■見た目以上にオフロード性能が高かったクルマを振り返る
今や世界的なブームとなっているクルマといえばSUVで、各メーカーの主力車種であり、新型車の多くがSUVで占められている状況です。
MT専用! スズキ新型「ジムニーライト」人気沸騰を受け発売へ
SUVにもさまざまな種類とセグメントのモデルがありますが、もっとも人気があるのは、オンロード性能を重視したスタイリッシュなデザインの「クロスオーバー」と呼ばれるSUVです。
また、既存のモデルの外観をSUV風に仕立てたモデルも人気を集め、とくにコンパクトカーや軽自動車に多く見られます。
一方、直近では、クロスカントリー4WD車に近いオフロード性能を備えたSUVも注目されていますが、かつて同様なモデルが存在しました。
そこで、ジツは見た目以上にオフロード性能が高かった新旧のSUVを、3車種ピックアップして紹介します。
●スズキ初代「エスクード」
1990年代初頭の日本では、クロカン車を中心とした「RVブーム」が起こりましたが、それよりも前からスキーブームやアウトドアレジャーがあり、1980年代の終わり頃にはクロカン車人気もジワジワと高まっていました。
そして、RVブームの前兆が始まっていた1988年に、スズキは初代「エスクード」を発売。
クロカン車と同等のボディ構造とメカニズムを持ちながら、異形ヘッドライトを埋め込んだスラントノーズのフロントフェイスにブリスターフェンダーのボディサイドといった、洗練された都会的デザインが特徴でした。
車体は強固なラダーフレームにボディを架装し、リアサスペンションはコイルスプリングのリジッドアクスルを採用。
発売当初は3ドアのハードトップとソフトトップのショートボディみでしたが、1990年にロングホイールベースの4ドアモデル「エスクード ノマド」が加わり、使い勝手の向上が図られました。
駆動方式は全車パートタイム式4WDで、エンジンは最高出力82馬力の1.6リッター直列4気筒ガソリンのみでしたが、後に経済性に優れた2リッター直列4気筒ディーゼルターボや、余裕あるトルクの2リッターと2.5リッターV型6気筒ガソリンが追加されました。
初代エスクードは洗練されたデザインによってクロカン車をイメージさせませんでしたが、オフロード性能が高く、さらにシティユースをメインとする新たなユーザー層を開拓するなど、現在のクロスオーバーSUVの原点といえるモデルでした。
●ダイハツ「テリオスキッド」
前述のとおり、軽自動車にもSUVテイストのモデルが続々と登場しており、2020年6月にはダイハツから本格的な軽クロスオーバーSUVの「タフト」が発売されました。
このタフトの先祖といえるモデルが、1998年に発売された「テリオスキッド」です。
テリオスキッドは同社の登録車「テリオス」に対して、軽自動車規格に合致するボディに660ccエンジンを搭載するかたちで開発されました。
外観は5ドアの軽トールワゴンタイプで、リアゲートに背面スペアタイヤを設置しており、見た目にもオフロードカーをイメージさせました。
また、ラダーフレーム状の構造部材とモノコックを融合した高剛性シャシを採用しており、15インチタイヤを装着して最低地上高は195mmと、余裕あるグランドクリアランスを確保していました。
エンジンはフロントに縦置きに搭載。最高出力60馬力(後期型では64馬力へと向上)を発揮する直列3気筒ターボで、トランスミッションは5速MTと4速ATが設定されました。
駆動方式はフルタイム4WDとFRの2WDで、4WDにはセンターデフロックを備えるなどメカニズム的にもオフロード性能を重視していました。
テリオスキッドは使い勝手が優れたオフロードカーであり、一定の人気を獲得し、改良が重ねられながら2012年まで生産されました。
●フィアット「パンダ 4×4」
フィアットは1980年に、新たなベーシックカーとして初代「パンダ」を発売。巨匠ジョルジェット・ジウジアーロによってデザインされたシンプルな外観は、今も多くのファンを魅了しています。
現行モデルのパンダは3代目で、2013年に国内で販売を開始。4WDモデルの「パンダ4×4」も遅れてデビューし、日本でもこれまで何度か限定モデルとして発売され、直近では2022年1月に160台限定で「パンダ ストリート4×4」がリリースされました。
ボディは全長3685mm×全幅1670mm×全高1615mmの5ナンバーサイズで、国産コンパクトカーと変わらない取り回しの良さがあり、最低地上高も2WDモデルよりもアップされ悪路走行に対応しています。
エンジンは875cc直列2気筒ターボ「ツインエア」を搭載し、最高出力85馬力とパワフルではありませんが、6速MTを駆使してパワーを使い切る楽しさが味わえ、2気筒エンジン独特の小気味良い鼓動感も魅力です。
駆動方式は電子制御カップリングを用いたトルクオンデマンド式のフルタイム4WDで、通常走行時はほぼFFと変わらないトルク配分ですが、前輪のスリップを検知すると後輪にも駆動力が配分されます。
さらに、電子制御デフロック(ELD)を装備しており、過度にスリップしたタイヤにブレーキをかけることで駆動力を確保し、悪路走破性を高めています。
また、車重が1130kgと比較的軽量なモデルながら4輪ディスクブレーキを採用するなど、欧州車らしい設計思想といえるでしょう。
なお、よりオフロード志向が強い「パンダクロス」もラインナップされています。
※ ※ ※
SUV人気はまだまだ衰えを知らず、今後は定番車種へと移行することになりそうです。
また、最近のトレンドではオフロード性能を高めたモデルが北米を中心に人気となっており、日本でもすでにカスタマイズ手法に取り入れられています。
今後、日本でもクロカン車に近いワイルド系SUVが人気となるかもしれません。
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みんなのコメント
あのサイズでドアが4枚ちゃんと付いていて乗り降りしやすい車でした。
エンジンもインタークーラーターボが載っていたのでATでも不満はありませんでした。
アプローチアングルは日本一。