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もの足りない437kmと150kW レクサス RZへ英国試乗 競争の厳しいクラスで挑む

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もの足りない437kmと150kW レクサス RZへ英国試乗 競争の厳しいクラスで挑む

基礎構造はe-TNGAプラットフォーム

近年の主力カテゴリーといえるクロスオーバーやSUVは、スポーティさを強調する例が少なくない。新しいRZのプレゼンテーションでレクサスはその言葉に触れず、妙に新鮮に感じてしまった。

【画像】競争の厳しいクラスで挑む レクサス RZ 450e 競合するBEVの中型SUVと写真で比較 全128枚

このSUVは、同社のフラッグシップ・バッテリーEV(BEV)に据えられる。信頼感や操縦性、快適性といった言葉を、彼らは前面に打ち出している。とはいえ、システム総合での最高出力は313psもあるから、加速が鈍いわけではない。

レクサスとして、本腰でBEVに取り組んだ最新の成果でもある。ガソリンエンジンで走るモデルをベースにしたUX 300eもひと足先に提供されているが、販売台数は伸び悩んでいる。

RZが基礎構造とするのは、BEV専用のe-TNGAプラットフォーム。トヨタbZ4Xやスバル・ソルテラが採用していることで、ご存知かもしれない。

駆動用バッテリーは、額面上は71.4kWhがうたわれるが、実容量は64kWhになる。これは同クラスのライバルに劣るものの、7.4kWhと大きめの安全マージンを確保することで、10年後でも利用可能な容量は新車時の90%が保証されている。

長く乗ろうと考えている人にとっては、喜ばしい設定だと思う。数年縛りの残価設定プランで乗る場合は、余りメリットを感じないかもしれないが。

航続距離はもの足りない437km

レクサスは、エネルギー効率の高い駆動用モーターとその制御で、バッテリー容量を補えるとしている。実際、カタログ値の電費は5.4km/kWhから5.9km/kWhと良好で、テスラに接近していることは事実だ。

通常は、リアアクスルを駆動する109psの駆動用モーターがRZを走らせる。高負荷時には、フロントアクスル側の203psのモーターも働き出し、必要なパワーが路面へ展開される。

それでも、航続距離は437kmともの足りない。英国市場で支持を集めるであろう20インチホイールを履くと、405kmへ縮まってしまう。

今回試乗した気温10度という環境では、電費は4.8km/kWh前後で安定していた。これは、bZ4Xで得られる数字と近い。それでも、航続距離は305km程度となり、ライバルとなるジェネシス・エレクトリファイドGV70やBMW iX3には届かない。

DCの急速充電能力も最大で150kWまでと、プレミアム・ブランドとしては誇れるほどではない。充電ソケットの仕様は、欧州で一般的なCCSが装備されていた。

さて、要求の厳しいプレミアムSUV市場で戦うことになるRZの印象は、レクサスの主張通り、信頼感や操縦性、快適性といった特徴では優れるといえる。特に、アダプティブダンパーが組まれていないにも関わらず、乗り心地は滑らかで落ち着いていた。

ちなみに、試乗場所はフランスの一般道。時間が制限されていたため、より確かなレポートをお伝えできるのは、英国へ場所を移してからになることをご了承いただきたい。

四輪駆動が生む適度な充足感の運転体験

RZの運転体験には適度な充足感が伴う。ダイレクト4と名付けられた、四輪駆動システムが貢献しているのだろう。加減速時に前後の駆動用モーターを巧みに制御し、ボディの前後の傾きを抑制する、新しいシステムが実装されている。

もっとも、フロントの駆動用モーターの方がパワフルなため、リアタイヤが主役になる印象はない。操縦特性は常にニュートラルで、エネルギッシュな感覚は薄い。RZはスポーティなSUVを目指していないから、問題ないけれど。

グリップ力は充分以上。ステアリングホイールの操舵感には適切な手応えが伴い、安心感が高い。

インテリアは、プラットフォームをともにするbZ4Xより遥かに上。上級グレードを選択すれば、柔らかいレザーなどの使用量が増え、ジェネシスやBMWの雰囲気に並ぶ。

車内空間は、ボディサイズを考えると広いとはいえない。全長は4805mmあり、bZ4Xやヒョンデ・アイオニック5より長いものの、それらより明確に勝るわけではない。前列・後列ともに、膝前の余裕は感じられるが。

荷室容量は、522Lとまずます。ひと回り小さいモデルと比べて、大きなアドバンテージがあるとはいえないだろう。

インフォテインメント・システムの技術水準はいまひとつ。実際は、ナビの利用時にもスマートフォンとミラーリングさせることが多くなりそうだ。都度発せられる警告音も耳障りだった。

印象的に機能するワンモーション・グリップ

同じ機会に、ワンモーション・グリップと呼ばれる、ステアバイワイヤ・システムも試すことができた。通常は電気信号で操舵されるシステムで、操縦桿のような四角いハンドルが備わる。

市販車への搭載は2年も先ということで、技術者は調整段階だと説明していたが、既に現状でも印象的なほど機能していた。ロックトゥロックは150度しかなく、狭い交差点でもグリップを握り直す必要がないことへ感心した。

筆者は、急旋回時の操作と反応へ最初は戸惑ったものの、想像以上にすぐに慣れる。通常のステアリングホイールより、グリップレベルの情報量は多く感じられた。

可変レシオが原因と思われるが、深く切り込みロックする手前で、精度が悪化するようでもあった。SUVなら大きな問題ではないといえるが。

操縦桿のようなハンドルと、高めのメーターパネルという組み合わせは、運転姿勢が起き気味のbZ4Xとも相性が良さそうだ。RZの場合は、SUVとしてはやや低めの姿勢に設定されている。

レクサスの期待を背負っているであろうRZには、興味深い新技術が盛り込まれ、好印象なドライビング体験へ反映されている。しかし車内空間や航続距離、急速充電能力、インフォテインメント・システムなど、惜しまれる部分も混在している。

英国価格は6万2600ポンド(約1007万円)からで、ジャガー IペイスやiX3などと比較されることになる。ライバルとの戦いを、楽に運ぶことは難しいかもしれない。

レクサスRZ 450e(欧州仕様)のスペック

英国価格:5万3100ポンド(約849万円)
全長:4805mm
全幅:1895mm
全高:1635mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:5.6秒
航続距離:437km
電費:5.4-5.9km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:−kg
パワートレイン:ツインAC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:64kWh
急速充電能力:150kW(DC)
最高出力:313ps
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:−

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みんなのコメント

19件
  • エゴの塊
        何がエコなんだか判らん重くでかいSUV

    BEVでもね。
  • トヨタにはバッテリー作る能力ないからね
    中国トヨタ見てみなよ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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