ダイハツ ミラトコット 「等身大の自分で乗れるパーソナル軽」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

等身大の自分で乗れるパーソナル軽

2024.1.29

年式

2018年6月〜モデル

総評

肩ひじ張らず、自然体でいられることを表現するファッション用語だという「エフォートレス」をテーマに誕生したミラトコットは、「映え」とは対極に置かれたキャラクターかもしれません。なので外観はいたってシンプルで、必要以上の加飾はなし。でも中身は挑戦的な取り組みを実現しています。。性能評価チームに初めて女性が加わり、小柄な人や力の弱い人、運転に不慣れな人でも安心して乗れるよう、テスト走行を繰り返してきたとのこと。免許取り立ての子供と親で共用とするクルマとしても、ピッタリだと思います。

満足している点

「軽い方がラクだけれど、軽すぎると不安になる」という、最も難しいステアリングフィールの開発に挑んだのがこのミラトコットです。何度も調整し直し、ユーザーにも意見を聞きながら、ようやく納得のいく仕上がりになったのだそう。低速では軽いのに遊びはほとんどなく安定しているし、カーブや曲がり角での切りはじめは優しく、角度が付くにつれて少しずつ手応えがシッカリとしてきて、曲がっている感覚とのズレがないのです。60km/hを超えるくらいになると、ギュッと強く握らなくても少し剛性感が出てきて、リラックスして運転できるようになります。このこだわりはきっと、高齢ドライバーや男女問わずリラックスして運転したい人など、響くユーザーも多いのではないでしょうか。

不満な点

初期の頃のモデルは、先進の安全運転支援装備がやや手薄となっている印象でした。ライバルのラパンには、最も廉価なグレードでもレーダーブレーキサポートが標準装備となっていたので、魅力も半減。その後2020年のモデルからは、パノラマモニターとコーナーセンサーがダブルで装備されるなど、少しずつ充実させてきていますが、中古車を買う際には要チェックです。

デザイン

4

シンプルなのに味があって個性的で、ボディカラーもアースカラーといったトレンドを押さえており、とってもオシャレなデザインです。ただ、残念なことに「写真うつりが悪い」とメーカーの人も頭を悩ませていたほど。写真になると、微妙なオシャレさやセンスの良さがうまく伝わらないらしく、「映え」の時代にはちょっと不利だったかもしれません。でも、妙な凸凹やエッジを作らず水平基調で、見ただけで安心して走れそうなフォルムだと思います。

走行性能

4

ターボは用意されず直列3気筒NA＋CVTのみで、車両重量もFFモデルで720kgとミライースの4WDモデル同等に重くなっているものの、市街地では十分なパワーで気持ちよく走れると感じます。多くのダイハツ軽に搭載されているパワースイッチもないので、きつい上り坂ではさすがに加速が鈍るようにも感じましたが、アクセルを踏み足すほどではなく、むしろ自然なフィーリング。これはやはり、安心感を優先したチューニングのおかげではないでしょうか。

乗り心地

5

全体的にガッシリとした感じは薄いのに、段差を超えた時やオーバースピードでカーブに進入してしまった時など、ここぞというところで意外なほどの頼もしさが顔を出します。サスペンションにリバウンドスプリングを追加し、普段はしなやかさ優先でも、強い入力があった時にはしっかりとロールを抑えるようにチューニングしているとのこと。大人3人乗車で市街地を走ってみても、固くないのにユルすぎないという、絶妙な乗り心地に感心。常にガッシリとしたクルマもいいですが、ミラトコットは走れば走るほど、ホッとリラックスさせてくれるところが魅力的です。

積載性

3

後席が一体式なので、多彩な使い方はできないラゲッジですが、倒せば段差のないフロアが広がります。奥行きは後席使用時で40cmほどですが、倒せば前席にぶつからない程度で120cmほどの長尺物も積載可能となっています。シンプルですが、荷物は積みやすい形状といえるでしょう。

燃費

3

カタログ数値ではどのグレードでも22.6km/L（WLTCモード）となっています。減速を始めると、完全停止する少し前からエンジンを停止して燃料消費を抑えるエコアイドルが採用されているので、運転するシーンや減速の仕方によって、多少の燃費の違いは出てくると思います。アクセルペダルのコントロールがしやすいので、エコドライブはしやすいクルマだといえます。

価格

4

新車価格は116万円〜138万円程度で、装備とのバランスを考えると130万円前後が相場となっています。乗用セダンタイプの軽自動車としては、やや価格が高い部類に入りますが、シンプルなので飽きずに長く乗れるところも魅力なので、トータルで見るとコスパに優れる面もあると思います。