現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > SUVブーム前夜の隠れた実力派! ダイハツ ビーゴが一代限りで消えた理由【偉大な生産終了車】

ここから本文です

SUVブーム前夜の隠れた実力派! ダイハツ ビーゴが一代限りで消えた理由【偉大な生産終了車】

掲載 更新 11
SUVブーム前夜の隠れた実力派! ダイハツ ビーゴが一代限りで消えた理由【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

スズキスイフト新型スタンバイ!! ほかスズキ&ダイハツ2022年のラインナップを追う!

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はダイハツ ビーゴ(2006-2016)をご紹介します。

【画像ギャラリー】出てくるのがもうすこし早ければ…!? ダイハツ ビーゴを30枚の画像で振り返る

文/伊達軍曹、写真/DAIHATSU

■デザイン・居住性・走破性・ユーティリティ…あらゆる点で世界一を目指したコンパクトSUV

 SUVといえども「街乗り重視」なものがすでに中心となっていた2006年。

 あえて1.5L直4エンジンを縦置きし、メカニカルセンターデフ方式のフルタイム4WDを介し四輪を駆動するという硬派な作りを持った小型SUVとして登場。

 その後10年間は頑張ったものの、「よりライトなもの」が好まれる世の中の風潮にはあらがえず、2016年をもって消滅したモデル。

 それが、ダイハツ ビーゴです。

 ダイハツ ビーゴはダイハツとトヨタが共同開発したコンパクトSUV。まずは2005年の東京モーターショーで発表され、翌2006年1月に発売されました。

ダイハツ ビーゴ(2006-2016)。名前の由来は英語で「Be→go*」で、「Be(ある・いる)」から「Go(出る・行く)」への変化を意味。生活や意識に変化をもたらす積極的な行動できるクルマをイメージ *「→」は右向きの黒三角

 トヨタブランドで販売されるOEM供給車「トヨタ ラッシュ」も、このとき同時に発売されています。

 ボディサイズは全長3995mm×全幅1695mm×全高1705mmで、ボディ構造は「ビルトインラダーフレーム式モノコックボディ」。

 これは通常のモノコックボディに屈強なラダーフレームを組み合わせて一体化させた強固なものです。

 そのビルトインラダーフレームに組み合わされた4WDシステムは、俗に言う「生活四駆」ではなく、メカニカルセンターデフロックの付いた本格的なフルタイム4WD。

悪路走破性はもちろん、発進加速性能や高速安定性に優れたフルタイム4WD、滑りやすい路面や雪道で威力を発揮する最新機能を採用した「VSC=車両安定制御」を装備

 ぬかるみなどにハマった場合には、インパネのスイッチで前後輪を直結状態にすることができます。

 またメーカーオプションとして装着された「VSC(ヴィークル・スタビリティ・コントロール)」には、4WDのAT車の場合は「DAC(ダウンヒル・アシスト・コントロール)制御&ヒルスタート・アシスト・コントロール機能」も備わっています。

 搭載エンジンは同時期のトヨタbBにも採用された最高出力109psの「3SZ-VE型」1.5L直4DOHCで、駆動方式は前述してきたフルタイム4WDのほかにFRを用意。そしてトランスミッションは4速ATを基本としつつ、4WDでは5MTを選択することもできました。

 以上のような成り立ちで登場したダイハツ ビーゴおよびトヨタ ラッシュは、ビッグヒットを記録する類の車ではありませんでしたが、雪深い地方などではそれなりに重宝され、2008年11月のマイナーチェンジを経て2016年まで製造され続けました。

 しかし同年2月には残念ながらオーダーストップとなり、3月末には販売を終了しています。

■本格的な4WDであったゆえに!? ビーゴ/ラッシュが1代限りとなった理由

 ナリは小さいが、実はけっこう本格的な4WD車であったダイハツ ビーゴ/トヨタ ラッシュが、10年は続いたものの、結果として1代限りで終わってしまった理由。

 それは「本格的な4WDだったからこそ」ということになるのでしょう。

 前述のとおり、雪国などではまずまず愛好されたビーゴ/ラッシュでしたが、「雪や悪路をもとともせず走れる小ぶりな車」というジャンルには、スズキのジムニーおよびジムニーシエラというスーパースターがいます。

