ダイハツ ムーヴ 「そろそろフルモデルチェンジに期待」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

2

デザイン
2
走行性能
2
乗り心地
3
積載性
4
燃費
3
価格
3

そろそろフルモデルチェンジに期待

2022.7.20

年式
2014年12月〜モデル
総評
登場当初はトップクラスの実力を誇っていたと思うが、モデルライフが約7年も経過したモデルとなると、ライバルたちの進化が凄まじくいろいろと足りていないと感じてしまうのも事実だ。スライドドア軽が流行りであるだけに、売れ筋とはいかないもののムーヴと言えばダイハツの看板車種であった時代も存在していただけに、フルモデルチェンジでライバルに引けを取らない魅力的なモデルへと生まれ変わってほしい。
満足している点
軽自動車としては比較的リーズナブルな価格設定なこと、ワゴン軽としては広々とした室内空間を持っていることが挙げられるだろう。特に室内空間は全長が広い印象を受け、軽自動車の窮屈さを感じることなく過ごすことが出来ると思う。また、今では装備している軽自動車も多いものの、スライドドアなどではない一般的なワゴン軽でリアシートが前後に240mmもスライドできるのは、実際に使うユーザーにとって嬉しいポイントと言えるのではないか。
不満な点
モデルライフが長くなり、ライバルたちの進化が目覚ましいので仕方がないと言えば仕方がないが古さを隠せない部分がある。特にそれを感じるのが運転支援システムだ。各種システムは装備されているものの、現行車としてACCとレーンキープステアリングアシストが装備されていないのは正直厳しいと思う。可能ならば途中の年次改良でこの辺を装備に加えてほしかったが、コストや各種制約的に難しい部分もあるのだろう。燃費性能も今どきの水準で見ればもっと向上させてほしい。
デザイン

2

カスタムは先進的かつ押し出し感のあるイメージでまとまっていて、標準車はプレーンでシンプルな印象。モデルライフが長いこともあってか、標準車はどこか少し前の軽自動車などちょっとチープな印象を抱いてしまうのが正直なところ。そういった背景を考えるとカスタムの方を選びたくなってしまう気持ちも分かる。エントリーモデルとしてミライ—スがあることを考えると、ムーブは標準車でももう少し質感の高さを狙ったデザインでも良いと感じる。
走行性能

2

登場当初としては悪くなかったかもしれないが、すでにモデルライフが7年を超えてきているので、現行の最新モデルに比べると劣ると感じる部分は多々ある。電動パワステのフィーリングや走りの質感にそういった時代の流れを感じてしまうところがあるのは否めない。また自然吸気エンジンとターボがラインアップされているが、自然吸気エンジンは非力さを感じてしまう。この点はモデルライフが長くなってきている宿命とも言える部分ではないだろうか。
乗り心地

3

乗り心地が悪いという訳ではないが、特出優れているという訳でもない。また、登場当時は高剛性かつ軽量と発表されたDモノコックだが、現行の最新モデルたちはDNGAプラットホームとなり、より剛性を上げて乗り心地が良くなったという印象を受ける。そういった意味では、最新モデルと比べると乗り心地の面でも少し劣るという印象。この点は次期モデルでDNGAプラットホームが採用されるのを期待したいところ。
積載性

4

他の軽ワゴンと比べてもあまりラゲッジスペースの全長が無いという印象を受ける。しかし、これは乗員が座る部分の室内空間を広げようとした結果だと思われる。確かに通常時のラゲッジスペースは狭く感じてしまうが、高さのあるラゲッジアンダーボックスも兼ね備えているし、シートアレンジを駆使すれば長物を載せることもさほど苦じゃないはずだ。なにより後部座席が240mmスライドするのは、ラゲッジスペースの利便性を気軽に向上させることができる便利な機能と言えるだろう。
燃費

3

登場当初は軽自動車トップレベルの燃費性能であったものの、ここ数年でライバルたちの燃費性能の向上や、マイルドハイブリッド搭載車の普及もあり、あまり優れているとは言えないものとなってしまった。ターボ車でも900kgを下回る車重だが、それでいてWLTCモード19.5km/Lという燃費性能は最新モデルと比べてしまうと分が悪いと思える。そろそろダイハツの軽自動車にもハイブリッドシステムの導入が望ましいというのが本音のところ。
価格

3

ターボエンジンのトップグレードが140万円を切るという価格設定(標準車)はリーズナブルと言える。リーズナブルに新車で軽自動車を購入したいのであれば、選択肢として無しではないだろう。ただ、装備の面を細々と見ていくと、現代の水準では物足りないと感じてしまう部分もあるので、大声で「お買い得!」とは言えないのが正直なところだ。単なる安さだけに食いついてしまうと、隣の芝生が青く見えてしまうことはあるかもしれない。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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