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まさに走る博物館状態でマニアも感涙! 「ヴェルナスカ・シルバーフラッグ」で気になったクルマたち

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まさに走る博物館状態でマニアも感涙! 「ヴェルナスカ・シルバーフラッグ」で気になったクルマたち

マニア垂涎のマシンがゴロゴロと参加

 イタリア国内はもちろんのこと、世界中のクルマ・ファンから注目集めるようになったヴェルナスカ・シルバーフラッグ。26回目となった今回も、カステッラルクアートのパルクフェルメには、イタリア車をメインに、160台を超える名車が終結していました。

グループCやCan-Amカーが峠を駆け抜ける! イタリアの人気イベント「ヴェルナスカ・シルバーフラッグ」が開催

 イベントの概要は前回レポートしましたが、続いては参加した車両をクローズアップしてみました。台数が多いので、今回と次回の2回に分けて、今回はTurismo(ツーリングカー)からGran Turismo(GTカー)、Sport(スポーツカー)の3クラスで気になった車輌を紹介します。

ゼッケン1番をつけたのはアバルトやランチア、アルファロメオではなく……

 レースでは前年のチャンピオンがゼッケン1番をつけることになっています。ラリーやタイムトライアルなど時差スタートの競技では、前回の優勝車がゼッケン1番をつけるのが一般的です。しかし今回のヴェルナスカ・シルバーフラッグでのゼッケン1番はイタリア発、ヨーロッパ各地でライセンス生産が行われたマイクロカー、イソ・イセッタが纏っていました。

 イセッタといえばライセンス生産していたBMW版が有名で、一部ではドイツ車と思われているようですが、間違いなくイタリア車です。そしてレースとは縁がないようにも思われるイセッタですが、1954年のミッレミリアでは2台のルノー4CVに続いてクラス3位に入賞しています。そんなイセッタはたった1台の参加でしたが、反対にツーリングカーで多数派となったのがアバルトとアルファロメオでした。

 アバルトはフィアットの500や600、850などがベースで、コンパクトなボディにアバルトがチューンしたエンジンを搭載した、まさに公式通りのハイパフォーマンスカー。かつてサーキットレースでも1000cc以下のクラスでは無敵の活躍をしていました。

 戦後に誕生したアバルトに対して、もう一方の多数派となっているアルファロメオは20世紀初頭に誕生し長い歴史を刻んできた老舗です。戦前はレーシングカーの開発が最優先で、その派生モデルとして生み出した高性能かつ高価格のスポーツカーを販売するスタイルをとっていましたが、戦後は一転して比較的手に入れやすい価格で小型の、しかし高性能な乗用車を販売してきました。

 今回のヴェルナスカ・シルバーフラッグではジュリア&ジュリエッタが数多く出場していました。ただし個人的に選んだ1台はジュリエッタのSZ2。スプリント・ザガートの名が示すようにザガートが手掛けたボディは、コーダトロンカなど空力的に考えられた処理となっているのですが、その伸びやかなデザインの素晴らしさにはノックアウトされそうでした。

 真紅の個体は博物館で何度か見かけたことはありますが、白いボディのSZ2は“初対面”です。真紅はちょっと気恥ずかしいけれど、白ならいいかな、と夢想してしまいました。

 もう1台、ツーリングカークラスで紹介したいのはルノーR4のパリ~ダカール・モデル。レプリカと断っているのでモデルというより仕様と言うべきでしょうか。小さなボディにタイヤ4本などを満載していてウェイト的には厳しかったと思うのですが、登りのワインディングでも元気よく走っていたのが印象的でした。

GTクラスもスポーツカークラスも百花繚乱

 GTカークラスの先陣を切ったのはシアタ・ダイナ。ダイナにはクーペとカブリオレがラインアップされていましたが、今回1台だけ出場していたのはクーペモデル。このシアタは質実剛健なボディが架装されていましたが、GTクラスには流麗なデザインのモデルが少なくありませんでした。

 まずはアルファロメオ・ジュリエッタのスプリント・スペチアーレ。アルファロメオの“伊達”を具現化したようなデザインで、とくにふくよかに流れるようなリヤビューは、見るものを一発でノックアウトしてしまうほどの魅力がありました。

 続いてはアバルトの1300。フィアット850のフロアパンを流用しながら、カロッツェリアのフランシス・ロンバルディが手掛けたボディを架装したモデルで、シャシーはフィアット製となり信頼性は充分。エンジンはアバルト製でそのパフォーマンスは折り紙付き。それにこの機能的だけれど充分に可愛いルックスのボディ、となると魅力は最高点をマークして当然です。

 続いてはスポーツカークラスのクルマたちです。ここではまずマセラティのA6GCS スポーツ2000とオスカの187Sを紹介しましょう。マセラティは1926年にエットーレとエルネスト、ビンドのマセラティ兄弟が創設したメーカーで、1937年にはアドルフォとオメールのオルシ父子に譲渡されています。

 その後契約によって10年間はマセラティ社で勤務したあと、独立してオスカを立ち上げています。オスカ(OSCA)とはOfficine Specializzate Costruzione Automobili(専門的な自動車製作の工場、の意)の頭文字を繋げたネーミングでした。

 両社にはそんな関係がありましたが、A6GCSは1955年式で187Sは57年式なので、そうした経緯とはまったく無関係です。A6GCSは直6エンジンを搭載したモデルでF1GPからスポーツカー世界選手権まで視野に入れたレーシングカーとして開発されています。

 クルマ単体のデザインにも心惹かれるものがありましたが、パルクフェルメでハーフカバーをかけた姿、とくにノックオフ式のナットにカバーのひもをかけているところにゾクッとしました。思考回路が変わっているということでしょうか。

 一方のオスカの187Sは、排気量が750ccと小排気量でまとめられているのが特徴で車輌もコンパクト。ドライバーが少し大柄だったのかもしれませんが、走りのカットからでもクルマがコンパクトに仕上がっているのが分かると思います。

 最後の1台はアルファロメオ・ジュリアのTZ2。ツーリングカークラスで紹介したジュリエッタのSZ2と似たネーミングですがTZは、テュボラーレ・ザガートの意味で、ザガートがデザインしたのはSZと同様ですが、パイプフレームで構成されているのが大きな違いです。

 ただ、外から見ている分にはフレームがどうのこうのではなく、単純にカッコイイと判断できます。ただし、SZ2が流麗なカッコよさだったのに対してこちらは、圧倒的な“凄み”がにじみ出ています。なので個人的にはSZ2の方が落ち着いてドライブできるのでは、と考えたりもしています。もっとも、いずれ個人で手に入れようという野望など、端っから持っていませんが。

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