 軽自動車をベースとしているジムニーシエラと比べて、ビーゴ/ラッシュは「登録車ベースゆえに車内が広い」というアドバンテージはありますが、それだけで超強敵であるジムニー軍団を撃破できるはずもありません。

 当然ながら「日常的に悪路を走るのではなく、たまに趣味としてオフロードや雪道に行く」という人にもそれなりに買ってもらわないことには、ビジネスとして成り立たないのです。

 しかしご存じのとおり日本におけるいわゆるクロカンブームは、1990年代半ばにはもう陰りを見せていました。

 そしてその後は、本格的で屈強な「クロカン」ではなく、舗装路に強いタイプの4WD SUVや、何なら形はSUVなのですが、駆動方式は完全なFFであるライトなSUVが主流となっていきました。

リヤシートを格納することにより、755Lのラゲッジスペースを実現。撥水フルファブリックシートなどアウトドアに嬉しい各種装備も

 そうなると当然、ビーゴ/ラッシュに採用された本格的な機能や部品は「余計なもの」「ムダなもの」でしかなくなります。

 99%ぐらいは舗装された道だけを走って、雪道や砂利道を走るのはせいぜい1%ぐらいのことであるならば、「生活四駆」で十分なのです。何ならばFFでいいのです。というかむしろFFのほうが燃費が良いため、好まれるでしょう。

 その結果としてダイハツ ビーゴおよびトヨタ ラッシュは、さすがにジムニー軍団に取って代わることはできず、かといって都市部に住むライト層に受け入れられることもなく、約10年の“生涯”を終えました。

 そして――直接の後継車ではないのですが、間接的な後継モデルといえるダイハツ ロッキーとトヨタ ライズは今、ご承知のとおりよく売れています。

 聞くところによれば、両モデルにおけるFF車の比率は7割から8割ほどに上るそうです。

 そのことを、「本格」を目指したビーゴ/ラッシュが草葉の陰でどう思っているのか、筆者にはわかりません。

 しかし、あえて本格を目指し、そして散っていったビーゴ/ラッシュのことは――いつまでも覚えていたいと思います。

■ダイハツ ビーゴ 主要諸元
・全長×全幅×全高:3995mm×1695mm×1705mm
・ホイールベース:2580mm
・車重:1180kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1495cc
・最高出力:109ps/6000rpm
・最大トルク:14.4kgm/4400rpm
・燃費:15.2km/L(JC08モード)
・価格:181万6500円(2006年式 CX 4WD 5MT)

