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2020年、中国を皮切りにEVを本格投入するトヨタが明かしたEV戦略とは?

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2020年、中国を皮切りにEVを本格投入するトヨタが明かしたEV戦略とは?

先日、トヨタがEVなど電動車の年間販売が550万台になる時期が当初の目標より5年程度、前倒しなることを説明し、話題になった。そんなメディア向け説明会のレポートをトヨタが公式HPにて公開したので、動画と合わせて紹介しよう。

【動画】「EVの普及を目指して」メディア向け説明会 プレゼンテーション・Q&A(1)

EVの販売目標を5年前倒し!トヨタが電動化を急ぐ理由



https://youtu.be/UgvGuevc3Lo

【動画】「EVの普及を目指して」メディア向け説明会 Q&A(2)



https://youtu.be/jMOg0y82XFM

車両電動化への取り組み

「私共は、モーター、バッテリー、パワーコントロールユニットの3つを電動化コア技術と呼んでいます。それらに固有のユニットを加えることで、FCV、EV、PHV、HVと様々な電動車両になります。そして、自動運転の技術やコネクティッドの技術が加わることで、MaaSをはじめとする次世代のモビリティサービスになります。」

「トヨタは、コアとなる技術を開発し、完成車の提供だけに拘らず、システムや技術の提供など、様々な形で皆様のお役に立ちたいと考えています。」

「電動車の普及は、CO2排出量削減には必須です。トヨタは、新車から排出される走行時のCO2排出量を、2050年には、2010年に比べて90%削減するという、長期的な目標を掲げています。」

「そのマイルストーンとして2030年の新車販売においてHVとPHVで450万台以上、EVとFCVで100万台以上、合計で電動車を550万台以上とするという目標を2017年に発表しました。」

「発表してからまだ1年半ほどしか経っていませんが、この目標を上回るスピードで電動化が進展しています。おそらく、5年近くは先行しそうです。世界各地で、CO2排出量削減に向けて、電動車両への期待が高まっています。我々もこれに応えるべく、準備をさらに急ぐ必要があります。」

「電動車両のうち、走行中にCO2を排出しない、ゼロエミッションヴィークルについても、様々な取り組みを進めています。EVは、私共が「歩行領域」と呼ぶものから2人乗りの超小型、通常の乗用車など、幅広く開発しています。」

「中央にあるe-パレットはMaaSを具現化したものでEVを想定しています。
2020年 東京オリンピック・パラリンピックを見据えて開発が佳境に差し掛かっています。」

「EVについては、2020年に中国を皮切りにEVを本格投入、以降、グローバルに車種を増やしていき、2020年代の前半には、10車種以上にする、という計画をこれまでに発表しています。」

「そして、今年4月の上海モーターショーで、中国より本格投入するEVを発表しました。計画通り、EV導入の準備を進めています。」

「ここからは、今後のEVの普及を念頭においた最新の取り組みをご説明いたします。まず初めに、その要点をここに示します。協調の姿勢でオープンに仲間を募り新たなビジネスモデルを構築していきます。」

「具体的には、一つ目、超小型EVを活用したビジネスモデル構築にまず、日本で挑戦、二つ目、中国、米国、欧州などの市場ができつつある地域に向けては、様々なタイプのEVを効率的に開発、三つ目、商品力向上のキーである電池については、高性能、特に劣化しにくい電池に拘って開発、さらに、電動車の急速な拡大に対応するため、世界の電池メーカと協業し供給体制を整備いたします。これらについて、一つずつご説明いたします。」

「こちらは世界のEV市場の様子を簡単にまとめたものです。2018年に世界で約120万台のEVが販売され、その半数以上が中国、それに米国、欧州、日本が続いています。」

「どの地域も、政府や自治体による規制や補助金などのEV奨励策のもとで市場が作られているのが現状です。奨励策が無くてもお客様に従来車と遜色なく選んでいただける、つまり、普及できるEVを早急に準備しなくてはならないと考えています。」

EV普及に向けてこれからトヨタが取り組むこと

「EVの普及をどのように進めていくのか、基本的には、このように考えています。単にEVを開発製造し、販売店様に卸し、お客様に届ける、という、従来のビジネスモデルに拘らずに、社会にお役に立てるにはどうしたらよいか、を考え、私共と志を同じくする仲間をオープンに幅広く募り、新しいビジネスモデルを作っていく、ということです。」

「そのビジネスモデルの概要です。耐久性の高い高性能な電池で商品力を向上することをはじめ、製造から廃却まで、EV及び電池を最大限に活用し、普及における課題に対応します。」

「具体的には、販売に加えてリースも充実、確実に回収し、お客様が使われた後の電池の状態を査定、その上で中古車として流通させたり、電池を補給部品やクルマ以外の用途も含めて再利用し、電池をしっかり使い切る、さらには、お客様に安心して使っていただけるよう、充電サービス・保険等の周辺サービスもEVに最適なものを整備いたします。」

「このようなビジネスモデルを、様々な分野のパートナーの皆様と一緒に作ることを考えています。また、クルマを使っていただくお客様と直接対話し、お客様が必要とする商品を開発、提供していきたいと考えています。」

