1980~1990年代には魅力的なステーションワゴンが多数あった。その中からサトータケシが魅力的な5台をセレクトした。
SUV全盛のいまだからこそわかるステーションワゴンのよさ、というものがあると思う。まず、ステーションワゴンが強く見せようとしないところに好感を抱く。たくさんの荷物を積んで遠くまで快適に移動するという機能を優先した設計だから、おのずとデザインも道具っぽくなる。
ちょっとやんちゃになりました──新型BMWアルピナB5リムジン試乗記
そして、これはSUVに限った話ではないけれど、最近のクルマには押し出しの強いフロントマスクで周囲に圧を感じさせる傾向がある。
だからシンプルで機能的な「用の美」は、ちょっと古いステーションワゴンのほうが色濃く感じられる。
ここではいまこそ魅力的に映る、1980年代から90年代にかけてのステーションワゴンを取り上げてみた。
(1)メルセデス・ベンツ・ミディアムクラス(S124)/1985~1995年
「最善か無か」の企業スローガンを体現した最後のメルセデス・ベンツと評されるのが、1985年から1995年まで生産されたミディアムクラス。ワゴンにはS124、セダンにはW124というコードネームが与えられた。ちなみに1993年のマイナーチェンジからEクラスと呼ばれるようになったので、「ミディアムクラスの最終型は初代Eクラス」という、ちょっとややこしい事態になっている。
名車の誉れが高いS124であるけれど、筆者が1990年代半ばに運転したときには、そのよさがまったくわからなかった。よく一緒に仕事をしたカメラマン氏のS124を何度か運転したものの、まったりとした退屈なクルマだとしか思えなかった。
ところが、である。4年前に知人が手に入れたS124(300TE)に乗せてもらって驚いた。「まったり」は変わっていなかったけれど、そこに“退屈”ではなく“癒やし”を感じたのだ。ハンドルの手応えは滑らかで、乗り心地もやさしい。使い込んだ毛布にくるまっているような心地よさがあった。20代の未熟者には、このよさが理解できなかったのだろう。ちなみにステアリング・ギアボックスはボール循環式で、次の2代目Eクラス(W210)からはラック&ピニオンになっている。
なるほど、確かにこの味は現代のクルマにはない。S124/W124の専門店がいくつもあることも納得できる。
日本に正規輸入されたS124のエンジンバリエーションは、2.3リッター直列4気筒ガソリン、3.0リッター直列6気筒ガソリン、そして最終型の2.2リッター直列4気筒ガソリンと3.2リッター直列6気筒ガソリンだった。セダンのW124には用意された4.0リッターV型8気筒やディーゼルエンジンは、ワゴンには設定されなかった。
現在の相場は程度によって100万円程度から、「完全整備」をうたう300万円オーバーのものまで。前出の知人は9万7000kmを走行した300TEを110万円で購入、4年で3.3万kmを走って整備に200万円ほどかかったという。やはり、整備を含めて300万円程度かかると考えるのが妥当かもしれない。
(2)BMW5シリーズ(E34)/1988~1995年
1988年に登場したBMWの3代目5シリーズのコードネームはE34。1990年にステーションワゴンのツーリングがラインナップにくわわっている。ツーリングの日本導入は1992年で、以後、1995年まで販売された。
日本に正規輸入された5シリーズのツーリングは、2.5リッター直列6気筒ガソリンを積む525iツーリングと、4.0リッターV型8気筒ガソリンをおごった540iツーリングの2モデル。
残念ながら540iに乗った経験はないけれど、525iツーリングの直6は「シルキー・シックス」と呼ぶにふさわしい、まさに絹のように滑らかな手触り。NA(自然吸気)エンジンの快音や打てば響くレスポンスなど、内燃機関が提供する最上級の快楽を味わえる。
同時に、かっちりとした足まわりがもたらすソリッドな動きはBMWらしさ横溢。のんびりトコトコと遠くを目指す牧歌的なワゴンじゃなくて、その瞬間、瞬間を楽しむ刹那のワゴンという印象だった。
(3)ボルボ850エステート/1991~1997年
1991年に発表されたモデルで、ミディアムサイズ以上ではRWD(後輪駆動)にこだわっていたボルボがついにFWD(前輪駆動)へと移行した。
特徴は、ご覧のようにカクカクとしたスクエアなスタイル。そのおかげで室内は広々としており、エステート(ステーションワゴン)はとにかくたくさんの荷物を積むことができた。最近のおしゃれになったボルボもいいけれど、この時代のボルボの実直さにも捨てがたい魅力がある。
ほかにあまり例を見ない直列5気筒エンジンを搭載していたこともトピックのひとつ。最もパワフルな850 T5-Rエステートは、2.3リッター直列5気筒ガソリンエンジンをターボで過給し、最高出力240psを誇った。
このモデルは、ワゴンでありながらツーリングカー選手権に出場したことでも話題となった。
1980年代にETC(ヨーロッパ・ツーリングカー選手権)で大活躍したボルボ240ターボは四角いボディから「空飛ぶレンガ」と呼ばれたが、850もその伝統を受け継いでいる。
(4)日産ステージア(WC34)/1996~2001年
1996年にデビューした初代日産ステージアは、基本的な成り立ちが当時のスカイラインと共通で、したがってスポーティに走るワゴンだった。1989年に登場して一世を風靡したスバル「レガシィ・ツーリングワゴン」の対抗馬という役割も担った。
2.0リッターと2.5リッターの直列6気筒ガソリン・エンジンと、2.5リッターの直列6気筒ガソリンターボ・エンジンのラインナップ。6気筒のみに絞ったのが、当時の和製ステーションワゴンでは画期的だった。
後に、スカイラインGT-R(R33型)と共通のパワートレーンを与えられた260RSという特別仕様がオーテックジャパンから発表され、現在も少数ながら中古車市場に流通している。
当時の日本車には、個人オウナーをターゲットにした高級ステーションワゴンがなかったこともあって、ステージアは大ヒット。莫大な有利子負債を抱えた当時の日産を支えた1台だった。
(5)ホンダ・アコード・ワゴン(CB9)/1991~1994年
1991年に発表された初代アコード・ワゴンは、ほかのワゴンとは別の理由で人気を集めた。荷物が載るとか速いといった理由ではなく、カッコいいからという理由で人気となったのだ。
アコード・ワゴンはどことなく日本離れしたバタ臭い雰囲気があったが、企画立案やデザインをアメリカのホンダが主導、アメリカで生産して日本に入ってくるいわゆる“逆輸入車”だった。日本ではU.S.アコードワゴンと称して“アメリカン”を強調した。
ちなみに当時のアコードにはクーペも設定されていたが、こちらもアメリカ生産の逆輸入車だった。いずれも、ボディサイドにはアメリカ生産であること示す“Honda Of America”と書かれたエンブレム付きだった。
エンジンは2.2リッターの直列4気筒ガソリン・エンジンのみで、駆動方式もFWDだけ。ターボエンジンでパワフルに走り、フルタイム4駆システムを備えた当時のライバルに比べるとスペックは明らかに劣ったものの、垢抜けたライフスタイルを想起させるデザインで人気を博した。
文・サトータケシ
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80~90年代の車だからメンテも大変だろうけど欲しい