■クルマのルーフレール、なぜ装備されなくなった?
1990年代のクルマでよく見かけたアイテムとして「ルーフレール」があります。ルーフに左右で対になるように装着され、クルマの外観の印象を大きく変える装備のひとつです。
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しかし近年は、装着されているクルマを見かける機会が減りました。なぜ減少しつつあるのでしょうか。
「ルーフレール」の目的は「ルーフボックス」や「ルーフラック」などの「アタッチメント」と併用することで、荷物を載せることです。
近年は、装備されているクルマが減少しつつあるものの、以前発売されていたクルマのテレビCMやカタログ写真などでは、装着されていることの多い装備でした。
アウトドア用途が意識されたクルマが人気となった1990年代の「RVブーム」では、ルーフレールが設定されたクルマが数多く登場しています。
1989年に初代モデルが発売されたスバル「レガシィ ツーリングワゴン」にもルーフレールが装着されている仕様が存在していたほか、同じ時期に人気を博した三菱自動車の「パジェロ」や「RVR」、ホンダ「オデッセイ」にも、ルーフレール仕様がありました。
ルーフレールを装備するクルマの狙いについて、スバルは次のように説明します。
「ルーフレールを装備する目的は大きくふたつあります。ひとつ目は、ファッション性の向上です。取り付けることでSUVらしさがより強調されます。
ふたつ目は、アタッチメントを取り付けやすくすることです。ルーフレールが無いとまったくアタッチメントが付けられなくなる訳ではありませんが、利便性が向上します」
また、以前ルーフレールが装着されていたクルマの具体例について、三菱自動車は次のように話します。
「ルーフレールは元々オプション装備という形で設定されているクルマが多く、基本的にはベースキャリアやアタッチメントなどのパーツを用いて荷物やレジャーツールなどを積載するために、好みに応じてお選びいただくものでした。
また特別仕様車や仕様ごとの特徴として、標準装備されている例がありました」
※ ※ ※
かつて人気だったルーフレールは、なぜ採用車種が減少してしまったのでしょうか。先ほどの三菱自動車の担当者は次のように話します。
「1990年代はウインターレジャーの隆盛やアウトドアブームによって、ステーションワゴンをはじめとした人気車種にルーフレールが多く採用されていました。
しかし、近年はステーションワゴンの販売比率が下がってきたことや、ミニバンやSUVであれば荷室に大量の荷物を積むことができることもあり、ルーフレール採用車種が減少しているものと推察いたします」
また、ルーフレールが無い場合の利点について、スバルは次のように説明します。
「ルーフレールがないクルマは、立体駐車場に入庫できる可能性が高くなります。
例えば、弊社モデルの『XV』ではルーフレールがない場合、全高は1550mmに設定されていますが、この高さは一般的な立体駐車場の高さ制限と同じです。ルーフレールが装着されると最大45mm全高が増します。
ただし、立体駐車場によっては表示される高さと実際の高さ制限に若干ブレがある場合もあるので、実際に入庫する前に確認するのが望ましいです」
■今なお装備されているクルマも存在! その理由とは
しかしあまり目にしなくなった装備とはいえ、現在でも装着されているクルマは一定数存在しています。
三菱自動車の現行ラインナップで見ると、「エクリプスクロス」がルーフレールを装備しているほか、RVRやパジェロなどにルーフレールがオプション装備として設定されています。
これについて、先ほどの三菱自動車の担当者は次のように話します。
「エクリプスクロスは外装デザインを優先していることから、ビルトインタイプのルーフレールを標準装備で採用しました(レスオプション仕様も存在)。
またパジェロにもオプションで設定があり、装着率は23%と高い水準になっています。このことから、特別仕様車『ファイナルエディション』では特別装備として標準で装着しました」
また、同じ車種のなかで種類の違うルーフレールが設定されているクルマもあります。スバルはXVのルーフレールについて次のように説明します。
「XVでは、グレードに合わせて2種類のルーフレールを設定しています。『e-BOXER』を搭載した『アドバンス』グレードでは、モーター駆動ができる先進性を表現する目的から、薄いローマウントタイプのルーフレールを設定しています。
そのほかのグレードではラダータイプのルーフレールを設定して、SUVらしい雰囲気を演出しています」
※ ※ ※
かつては幅広く装備されていたルーフレールですが、現在でもクルマの強調されるポイントや性格に応じて装着され続けている装備だといえます。
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