「これは、私たちがEVビジネスを考えていく中で日々お聞きする、日本のお客様の声を簡単にまとめたものです。免許取り立ての若い方や、ご高齢の方々の日常移動であったり、訪問巡回のような法人利用であったり、都市、山間部などそれぞれの地域に即した安心・自由かつ環境に良い移動手段を確保したい自治体の皆様など、お客様ごとに様々なご要望を頂いています。」

「その中で、EVは比較的サイズが小さく移動距離の短い移動体として、ビジネスチャンスがあると考えています。」

「こういった声に応えるべく、現在、開発しているEVをご紹介します。まず、軽自動車よりも小さいサイズのEV、私共は超小型EVと呼んでいます。2017年の東京モーターショーで、画面の一番左にあるコンセプトモデルi-RIDEを発表しました。」

「現在、この画面中央に示すように、このクラスのEVの市販化に向けた開発を進めています。さらに、右側に示すよう、ビジネスにフォーカスしたクルマの検討も進めています。」

「この超小型EVは、2020年の発売を予定しています。免許取り立ての若い方や、ご高齢の方々など、日常の移動を支える取り回しのしやすいクルマ、企業の視点では、お客様のところへ毎日巡回訪問するような近距離移動の用途で環境に良い業務用車として使っていただく事を想定しています。」

「定員2名で軽自動車より小さいサイズ、一充電で100km程度の走行を目標としています。」

「次にこちらは、i-Roadと呼ぶ3輪のEVです。先ほどの超小型EVよりもさらに小さい、2輪車に近いサイズです。従来より、都市部や観光地でのシェアリングサービスなどを想定した、公道での実証実験を重ねています。」

「さらに人が歩いて移動する範囲をカバーするEVについても、これまで開発を進めてきました。画面左が2017年の東京モーターショーに出展した、i WALKというコンセプトモデルです。」

「モーターショー以降、ここメガウェブの周辺でイベントの際の移動手段として、実際にお客様に使っていただいたり、中部国際空港や成田空港での巡回警備など、実証実験を進めてきました。2020年の発売を目指して準備を進めています。」

「この歩行領域EVについては、他にも、バリエーションを検討しています。画面左側は、座り乗りタイプ、荷物が多いときや、長い時間歩くことが苦手な方、歩行に支障がある方に使っていただく事を考えています。画面右側、手動車いすに取り付けることで動力源になる車いす連結タイプです。」

超小型EV・歩行領域EVの普及に向けた取り組み

「こうしたEVをお使いいただくために、開発・販売から廃却まで通したEVビジネスモデルを準備しています。既に、それぞれの分野において、一緒に事業を進めていただくパートナーを募り、具体的なお話をしています。」

「また、お客様となる企業や自治体の皆様と、どのような性能、機能を持つ商品が良いのか直接お話しながら進めています。将来のパートナーやお客様として、想いを共有し、検討のテーブルについていただいている企業・自治体の皆様の数は、合わせて40団体程度になります。」

「このようなビジネスモデルのもとで、EVのラインナップを揃え、通常のクルマの運転ができる人から高齢者の方、免許返納された方、車いすを使われる方々まで、一人ひとりのライフステージに合わせた安全安心な移動を提供していきます。」

「地域やお客様のニーズに寄り添い、「顔が見える」「心のこもった」お手伝いをさせて頂くことで生活を支援する取り組みを進めたいと考えています。」

「中国、米国、欧州など、EVの需要の高い市場に向けて、“普及”を念頭に置いた開発を進めています。お客様のニーズに応じ、多くの方に選んでいただくために必要十分なバリエーションを、リーズナブルな価格で提供できるよう、効率的な開発に取り組んでいます。」

効率的な企画/開発

「具体的には、複数のバリエーションについて、それぞれ得意分野を持つパートナー企業の皆様と共同で企画及び開発を進めています。お客様のニーズを整理し、様々な大きさ、スタイルの6つのバリエーションを考えています。」

「特に、ミディアムSUVについては、SUBARUと共同で企画・開発を行い、さらには、コンパクト車をスズキ、ダイハツ工業と共同企画しています。」

「こちらは、EV専用のプラットフォームの考え方です。SUBARUと共同で企画しています。トヨタの中では、TNGA : TOYOTA NEW GLOBAL ARCHITECTUREの一つと位置付け、e-TNGAと呼んでいます。」

「フロント及びリヤのモーターユニットやフード内のレイアウト、前輪に対するドライバーの位置、電池の幅などは固定し、ホイールベースや電池の搭載量、オーバーハングなどを変えます。このように固定部位と変動部位を決めて複数バリエーションに対応します。」

「モーター、パワーコントロールユニットなどの専用EVユニットもSUBARUと共同で企画しています。数種類のモーターを組み合わせることで必要とされる駆動方式と動力性能に柔軟に対応します。」

