アウディは高ければ高いほどいい
ドイツプレミアムブランドは、いずれも多モデル化(ニッチ戦略)を推し進めているけれども、その柱がいまだサルーン系であるこ
2011.12.31
- 総評
- アウディは高ければ高いほどいい
ドイツプレミアムブランドは、いずれも多モデル化(ニッチ戦略)を推し進めているけれども、その柱がいまだサルーン系であることだけは、論を待たない。すなわち、核はあくまでD-Eセグメントであり、そして、そのヒエラルキーの行き着く先として、最上級の大型セダンが用意されている、というのが正しいあり方なのだ。そして、メルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズが最上格の代表格である。
もうひとつの独プレミアム、アウディにももちろん、A8というフラッグシップサルーンが存在する。最新モデルは、A8として3世代目。過去2世代のA8は、日本市場における人気こそパッとしなかったものの、欧州では大きな評価を受けており、クルマそのものの完成度も高かった。初代から始まったASF(アウディスペースフレーム)とアルミニウムボディ技術は、軽量化が最大の命題となった今、“クワトロ”(4WD)と並んでアウディブランドの中核テクノロジーである。
3タイプの日本仕様がある。スーパーチャージャー付き3リッター直噴V6を積む3.0TFSIクワトロ、4.2リッター直噴V8の4.2FSIクワトロ、そして同じく4.2FSIのロングボディ
- 満足している点
- インテリアとエクテリア
“伝統”のASF(アウディ・スペース・フレーム)は、さらなるアルミ合金の使用に加えて、Bピラー付近に高張力鋼板を組み込んだハイブリッド構造とし、先代比25%アップの静的ねじり剛性を確保した。ボディサイズが大きくなったにも関わらず総重量で先代と変わらない数値を達成したのは、ボディ骨格の軽量化に因るところも大きい。
この強固かつ軽量なボディのもとで、理想のパフォーマンスを実現するため、連続可変ダンピングのアダプティブエアサスペンションを全車スタンダートとし、走りのシーンに応じて好みのモードが選べるドライブ・セレクトも組み合わされた。サスペンションそのものも、前を5リンクとするなど、大幅に変更されている。
クワトロ4WDシステムも最新世代だ。非対称ダイナミックトルク配分としたセルフロッキングセンターディファレンシャル方式で、通常走行時は後輪に60%のトルクが配分されている。
進化したボディ&シャシーを躍動させるのは、全車に組み合わされているのはZF製8速オートマチックである。
走らせると
3.0TFSIの20インチタイヤ仕様に試乗した。静粛性から乗り心地、スタリングの操作フィールに至るまで、すべてに渡って上質だ。特に、荒れた路面をリズミカルに心地よくクリアしていく様は、何ともいえず気持ちいい。
20インチタイヤの薄さを感じさせない乗り心地よさにも脱帽。3リッターエンジンということで、“頭の軽さ”も効いている。
エンジンパフォーマンスもこれで十分。アクセルひと踏みで、瞬時にボディが反応し、前へ前へと突き進む。そのまま軽くアクセルペダルに右足を置いておくだけで、均質なトルクが四輪へと伝達され、みるみる速度を上げていく。力強さはまるでディーゼルエンジンのようで、しかもエンジンフィールが楽しめるというのだから不満はない。3.0TFSIに乗った時点で、4.2は要らないだろう、と思ったが...。
- 不満な点
- 同じくショートボディの4.2FSIに乗ってみれば、ライドフィールの基本的な上質さは変わらないものの、やはりエンジンの違いに関連するパート、特にダッシュ時やクルージング時の質感が、なるほどエクストラコストを払うに見合うものだと感心した。きめ細やかで、よりスムースなV8のエンジンフィールを知ってしまうと、いくらパワフルさでは既に上等なV6でも、物足りなく思ってしまう。巨大なボディとの一体感もこちらの方がより増していて、感覚的にはA6あたりのサルーンを転がしている気分になった。A6の気分させるのが短所とは、プライス感覚が麻痺した。
- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験