納してフルフラットになる荷室、90度近くまで開くフロントドア、前後席フラットフロアなど、各部の使いやすさに徹底したこだわりがあります。ただの広いドンガラではなく、限られた平面積を最大限有効に活用しようとする工夫を随所に感じます。
・ミラクルオープンドア
この車の最大の特徴である助手席側Bピラーレス&スライドドアの「ミラクルオープンドア」ですが、確かに標準ドアの軽にはない使い勝手のよさがあります。お母さんが小さい子供を連れて買い物に行ったときなど、隣の車にドアをぶつけるおそれが少ない、チャイルドシートに子供を乗せやすいといったメリットがあるように思います。
・カスタムRSの動力性能のよさ
試乗車は最上級グレードのカスタムRSだったので良くて当然かもしれませんが、街中での動力性能に全く不満はなく、またCVTの設定にも不自然さを感じる部分はありません。
・外装デザインに安定感が出た
基本的に外装デザインは旧型からの正常進化ですが、サイドウインドウを直立させすぎたりウエストラインから下のボリュームがないため、やや不安定に見えた旧型より安定感のあるスタイルになりました。
- 不満な点
- ・パワースライドドア、イージークローザーが全車標準ではない
上級グレードには標準装備のパワースライドドアですが、LとカスタムLにはオプションですら装備できず、さらにイージークローザーもありません。小さい子供がいる家庭向けの車なのですから、手を挟む事故を防ぐためにも全車標準装備でもよさそうな気がしますが…
・価格が割高?
ムーブとタントのLグレード・AT・2WD同士で比べた場合、価格差は63,000円(ムーブ:1,018,500円、タント:1,081,500円)と、タントのほうが複雑なボディ構造を持っていることを考えると納得できるように思いますが、ムーブLは上級グレードとはキーフリーシステムやオートエアコンなど贅沢装備の違いであるのに対し、タントLはこの車の最大の特徴である電動スライドドアが装着できず、その上セーフティパック(サイド&ニーエアバッグなど)も装着できないなど、かなり本質的な部分で違いがあります。上級グレードを購入するように誘導されているような気がします。
・助手席シートベルトがややうっとうしい
ミラクルオープンドアを成立させるために、助手席シートベルトをシートバックにビルトインさせていますが、ショルダー部の取り付けが低いためシートベルトを装着すると左肩全体が圧迫されるような感じでややうっとうしく感じます。(私の身長は175センチ)
・ノンターボ車の動力性能は大丈夫?
長所のところで述べたように、ターボ付きのカスタムRSの動力性能に不満はないのですが、それ以外のグレードは900~980kgにもなる車重から考えて動力性能には期待できないように思います。(折を見て標準車にも乗ってみたいです。)
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