「まとめるとこのようになります。フロント・センター・リヤなど数種類のモジュールやユニットを組み合わせることで様々なバリエーションの車両を効率的に展開します。」

「この考え方で、画面に示すような、様々な大きさ、スタイルのバリエーションを作ることができます。」

「今回ご説明したEVの企画開発は、ゼロエミッションビークルの商品開発や事業企画を推進する専門組織である、“トヨタZEVファクトリー”で行っています。」

「EVの開発については、これまでにEV C.A. Spiritを設立し、多くのパートナー企業様と連携、各社から専任エンジニアに出向いただき共通となる基盤技術の開発を進めています。」

トヨタZEVファクトリーの役割

「ZEVファクトリーでは超小型モビリティからグローバルに展開するEVの開発を行います。さらに今後は、FCVの企画も進めます。」

「ZEVファクトリーでは多くの企業・団体からのご協力をいただいています。共同で企画開発を進める企業はもちろん、ユニットや部品をお願いする企業など、多くのパートナー企業・団体の皆様と一緒に開発を進めています。」

グローバル展開のEVの普及に向けて

「グローバル展開のEVについても、EVの普及を念頭においたビジネスモデルを作っていきます。」

「電池は、電動車に共通するコア技術であり、性能を大きく左右するキーとなる技術です。トヨタがハイブリッド車の累計販売1,300万台を達成する過程で培った技術は、もちろんEVに応用いたします。」

「その具体例を一つ示します。このグラフは、ハイブリッド車について車両重量あたりの電池の容量と燃費をプロットしています。ここにトヨタの電動化システムの効率の良さを見ることができます。」

「一般的には、電池の容量が大きい方がたくさんエネルギーをためることができ、ハイブリッド車の燃費向上に有利になります。しかし電池の容量が大きければ大きいほど、重くなり搭載スペースも必要で、さらに値段も高くなります。」

「このグラフから、トヨタのハイブリッドシステムは他社のシステムより電池容量が小さいが、システムの効率が良く燃費が良い事が分かります。これは、電池、パワーコントロールユニット、モーターと効率的に電力を出し入れして使っている事を示しており、この技術は、効率の良いEVを作ることにつながります。」

「この技術はプラグインハイブリッドにも活用しています。このグラフはプリウスPHVと他社のPHVについて、電池容量あたりのEV走行距離を比較したものです。プリウスPHVは、他社よりも長いEV走行距離を実現しています。」

「ハイブリッド車の開発で蓄積した技術が、PHVのEV走行の性能向上に活用でき、つまりはEVにも活用できるということが、お分かりいただけると思います。」

「次に、EVの性能に大きく影響する電池の耐久性、すなわち、長期間使用した後の電池の残存容量について説明します。プリウスPHVは2012年発売の初代、2017年発売の2代目、ともに当時としてはトップレベルの電池の耐久性を実現しました。」

「電池の材料、パック構造や制御システムなど、様々な面で電池の劣化を抑制する技術の蓄積の結果です。2020年に導入するC-HRのEVでさらに高いレベルを目指し、グローバル展開のEVが市販化される際には、そのさらに上、世界トップレベルの性能を達成すべく継続して開発を進めます。電池の耐久性能の向上は、「環境性能にすぐれた魅力あるEVの提供」につながります。」

「さらに先ほどお話したように、EVの新たなビジネスモデルの中で、中古車販売や電池リユースの事業化を進めようとしています。「電池の耐久性能」は、一層重要性が増していきます。」

「次に、電池の供給についてお話します。電動車は私たちの当初の想定を超えて増えていっており、さらに、HVやPHVより、EVの方が大きな容量の電池を必要とします。多くの電池を短い期間で準備しなくてはなりません。開発と供給の両面から、新たな体制づくりを進めたいと考えています。」

「これまで、トヨタの電池のパートナーとして、プライムアースEVエナジーを設立、さらにPanasonicと共同で新会社を準備しています。電動車両が急拡大する中、地域の様々なニーズに応えながら迅速に対応しなくてはなりません。」

「そのためにトヨタの開発のビジョンに共感いただける世界の電池メーカー、具体的には、CATL、BYD、GSユアサ、東芝、豊田自動織機、と協調・連携し、電動車の普及を叶える電池調達の体制を整えていきます。」

トヨタが伝えたいこと

「EVを普及させる、お客様に選んでいただけるEVを準備するためには、車両の開発、電池の安定的供給や耐久性能の向上、使用後のリユースなどへの備えなど、やるべき事がたくさんあります。」

「トヨタはそれに向けて、新しいビジネスモデルの構築など体制作りを着々と進めてまいりました。」

「より良い社会への貢献を視野に、これまでより幅広くオープンに仲間を募り、思いを共有するたくさんの方々と一緒にこの取り組みを加速させていきたいと考えています。」

「トヨタは、自動車会社からモビリティーカンパニーへモデルチェンジし、全てのお客様に移動の自由を提供する企業になっていきたいと考えます。」

「また、ホームプラネットの視点に立ち、地球規模で、電動車の普及拡大、つまりは、CO2排出量の削減や大気汚染の低減などの環境課題に貢献したいと考えています。」

関連情報:https://global.toyota/jp/

構成/編集部

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