1989年、初代レガシィが発売され、ステーションワゴン人気に火が付く。ワゴン界のトップを独走するレガシィを倒すため、トヨタが送り込んだのが、カルディナだった。
カルディナは、1992年から2007年まで、15年に渡り販売された。人気はあったが、打倒レガシィの目的を果たせずに、幕を下ろしたクルマである。
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なぜ、カルディナはレガシィを倒すことができなかったのだろうか。その理由について、販売現場での経験も踏まえながら考えていきたい。
文/佐々木亘 写真/TOYOTA、SUBARU
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■初代カルディナが起こした失敗
打倒スバル レガシィを目標に1992年に登場したトヨタ カルディナ
レガシィが爆発的に人気を得た一つの理由は、「乗用車」であったことだ。
レガシィ登場前からワゴン車は当たり前のように存在していたが、その中心は商用バンだった。そのなかで、バンのイメージを完全に払拭し、新しいワゴンの価値を作り出したレガシィは、大成功を収めたのである。
バンのイメージが残っていると、乗用車としては敬遠される。近年で見ると、商用車として人気のサクシードに、乗用タイプのサクシードワゴンを用意していたが、ワゴンの売れ行きは良くなかった。
カルディナの失敗は、商用バンが併売されたことから始まっている。バンとワゴンが同一車名を使い、エクステリアも似ているのでは、乗用車カルディナに乗るユーザーがいい気分にはならないだろう。ステーションワゴン・カルディナのイメージダウンにしかつながらない。
サニー対コロナ、ストリーム対ウィッシュなど、トヨタが後発でデビューさせたクルマは、ライバル対決を制してきた。後出しの優位性はあるが、トヨタがライバルを研究し、さらに良いクルマを作り出す力は本物である。
ただ、カルディナを送り出した際の研究は、少し足りなかったように思う。バンの併売がなければ、初代カルディナのスタートダッシュは、しっかりと決まっていただろう。
■レガシィにはない魅力もあったカルディナ
2007年に生産終了となった最終型のカルディナ(=3代目)。買い替え時期になるとレガシィへの乗り換えを検討するオーナーが多かった
筆者が販売現場に立ち始めたのは、すでにカルディナはドロップアウトした後だ。最終モデルの販売が終わり、約5年が経過したころである。多くのカルディナオーナーは、買い替えのタイミングに入っていた。
車検6か月前の点検時に、カルディナオーナーと話をしていると、次の乗り換えはレガシィにするつもりだと伝えられることが多かった。当時、アイサイトver.2が搭載され、話題性も高かったレガシィへ買い替えるのも必然かと考えたのだが、ひとつの疑問が出てきた。
なぜカルディナオーナーたちは、カルディナを購入した当時から、レガシィを選ばなかったのだろうか。
商用バンの併売によって「乗用車」のイメージが薄くなったのがカルディナの失敗のひとつだろう
仲の良かったカルディナオーナーも、トヨタで乗りたいクルマがなくなったと、レガシィへの乗り換えを決めていた。そこで、この疑問を投げかけてみたところ、次のような答えが返ってきた。
「レガシィはカッコよかったし、クルマの性能もいいんだろう。だけど、水平対向エンジンとか見た目とか、こだわりが強すぎて、とっつきにくかった。その点カルディナは普通のクルマとして乗れるし、家族を乗せても文句は出ない。トヨタの安心感というか、落ち着きの良さがあって、カルディナを選んだよ」
ステーションワゴンが高性能でスポーティなクルマというのは、レガシィが付けたイメージだ。しかしなかには、ステーションワゴンに対して、セダンのような落ち着きや優雅さを求めるユーザーもいただろう。
カルディナオーナーたちは、ステーションワゴンに対して、圧倒的な走行性能を求めていたわけではなかったのかもしれない。レガシィが作った、ステーションワゴン=スポーティのイメージ壊し、新たなステーションワゴンの価値を提案していくことが、カルディナにはできたのではないだろうか。
■カルディナはレガシィを意識しすぎた
打倒レガシィを目標にするあまり、レガシィを意識しすぎたカルディナ。写真は260psを発揮する2L直4ターボエンジン搭載のGT-FOUR
長年販売の現場に立っていると、「このメーカーだから、このクルマは大ヒットした」と思えるクルマがいくつか存在する。レガシィもそのひとつだ。スバルが売ったからこそヒットした。
同じクルマをトヨタが売ったら、ヒットになっただろうか。答えは否だ。メーカーに色があれば、販売店にも色がある。売りやすい色と売りづらい色のクルマが存在し、レガシィのカラーは、トヨタにとって圧倒的に売りにくいものだと思う。
カルディナは、レガシィをとことん追い続けたことで、トヨタカラーが失われ、トヨタの売り方とマッチングしなかった。特に、カルディナを専売していたトヨタ店とトヨペット店では、やんちゃ坊主感が否めなかったはずだ。高級路線のディーラーでは、扱いにくさが目立つ。
カルディナとレガシィは、現在の86とBRZにどこか似ている。同じコンセプトのクルマでも、扱うメーカーが違えば、その評価も変わってしまうわけだ。
カルディナは、レガシィを意識しすぎた。フルモデルチェンジを繰り返すたびに、トヨタらしさを失ってしまったクルマのひとつだろう。
カルディナが、レガシィに寄せたクルマ作りではなく、もっとトヨタらしさを前面に押し出したクルマになっていたら、今頃どうなっていただろう。
レガシィが作った土俵で勝つことはできなくとも、ステーションワゴンという土俵の中では、勝機があったのかもしれない。
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みんなのコメント
あと、この分野ではスバルは歴史が長く、ステーションワゴン作りには長けている。一夜漬けで同じようなものは作れまい。
レガシィと同じ土俵に上がろうとしたライバルは、皆消えてしまったね