2012年1月
■2012年1月
BMW3シリーズのセダンは2012年1月にフルモデルチェンジを受け、6代目のモデルが登場した。ボディサイズは今回もひと回り大きくなり、全長とホイールベースが延長された。これによって後席の居住空間が拡大するなどのメリットが得られている。ただ、ボディの全幅は5代目モデルのマイナーチェンジのときに日本市場の事情を考慮して全幅を1800mm以内に収めた経緯があり、今回のモデルでも欧州仕様とは異なるドアハンドルを採用することで、全幅を1800mmに収めている。外観デザインはBMWらしいスポーティさとエレガントさを融合させたもの。フロントグリルやライト回りのデザインを変更することで、新鮮さを表現しながらも、キドニーグリルや丸型ヘッドライトなどによってひと目でBMWと分かるデザインを継承している。ドライバーオリエンテッドのインテリアデザインを採用するのは今回も同じだが、インパネ上面の高さを抑えて視界を良くするなどの改良が加えられている。当初の搭載エンジンは直列4気筒2.0リッターの直噴ターボ仕様のみで、328iの呼称が与えられている。エンジンを縦置きに搭載して後輪を駆動するFR車であるのはこれまで通りで、今回は新たに電子制御8速ATと組み合わされた。2012年1月の発表時点で、春には320iを追加し、さらに年内にディーゼル車やハイブリッド車を追加することなどが公表された。基本は328iだが、標準仕様のほかに主に外観デザインの違いによってスポーツ、ラグジュアリー、モダンの3種類が設定されていて、それぞれに異なるアルミホイールを設定するなど、デザイン面で明確な差別化が図られた。基本メカニズムについては各モデルとも共通ながら、スポーツを選ぶと走行モードの選択において“スポーツ+”をチョイスできる点に違いがある。
■2012年4月
2012年1月のフルモデルチェンジで発売された328iに続き、2012年4月には3シリーズの中核となる320iが追加された。今回のモデルで320iは、320i SE、320i、320iスポーツ、320iモダン、320iラグジュアリーの5グレードが一斉に投入された。各グレードに電子制御8速ATが組み合わされるほか、320i SE以外の各モデルには6速MT車も設定される。搭載エンジンは新世代の直列4気筒2.0リッターのツインパワー・ターボで、ツインスクロールターボ高精度直噴仕様、ダブルVANOS、バルブトロニックなどの採用で、135kW(184ps)/270N・mのパワー&トルクを発生する。わずか1250回転で最大トルクを発生するエンジンで、AT車の燃費は16.6km/Lを達成している。これによって新エコカー減税に適合し、グレードによって購入時の自動車取得税と自動車重量税が75%減税または免税となる。またベースとなる320i SEでは、カーナビを標準装備しながらも399万円の価格を実現した。
■2012年8月
BMWは3シリーズセダンに、セダンとして初となる右ハンドル仕様の4輪駆動モデル320i xDriveを追加し、2012年8月8日から発売した。
320i xDriveは、FR駆動の320iセダンをベースに、フルタイム4輪駆動システムのxDriveを搭載したもので、BMWならではのスポーティな走りと、4WDの長所である走行安定性を融合したモデルだ。
xDriveは、ステアリングの切れ角やホイールの回転速度などを常に監視し、オーバーステアやアンダーステアなどの兆候を察知すると、電子制御式多板クラッチを通して瞬時に前後の駆動力配分を変化させ、優れたロードホールディングによる高い操縦安定性を実現する。
搭載される直列4気筒2.0リッターの直噴ターボ仕様エンジンは、135kW(184ps)のパワーを発生し、電子制御8速ATと組み合わされる。これによって燃費基準+10%と排出ガス基準75%低減レベルを達成し、エコカー減税75%低減が適用される。
320i xDriveは、FRの320iセダンと同様、ベース車のほかに、スポーツ、ラグジュアリー、モダン、Mスポーツの4モデルが設定されている。
2012年8月22日には直列4気筒2.0リッターのターボディーゼルエンジンを搭載した320dブルーパフォーマンスを追加して発売した。
320dブルーパフォーマンスは、NOx(窒素酸化物)吸蔵還元触媒など最先端排出ガス処理技術であるBMW320dブルーパフォーマンステクノロジーを採用し、世界で最も厳しい日本のポスト新長期規制に適合したクリーンディーゼルエンジンだ。
搭載される2.0リッターの直列4気筒ターボディーゼルエンジンは135kW(184ps)の最高出力と380N・mの最大トルクを発生する。この高効率エンジンに、オートスタート/ストップ機能(アイドリングストップ機構)など、各種の環境対応技術を採用することや、電子制御8速ATと組み合わせることで、クリーンディーゼル国内最高となる19.4km/L(JC08モード、平成27年度燃費基準+20%達成)の低燃費を実現した。
HDDナビや運転席パワーシートなどの快適装備、ドラインビング・パフォーマンス・コントロール(ECO PROモード付き)などの機能装備、パークディスタンスコントロールなどの安全装備を標準で備えるのは、ガソリン車の320iと共通だ。
希望小売価格はクリーンディーゼルの搭載車であるにもかかわらず、直列4気筒ガソリンエンジンを搭載する320iと比べ、わずか20万円の価格アップとされている。
■2012年9月
BMWは2012年1月にフルモデルチェンジした3シリーズセダンに、320i Mスポーツと328i Mスポーツを追加し、バリエーションのさらなる拡充を図って2012年9月3日から注文の受付を開始した。
“Mスポーツ”は、ダイナミックなスタイリングを強調するMエアロダイナミクス・パッケージや18インチのMライト・アロイ・ホイール、スポーティなドライビングを可能にするMスポーツ・サスペンションなど、BMW M社が開発した専用装備を数多く採用する。
インテリアもスポーツシートやマルチファンクションのステアリングホイールなど、専用の仕様がいろいろと用意され、新型3シリーズセダンのスポーティな走りとスタイリングを強調するモデルに仕上げている。
320iと328iには、これまでもスポーツ、モダン、ラグジュアリーの3タイプが設定されていたが、Mスポーツの追加で4種類の仕様から選べるようになった。
なお、320i Mスポーツには6速MTと8速ATが、また328i Mスポーツには8速ATが組み合わされている。