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クルマのIT化が進むなかで「物理スイッチ」で残したほうがいいものと液晶にしたほうがいいもの

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クルマのIT化が進むなかで「物理スイッチ」で残したほうがいいものと液晶にしたほうがいいもの

 クルマのIT化が進み、多くの新型車にはタッチパネル型のディスプレイが採用されている。タッチ操作は、スマホ操作の延長線にあるので、誰でも馴染みやすいというよさがある一方、タッチパネルとなってしまったことで使いづらくなったと感じるものもなかにはある。逆に「これはタッチパネルにいれてもよいのでは」というものも。物理スイッチで残してほしいものと、タッチ操作にしてもいいものを考えてみよう。

文:吉川賢一
アイキャッチ画像:Adobe Stock_ifeelstock
写真:NISSAN、Mercedes-Benz、SUBARU、TESLA

クルマのIT化が進むなかで「物理スイッチ」で残したほうがいいものと液晶にしたほうがいいもの

ハザード、エアコン、ボリューム、そしてドライブモード切替は、物理スイッチであるべし!!

 走行中に操作をする可能性があるスイッチは、基本的には全て物理スイッチで残してほしい。たとえば、エアコンの温度調節スイッチや音量コントロールスイッチ、ハザードスイッチ、クルーズコントロールスイッチなどだ。先代クラウンは、前期型ではエアコン操作スイッチが液晶タッチパネルの中へ埋め込まれていたが、後期型では物理スイッチが復活していた。おそらく、ユーザーからの声を反映して改善したのだろう。

 また、昨今増えてきたドライブモード切替スイッチも、物理スイッチを残してほしいスイッチだ。スバル車の「Siドライブ」スイッチは、ステアリングホイール上にレイアウトされており、ドライブ中に「ここはSPORTで走りたいな」と感じたら、すぐさまチェンジができるので、使い勝手もよく、積極的に使いたいと感じた。これがもしタッチパネル中に埋め込まれてしまったら、おそらく使うことはなくなるだろう。

スバル車に搭載されている「Siドライブ」は、気分やシーンに合わせて、インテリジェントモードと、スポーツモードに走行性能を使い分けられる。スイッチはステアリングホイール上にあり、手探りで変更ができる

逆にESCオフやシートアジャスター、電動チルテレなどは、タッチパネル化してもよいのでは??

 逆に、タッチ式にしてしまってもよいのでは、と思うスイッチもいくつかある。ESC/VDC/VSCオフスイッチやステアリングヒータースイッチ、オートパーキング、360度カメラなどだ。どれも原則、停止時に操作をする用途のスイッチであり、いまのように、物理スイッチで残しておく必要はないと考えられる。特に、ステアリングホイールの下の奥に配置されているような「3軍のスイッチたち」は、液晶パネルの中に位置を変更しておいても、特に問題はないだろう。

 また、パワーシート調節や電動チルトテレスコピックといったドラポジ調節スイッチも、タッチ化してしまって構わないと思う。たとえば、マツダCX-60の上級グレードでオプション設定された「自動ドライビングポジションガイド」は、身長を設定すると、クルマのインナーカメラでドライバーの目の位置が測定され、運転席シートの前後スライド、シートバック角度、座面高、更には、ステアリングのチルトとテレスコピック調整、ドアミラー角度、ヘッドアップディスプレイの高さまで、オススメのポジションに調節してくれる。もちろんマニュアルでの調節もできるが、こうした多機能操作は、タッチパネル化をしたほうが簡単で、むしろよいと思う。

メルセデスEQSのMBUXハイパースクリーン。ドライバー側から12.3インチ、17.7インチ、12.2インチと、助手席側までつながるディスプレイが採用されており、コントロールが集約されている

アリアのコクピット周り。メーターディスプレイとセンターディスプレイ、物理スイッチ、タッチ式のスイッチが並ぶ。なおタッチ式スイッチは、押した触感が伝わるように、バイブレーション機能が付いている

メリットも多いが、スイッチによっては使いづらくなることも

 冒頭で「タッチパネルはスマホの延長」としたが、スマホは手で持つので揺れても操作できるが、クルマのタッチパネルには支えがなく、揺れる走行中は、正確にタッチすることが難しい場面もある。そもそもドライバーは、走行中、前を見ていなければならず、タッチパネルを正確に操作するにはチラチラ画面に視線を落とす必要がある。もちろん、ナビの設定などは、走行中にはできないようにしているメーカーも多いが、クルマによっては、走行中によく使うエアコンの設定なども、タッチパネルのなかに組み込まれてしまっているものもあり、これが非常に操作しづらい。

 タッチパネル式のほうが、デザインはスマートになり、多大な機能を集約できるし(物理スイッチを減らすことができてコストも下がる)、機能のアップデートも簡単にできるしと、メリットは多いのだが、クルマにとって大切なのは、安全な運転が可能であることだ。

 なかには、液晶モニターでのタッチ式を基本として、ボイスコントロールやジェスチャーで操作するモデルもあり、この方式で慣れれば問題ないのだろうが、筆者個人的には、基本無口でしゃべる(=声を出す)のがめんどくさいと思う性格なので、この方向で進んでいってしまうことに若干不安がある。ジェスチャーも周囲にクルマがいる状況だと、少し恥ずかしい。これらは筆者だけが感じることなのかもしれないが、やはり、走行中に使う可能性のあるスイッチは、物理スイッチで残してほしいと思う。

 (編集部注/本企画担当編集者は「物理スイッチのほうが便利でなるべく液晶化しないで派」。かつてあったトヨタFJクルーザーは「スイッチ類はなるべく大きくしっかりと配置され、手袋をしていても操作できることで、タフさをアピールする」という手法で、感動しました。スイッチ類の仕立ては「機能性」だけでなくそのクルマのイメージや個性にも影響されるものであるから、「先進性」をアピールしたい車種が液晶化を進めたい気持ちも分かるが、そのいっぽうで「運転しながら使う際の簡便性」も考慮しつつ、さまざまなバランスをとってほしいなと考えます)

テスラHPにあった、近未来のモデルSのインテリアデザイン。ステアリングホイールにあるスイッチもタッチ式だが、ハザードスイッチは唯一、物理ボタンとして残されている

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みんなのコメント

41件
  • なんでもなんでも物理スイッチ廃止でタッチパネル操作のみってのはやめて欲しい
    特にエアコンとかは運転手一人の時に
    信号待ちで運良く止まれる時間ができるかどこか路上停車するかしないと操作できないし
  • VWは失敗を認めて早速修正するみたいね。ベンツのダッシュボードもテレビ売り場みたいで酷いもんだし、ドイツ人も意外に分かってないね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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