BMW M5 のみんなの質問

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BMW M5はなぜV10エンジンを捨ててV8になってしまったのですか?

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●なぜ S85B50エンジンからS63B44Tueに変わったのか?
これは,下記4つの理由からです

(1) 燃費改善
(2) 加速性能改善
(3) 走りやすさ
(4) エンジン系列の整理

●燃費改善
S85のE60から,S63のF10のM5になってから,次のように燃費が向上しています

14.4L/100km → 9.9L/100km (日本風に言えば,6.94km/L→10.1km/L) ~
45%向上

●加速性能改善
0→100km/h時間:

4.7秒 → 4.4秒

なお車重は増えています

1855kg → 1945kg

●走りやすさ
最大トルク:

520Nm/6100rpm → 680Nm/1500~5750rpm

1500rpmという非常に低い回転域から強大な最大トルクが出れば,街乗りくらいでは,ほとんどアクセル開度は小さく,非常に走りやすいといえます。

●エンジン系列の整理
S85はV8のS63を拡張したエンジンでした。このためV10で理想的なバンク角度72度ではなく,90度にままにし,不等間隔点火にしました。S85の特徴は,高回転化に対応したことでしたが,実用域で燃費が悪く,あまり将来性がありません。このためS63系列に戻し,エンジン系列を整理したと言えます。

●どうしてV10エンジンは燃費が悪かったのか?
高出力エンジンにとって一番苦手な領域は,非常に低い部分負荷で測定される燃費計測モードです。負荷が低いとスロットルバルブ開度が小さく,スロットルバルブから燃焼室間が大きな負圧(=真空に近い)になります。この状態でピストンが空気を吸おうとすると,ちょうど細い針のついた注射器で空気を吸うときのように大きな力が必要です。これがポンプ損失(=ポンピングロス)になります。出力の低い場合には,出力の30~40%にもなりますので,無視できません。

●どうやってポンピングロスを減らすのか?
下記3つの手段が有効です。

(1) スロットルバルブを廃止する
(2) 吸入管を負圧から正圧にする
(3) 吸気経路の通路抵抗を下げる

このうち最後の抵抗低減は当然のことなので,上記の(1)と(2)を説明いたします。

●スロットルバルブの廃止は?
スロットルバルブにより燃焼室に入る吸入空気量を調整するわけですから,もし吸入バルブのリフト量(=実開度面積に影響)を調整して,空気量を調節できれば,途中の負圧部分が無くなります。これにより吸入経路の抵抗低減になります。
これを世界で最初に実現したのが,BMWが開発したバルブトロニック(2001年)です。2007年にトヨタと日産が追随しています。
これはカムシャフトから吸入バルブ間に中間アームを使います。この慣性質量があるため,高回転まで追随するのが難しくなります。S85エンジンでは,レブリミットが8250rpmくらいだったので,バルブトロニックは採用されませんでした。
しかしS63ターボでは,バルブトロニックが採用されています。

●吸入管を正圧に?
過給機をつかって負圧から正圧にするため,ツインターボにし,低負荷領域から過給ができるようになっています。このため1500rpmという低回転域からMAXトルクが出せるのです。

●将来は?
V10のS85は無くなったわけではありません。一部のチューンナップによれば,スーパー・チャージャにより700馬力超も可能なようです。つまりエンジンブロック強度はトルク800~900Nmくらいはありそうです(耐久上の課題はありますが)。
ということは,将来,V10ターボの可能性があると言うことです。ただそうなると,

700馬力/850Nm

ということになります。そうなると従来の2WD(後輪駆動)のトラクションでは限界です。より正確に言えば,現在の出力でどうして2WDなのか,よく理解できません。BMWには,トルクベクタリング技術と前後輪の操舵補正技術があります。これを使うと,恐るべき4WDが可能です。

問題もあります。ここまでの出力,トラクションになると,どこでその運転を楽しめるのでしょうか? 日本の高速道路なら,最大出力の1/10以下で良いわけなので。

簡単ですが,ご参考になれば幸いです。

質問者からのお礼コメント

2011.8.28 21:23

詳しい回答ありがとうございました!

自分には難しいと思うところもありましたが、知らなかった知識も得られて目から鱗って感じです。

素晴らしい回答ありがとうございました。

その他の回答 (2件)

  • いやいや 燃費改善もそうだけど、一番の理由は環境。 新しいユーロ排ガス規制の面でしょ。
    その次燃費かね。 今、M5、M6の価格が急落しているのも燃費。 この手の大排気量パワー車がデビューしたのはリーマンショック前。 世界的好景気だったのですね。だから売れた。 でも、ガソリン価格高騰など不景気で売れないのだ。 世界的にダウンサイズの流れ。 ターボつけていくしかないよね。

    あと、ライバルメルセデスなどがターボなので、同じようなパワーを出すためにはNAではコスト的にも限界も近い。けれど現行以上のパワーは必要、ライバルに負けるわけにもいかない。 から

  • まずは軽量化の為じゃないですか?今は燃費重視の時代ですし。

    今はV8でもパワーでますし他のクラスとのエンジンの使い回しもできコストも下がります。

    今後ハイブリッドとの兼ね合いとか考えたら尚更V10エンジンはいらないかと。

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