【画像ギャラリー】出てくるのがもうすこし早ければ…!? ダイハツ ビーゴを30枚の画像で振り返る

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【アメリカ】トヨタの「小型SUVコンセプト」がスゴかった! 全長4.3m級ボディに“ゴツ顔”採用! “次期FJクルーザー”ともいわれた「FT-4X」とは?
【アメリカ】トヨタの「小型SUVコンセプト」がスゴかった! 全長4.3m級ボディに“ゴツ顔”採用! “次期FJクルーザー”ともいわれた「FT-4X」とは?
くるまのニュース
チェックするタイミングはいつ!? バイクのチェーンとスプロケの点検頻度は?
チェックするタイミングはいつ!? バイクのチェーンとスプロケの点検頻度は?
バイクのニュース
【スポーティグレード追加】ノート・オーラに「オーテック・スポーツ・スペック」 走りをチューン
【スポーティグレード追加】ノート・オーラに「オーテック・スポーツ・スペック」 走りをチューン
AUTOCAR JAPAN
疲労を軽減する「インテリシート」オペルが開発、新型SUV2車種に採用へ
疲労を軽減する「インテリシート」オペルが開発、新型SUV2車種に採用へ
レスポンス
ヤマハの電動アシスト自転車『PAS』、2025年モデル「11車種の特徴と違い」を比較チェック!
ヤマハの電動アシスト自転車『PAS』、2025年モデル「11車種の特徴と違い」を比較チェック!
レスポンス
BYD、佐賀県初の正規ディーラーをオープン
BYD、佐賀県初の正規ディーラーをオープン
レスポンス
どんな由来があるのか知ってる? バイクにまつわる専門用語
どんな由来があるのか知ってる? バイクにまつわる専門用語
バイクのニュース
モデリスタやば!! 新型アルファード専用エアロが鬼カッコいい件
モデリスタやば!! 新型アルファード専用エアロが鬼カッコいい件
ベストカーWeb
車のナンバー 謎の「2784」どんな意味? 読めたら「天才」! まるでパズルのような難解「語呂合わせナンバー」に込められた思いとは
車のナンバー 謎の「2784」どんな意味? 読めたら「天才」! まるでパズルのような難解「語呂合わせナンバー」に込められた思いとは
くるまのニュース
ホンダ青山ビル、建て替えで2025年5月に業務終了 新本社は2030年完成予定
ホンダ青山ビル、建て替えで2025年5月に業務終了 新本社は2030年完成予定
日刊自動車新聞
【TAS2025】スズキ 「SUZUKI BOOST GARAGE」をテーマに参考出品を含め7台を展示
【TAS2025】スズキ 「SUZUKI BOOST GARAGE」をテーマに参考出品を含め7台を展示
Auto Prove
トヨタ『MIRAI』が動力源の水素キッチンカー、汐留クリスマスマーケットに出店へ…12月21-22日
トヨタ『MIRAI』が動力源の水素キッチンカー、汐留クリスマスマーケットに出店へ…12月21-22日
レスポンス
ついに1000万円超えた、トヨタ『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEV…510万円からの入門車も
ついに1000万円超えた、トヨタ『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEV…510万円からの入門車も
レスポンス
とうとう1000万円超え!! 新型アルファード/ヴェルファイアが衝撃の姿に
とうとう1000万円超え!! 新型アルファード/ヴェルファイアが衝撃の姿に
ベストカーWeb
ホンダ新型「プレリュード」2025年登場へ! 新ハイブリッド搭載? 迫力エアロ仕様もあり!? 24年ぶり復活の「スペシャリティクーペ」どんなクルマになるのか
ホンダ新型「プレリュード」2025年登場へ! 新ハイブリッド搭載? 迫力エアロ仕様もあり!? 24年ぶり復活の「スペシャリティクーペ」どんなクルマになるのか
くるまのニュース
カワサキ「シェルパ」延期していた発売日が12月25日に決定
カワサキ「シェルパ」延期していた発売日が12月25日に決定
レスポンス
イギリスのマイナーメーカー「ヴォグゾール」の工場閉鎖で大騒ぎ! ムリなEV化の流れが生む社会不安
イギリスのマイナーメーカー「ヴォグゾール」の工場閉鎖で大騒ぎ! ムリなEV化の流れが生む社会不安
WEB CARTOP
【ホンダレーシング2024 シーズンフィナーレ・レポート】 日頃の応援に感謝を込めて、トップライダーがウェルカムプラザ青山に集結!
【ホンダレーシング2024 シーズンフィナーレ・レポート】 日頃の応援に感謝を込めて、トップライダーがウェルカムプラザ青山に集結!
モーサイ

みんなのコメント

11件
  • これとbBはカタカタうるさいのが多い
    もうすぐ廃車ですよの予兆か?
  • ダメハツの車で「あらゆる点で世界一を目指した」って?無理無理w
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

173.8226.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

69.8129.2万円

中古車を検索
ビーゴの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

173.8226.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

69.8129.2万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村