イタリアの美と芸術
ジュリエッタ。女性の名前です。車に人名をつけてしまいました。
日本のメーカーだったら、例えば「ホンダの宗一郎(ソーイチロー)」とか
2012.9.21
- 総評
- イタリアの美と芸術
ジュリエッタ。女性の名前です。車に人名をつけてしまいました。
日本のメーカーだったら、例えば「ホンダの宗一郎(ソーイチロー)」とか。
「オレついに宗一郎買ったんだぜ!」「うっそマジで、うっわ宗一郎カッケェー!」みたいな。宗一郎オトコだけど。
イタリア語は接尾辞が豊富で、Giuliaに「ちっちゃな~」を表す女性の接尾辞の1つであるettaを付けたGiuliettaは「ジュリアの妹」という意味になります。ジュリアお姉さんのシルエット写真すら流出していないのに妹のほうが先にデビューしてしまった訳ですが、アルファロメオには長い歴史の中でこれまでにもジュリエッタという名前の車が2回登場しています。初代ジュリエッタは大ヒットしてアルファロメオを一気に飛躍させた、アルファの歴史の中で非常に重要な美しい車で、妹に続いてデビューしたおねーちゃんのジュリアシリーズはさらなる大ヒットを記録しました。そんな特別なネーミングを復刻させたアルファロメオ渾身の新作ジュリエッタ、非常に気にはなっていたのですがなかなか機会がなく、最近アルファ156のプチ修理で訪れた際にたまたまそこにあったクワドリフォリオ・ヴェルデ(以下QV)という最速グレードにようやく試乗できました。
自動車メーカーが自社ラインナップのデザインに統一性を持たせる傾向にあることは、アウディやプジョーなんかを見てて皆さんご存じだと思います。最近では国産の上級車もそんな感じになってきましたが、これにはメーカーの存在感をアピールする、デザインの完成度を高める、コストの削減などの理由があります。アルファロメオの場合はそのまんまおんなじデザイン、という訳ではありませんが、ミト、ジュリエッタ、4Cと最近のモデルは2009年に発売された8Cコンペティツィオーネの流れを汲んでいます。もともと私は天才ジョルジェット・ジウジアーロ作のアルファブレラのデザインに惚れ込んでおり、ブレラの購入を本気で検討したこともありました。まぁ本物を目にした時にはあまりの格好良さとあまりの自分とのギャップに愕然として瞬時にあきらめたんですが…。まさに完敗という言葉が相応しいすがすがしい敗北感でした。何でこんなに斬新なデザインなのに破綻がなく美しいんだろう。スゴイなジウジアーロは。天才か!とか思ってました。
(以下、長所や短所の欄も続きの文章として読んで下さい)
- 満足している点
- ということで2003年からのブレラシリーズ(?)のデザインも好意的に受け止めていたのですが、それに対して明らかにクラシック調である8Cは、古典に対する理解も浅くまだ若造な自分にはその魅力をなかなか感じることができず、8Cシリーズ第1段のミトもそれほど好きではありませんでした。しかーし、このジュリエッタの美しさは相当なものです。どうしてこんなにシンプルなのにこんなに美しい車を作ることができるのか…。
ギリシャやローマ時代の数々の建築物や彫刻を始めとし、芸術の爆発みたいなルネッサンス、そしてその後のバロック美術から近代まで、2000年以上の様々な時代の優れた芸術に当たり前のように囲まれて生活してきた民族に、他国の人たちが到底太刀打ちできないのは無理もないことなのかもしれません。もうねぇ、芸術性がDNAレベルで違うんだって。人間の上に起きうる結果は遺伝要因と環境要因によりますので、こと芸術に関してまさに彼らは人類最強なのでしょう。
とても残念なことですが、海外の自動車デザイナーには日本車のデザインレベルは低いと評価されています。どっかの大手の新聞に、工業デザインのレベルの低さが世界で日本製品が低迷している理由だ、とか書いてある記事も少し前に読みました。売れないのを全部円高のせいにしてちゃいけないみたい。もともと日本人は立体を認識する能力が低いとも言われていますので、多分造形物の美しさなんかを判断するのが苦手なんだと思います。確かに自分も美術館に行っても彫刻を見ているより絵を見ているほうが好きなのは、もしかしたらその辺も関係あるのかなー、って考えてしまいました。あと好みは人それぞれだろと反論される方もいらっしゃるでしょうが、デザインの良し悪しと好き嫌いとは別ですからね。好みの問題で言わせていただけば、一時エレガント路線に舵を切ったかに見えたアウディが最近では完全に無機質サイボーグ路線を突き進んでいるのが残念です。
話を戻しますが、車をデザインする時に図面から入る日本人に対しイタリアの人は立体を頭の中に思い浮かべて作るそうです。そのためか、ブレラは写真で見ると角度によってフロントがのっぺりしているように見えることもあるものの三次元の実物はどこから見ても均整のとれたとても美しいクルマですし、さっき8Cのデザインは…なんて書きましたがこっちも本物はやっぱり良かったです。
- 不満な点
- 比較的写真写りの良いジュリエッタでも、写真だけでは伝わらない造形美で溢れています。ということでアルファロメオの車はぜひ実車を自分の目で確かめてほしいと思います。うぉー!すげー!ってなると思います。たぶん。ちなみにデザインが物議をかもしているBMWの新型1シリーズは、実物も写真とあんまり変わりませんでした(笑)。
1750cc直噴ターボエンジンを積んだQVには「アルファ史上最速」との呼び声もあるそうで、Dモードでは1速の2000回転くらいからシートに押し付けられる加速が得られます。低音ながら盛り上がりのあるエンジン音で、吹け上がりが軽いのであっという間にレッドゾーンの6000回転に達します。独仏のダウンサイジングエンジンと比べればだいぶ勇ましく良い意味でターボらしくないと思いました。試乗を終えて、156でもフル加速を試みました。うーん、全然シートに押し付けられない…。でもまだ40km/hくらいなのに音はものすごく大きくて高音で、きっとジュリエッタだったら「炎のエンジン2万回転!」みたいな音になってて、頑張ってる感が痛いほど伝わってきました。うぉ~!頑張れ~!
QVはマニュアルのみで、クラッチは前投稿者も言われているようにストロークに遊びが大きく、マニュアル歴15年の私が相当戸惑いました。クラッチの左に空間がなくフットレストがないこともフットレスト知らなかった歴14年くらいの自分には関係ないと思っていましたが、左足に当たりそうなくらい右側に寄ったセンターボックスはさすがに気になりました。運転空間の確保のため右に寄せてあったセンターボックスをそのままに、ハンドルやアクセルだけ右に移動した結果と思われます。もしかしたらクラッチの設定も右ハンドル仕様だけのものかもしれません。まぁクラッチはしばらく乗ってれば慣れるでしょうけど。でもQVの革シートはしっかりした厚みがありながらとても柔らかく、出来の良いフランス車のような非常に良いシートでした。
最も気になったのは窓を開けた際に出てくる窓枠のビロード生地。ものすごくホコリがくっつきやすそうです。粘着ローラーでもかけてれば大丈夫かな?
2004年登録のうちのアルファでも未だに大きなトラブルには見舞われていません。
信頼性もさらに増し、最高に美しいジュリエッタとの生活は、きっとあなたの人生を豊かなものにしてくれることでしょう。
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