2024年6月27日に発売されたホンダの新しいコンパクトミニバンが、「こころによゆう 笑顔の毎日」をグランドコンセプトに開発された、3代目新型フリードだ。ボディサイズは全長、全高ともに拡大されたものの、標準車のシンプルでクリーンなエクステリアデザインが特徴のエアー(6/7人乗り)は依然、5ナンバーサイズをキープ。
クロスオーバーモデルとなるクロスターはSUVテイスト強め
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一方、クロスオーバーモデルとなるクロスター(6/5人乗り)は、先代に対してクロスオーバー感、SUVテイストを強め、無塗装の樹脂製ホイールアーチプロテクターの出っ張りによって全幅が1720mmになることから、クラス、フリード初の3ナンバーボディとなる。もっとも、クロスターの基本ボディはエアーと同じで、ミラー・トウ・ミラー幅、取り回し性に違いはない。先代のフリード+に相当する大空間コンパクトワゴンと呼べる2列シート、5人乗りモデルはクロスターのみに設定されるようになっている。なお、パワーユニットはメインのハイブリッドとガソリン車を揃えている。
ここでは、受注比率70%のエアー、そして受注比率85%という、先代の1モーターハイブリッドのi-DCDから2モーターハイブリッドのe:HEVとなったハイブリッドモデルの新型フリードe:HEV AIR EXのFFモデルに試乗した。
運転席に乗り込めば、まずはインパネデザイン、7インチTFT液晶メーターの見え方が先代と異なる。先代のメーターはステアリングの上越しに見るアウトホイールタイプだったのだが、新型では一般的な2スポークのステアリングを通してみるインホイールタイプに変更されている。
新型フリードのインパネ
新型フリードの液晶メーター
先代フリードのインパネ
インパネ中央には最大11.4インチのセンターディスプレー(ホンダコネクトナビ/オプション)が採用され、先代のウッド調パネル張りから、シート地と同じ、撥水・撥油機能を持つファブテクト素材のファブリックが使われ、とくにブラックインテリアとともにあるグレージュインテリアは明るく、よりリビング感覚な心地よい空間が演出されている。
特筆すべきはステップワゴンのフレームを用いたシートのかけ心地の良さ。座面、背もたれともにソフトで、体重によってジワリと沈み込む、フランス車的なタッチが素晴らしい。そのソファ的かけ心地は2列目席も同様だ。
パッケージ、スライドドア開口部、人の座らせ方は、プラットフォームを先代からキャリーオーバーしたこともあって、基本的に不変。ただし、1列目席背後を30mm削ったため、2列目席の膝周り空間が30mm増しとなり、2列目キャプテンシート(FF)の場合、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で最大360mmもの膝周り空間があるのだから、2列目席のゆとりはクラス上のステップワゴン(の標準スライド時)に匹敵するほどだ。ライバルのシエンタにない、6人乗り、2列目キャプテンシートが選べるのも注目点である。
画像はクロスターの3列シート仕様
ここでプチトリビアを紹介すると、今回試乗した6人乗り2列目キャプテンシートe:HEVモデルの2列目席スライド量はフリード最大の360mm。これが4WDになるとリヤデフの関係から300mm(後ろ寄りが減少)となり、3列シートの2列目ベンチシートは120mm。クロスターの6人乗りはFF/4WDを問わず240mmとなる。つまり、もっとも2列目席膝周り空間に余裕が出せるのは360mmのスライド量を持つ6人乗り2列目キャプテンシートのe:HEVモデルとなる。
3列シート2列目ベンチシートのスライド量は120mm
ちなみに筆者が2-3列目席スルー(幅170mm)を使って、車外に出ることなく3列目席に移動すれば、頭上に130mm、膝周りは2列目席膝周り空間をそれでもゆったり座れる210mmにセットすると3列目席膝周り空間に80mmの余裕がもたらされることになる。シートもクッション感があり、横幅にも余裕(1150mm)があるため、やや膝を抱える着座姿勢にはなるものの、コンパクトミニバンとしてはかなり実用的な3列目席なのである。
ステップワゴンに乗っているかのような乗り味
ステップワゴンに乗っているかのような安定した乗り心地
