現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ホンダとマツダが市販予定のEVは、いずれもバッテリーが小さめな理由について考える

ここから本文です

ホンダとマツダが市販予定のEVは、いずれもバッテリーが小さめな理由について考える

掲載 更新 36
ホンダとマツダが市販予定のEVは、いずれもバッテリーが小さめな理由について考える

駆動方式の異なる「Honda e」、「MX-30」ともバッテリー搭載量は35.5kWhと発表されている

2020年は国産メーカーからEV電気自動車)が続々と登場すると予想されている。2019年に開催された東京モーターショーにおいても、ホンダが「Honda e」、マツダが「MX-30」と、ほぼ市販状態といえるEVを出展した。どちらも2020年内に欧州での発売が予告され、追って日本国内でも販売されるようになるであろう、もうすぐ手に入るEVだ。

どこかクラシカルなHonda e、クーペSUV的なMX-30とスタイリングは別方向であるし、駆動方式についてもホンダはRWD、マツダはFWDを選択した。さらにホンダはピュアEVを想定しているが、マツダはロータリーエンジンを使ったレンジエクステンダー(発電機を積んだ)EVに発展できるプラットフォームとしているなど違いは多い。

しかし、この2台には意外な共通点がある。それはバッテリー総電力量が35.5kWhであることだ。この数字自体が共通なのは偶然だろうが、それでも現時点でEVに求められる要素やポジションを示しているように思える。

EVについては、ユーザーの多くは満充電での航続可能距離が商品性として重視しているように思える。35.5kWhというバッテリー搭載量では実質的には200km程度の航続距離しか期待できず、その点からしてHonda e、MX-30には失望するような声もある。しかし、ホンダやマツダという規模のメーカーにとっては、大量にバッテリーを積んで航続距離を伸ばしたEVを販売するインセンティブはないといえる。

まず、現時点でEVが必要とされているのはCAFEと呼ばれる企業平均燃費(≒CO2排出量)の規制をクリアするためのものといえる。ここで重要なのはEVの販売台数となる。魅力的なEVを出しても、販売台数が少なければCAFE規制をクリアする力にはならない。そのためには数を作ることができ、大量販売につながるEVを生み出す必要がある。

EVの価格は、その大きなコスト要因であるバッテリー搭載量に影響される部分が大きい。そのためバッテリーを少なめにするというのは、ある程度の価格帯に収めるためには必要な判断となる。

もうひとつ、EVの生産量にはバッテリーをどれだけ手配できるかが影響する。EVに使えるバッテリー供給能力は、まだまだ世界中の自動車メーカーが一気にEVシフトしたといしても対応できる規模ではない。仮に10個のバッテリーが用意できたとして、一台に1個のバッテリーを搭載すれば10台のEVを作れるが、一台につき2個のバッテリーを積むと5台しか作れない。バッテリーを手配できる量と売りたい台数の関係を考える必要もある。

つまり、台数ベースで、それなりの数を売ろうとすると、バッテリー搭載量を控えめにしたEVを開発するというのはメーカーとしては正義といえるのだ。さらに重要なのはLCA(ライフサイクルアセスメント)ベースでのCO2排出量を考慮すると大量のバッテリーを積むEVというのは、バッテリー製造時でのCO2排出量が大きくなってしまうという問題がある。LCAで見たときのCO2排出量にフォーカスするならば環境負荷の点からも“ほどほど”のバッテリー搭載量にとどめたEVは正義となる。

もちろん、これは作り手サイドのロジックであって、ユーザーとしては「知ったこっちゃない」話なのも事実。市場は安くて航続距離の長いEVを求めている。

とはいえ、35.5kWhというバッテリー搭載量はEVとして少ないとは思えない。個人的に、30kWhしかバッテリーを積んでいない日産リーフ(初代・後期型)を普段の足として月500kmほど使っているが、日常的な用途であれば週に一度程度の充電で事足りているし、急速充電が必要となる遠出というのも年間に数えるくらいだ。航続距離が200km程度のEVがすべてのニーズを満たせるとはいわないが、少なくとも年間平均走行距離が7000km以下のユーザーが6割を超えるという日本のクルマ社会においては「まったく使えない」と言ってしまうほど酷いレベルでもないと思う。もちろん、納得できる価格でなければユーザーに支持されないだろう。価格面ではメーカーの頑張りを期待したい。

文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

10年前のEVの実力ってどんなもんだった? 試乗してわかったBMWのEV「i3」の実力【ベストカーアーカイブス2013】
10年前のEVの実力ってどんなもんだった? 試乗してわかったBMWのEV「i3」の実力【ベストカーアーカイブス2013】
ベストカーWeb
「東京高速道路」59年の歴史に幕! 「首都高都心環状線の迂回路が閉鎖」その影響とは でも“風景”はほぼ変わらない?
「東京高速道路」59年の歴史に幕! 「首都高都心環状線の迂回路が閉鎖」その影響とは でも“風景”はほぼ変わらない?
乗りものニュース
59年の歴史に幕! 銀座ビル街を抜ける“無料高速”「KK線」廃止 「新幹線並走」「周囲ネオンサイン」の景色も見納め… 今後は「歩行者空間」として再生へ
59年の歴史に幕! 銀座ビル街を抜ける“無料高速”「KK線」廃止 「新幹線並走」「周囲ネオンサイン」の景色も見納め… 今後は「歩行者空間」として再生へ
くるまのニュース

みんなのコメント

36件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

293 . 6万円 340 . 7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

139 . 9万円 335 . 8万円

中古車を検索
マツダ MX-30の買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

あなたの愛車、今いくら?

申込み最短3時間後最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!

あなたの愛車、今いくら?
※1:本サービスで実施のアンケートより (回答期間:2023年6月〜2024年5月)
メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

293 . 6万円 340 . 7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

139 . 9万円 335 . 8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

あなたの愛車、今いくら?

申込み最短3時間後最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!

あなたの愛車、今いくら?
※1:本サービスで実施のアンケートより (回答期間:2023年6月〜2024年5月)
メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村

ガソリン軽油割引中