さて、新型フリードe:HEV AIR EXのFFモデルを走らせれば、まずは唐突感のない穏やかでスムーズかつ静かなEV走行でスタート。スムーズで静かな発進はハイブリッドモデルなら当然ともいえるのだが、そこにアクセルレスポンスの穏やかさが加わったところが新型フリードらしさ(変速機の違いもある)。つまり、乗員が前後に揺すられにくい走りになるというわけだ。加えてすっきり、ゆったりとしたパワーステアリングの操舵感、そしてリニアシフトコントロールがもたらす加速時のスムーズ、気持ち良さも見どころ。つまり、ステアリングを切った時のクルマの動きが、これまた穏やかで(同乗者の安心感、快適性につながる)、先代フリードの2ペダルMT、i-DCDに見られたギクシャク感とはもうさよならである。もちろん、アクセルペダルを深々と踏み込めば、ライバルのシエンタの3気筒に対して4気筒となる1.5Lエンジン106ps、13.0kg-m+モーター123ps、25.8kg-mのスペックによる加速力は2Lエンジン並みと言っていい。
乗り心地は想定外の快適感に感動できる。先代は上屋がふわふわするシーンもあったのだが、新型はフラットかつクラス上のゆったりとした上質さある快適無比の乗り心地を示してくれるのだ。荒れた路面、首都高の段差、セブラゾーンでのショック、振動も最小限で、まるでより大型のミニバン、そう、ステップワゴンに乗っているかのような乗り味なのである。
と書くと、カーブではふわふわした挙動を示すのではないかと思いがちだが、そうではない。カーブでは4輪のタイヤが路面にピタリと張り付くようなトレース性、文句なしの安定感を見せ、重心を感じさせないことから、余裕をもってカーブをクリアすることができる。カーブの運転が苦手なドライバーもこれなら安心、カーブ恐怖症をクリアできるのではないだろうか。ちなみに活発な走りでS字カーブを走り抜けるようなシーン、あるいはキビキビしたレーンチェンジを試みるシーンでも、リヤタイヤがしっかりとねばり、ステアリングを切る、戻す場面でも”おつり”のない安定しきった走りを見せてくれるあたりは、なるほど、ミニバンでも走りにこだわるホンダ車である。その上で、新型フリードでは、走りのダイナミクスを運転席中心でなく、ミニバンの特等席となる2列目席にもフォーカスして開発したというのだから、見識がある。
新型フリードで素晴らしすぎる乗り心地の良さとともに感動したのが、パワーユニットからのノイズ、ロードノイズの侵入を含めた車内の上級車並みの静かさだった。EVモードでは当然としても、エンジン始動時、そしてエンジンを高回転まで回しても、車内はうるささとは無縁。遮音・吸音にこだわり、進化させているのは当然として、実は走りのダイナミクスとともに、車内の静粛性もまた、ミニバンの特等席となる2列目席にフォーカスして開発されたというのだ。実際、2/3列目席で市街地を走行したのだが、1-3列目席間の会話も小声で容易だった。とにかく、静音ミニバンと呼んでいい車内の静かさが、新型フリードの大きな特徴、魅力のひとつとなることは間違いないところ。静かに走るクルマは、ロングドライブ、高速走行を含め、車内のうるささによるストレスが軽減されるメリット絶大なのである。
そんな車内の快適性をさらに高めてくれるのが、エアーEX、クロスター3列シートに装備される、クラス初、フリード初のリヤクーラーだ。これは前席でもON/OFF、調整できるのが美点で、大空間ゆえの暑い時期の後席の空調環境を激変させる効果ありである(ライバルのシエンタはサーキュレーターのみ)。暑がりの人はもちろん、1年中毛皮を着ている愛犬にとっても理想的な後席居住空間となりうるだろう。
先進運転支援機能も一段と充実している。新たに電子パーキングブレーキとメモリー付きオートブレーキホールド機能を備えたことで、ACC(アダプティブクルーズコントロール)に渋滞追従機能が加わり、また、日常域での信号待ちなどでブレーキを踏み続けなくていいのだから、運転にかかわるストレス低減に大いに役立ってくれるはずである。
そんな新型フリードは、繰り返すが、上質な乗り心地、文句なしの車内の静かさ、2列目キャプテンシートの用意など、このクラスのコンパクトミニバンとして、圧巻の魅力、商品力、完成度を備えていると断言できる。ファミリーユースにはもちろん、愛犬家と、1年中毛皮を着ていて暑がりで、聴覚に優れた愛犬にもうってつけの1台である。多人数乗用車としてのお薦めグレードは、今回試乗した、リヤクーラーを装備するe:HEV AIR EXのFFモデルとしたい。
なお、クロスオーバーテイストを強めた新型フリードのクロスター、それもアウトドア、車中泊に適する2列シート、5人乗りの4WDモデルの試乗記については改めてお伝えしたい。
ホンダ・フリード
文・写真/青山尚暉
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みんなのコメント
自分で運転するとホンダとトヨタの違い分かるよマジにw