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世界的にはEVのバッテリー火災が報じられるが「日本のEV」が「燃えない」ワケ

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世界的にはEVのバッテリー火災が報じられるが「日本のEV」が「燃えない」ワケ

 この記事をまとめると

■EVは一部車両で事故などによるバッテリー火災が起きている

出力の小さい急速充電器を使うと損をする! 「時間単位の課金方式」を採用する日本のCHAdeMOは早晩見直される可能性アリ

■日産が採用したラミネート型バッテリーはいまだに火災事故が起きていない

■急速充電のCHAdeMOも事故が起きないよう対策がされている

 日産リーフは火災事故ゼロ!

 電気自動車(EV)で懸念される問題として、事故などによるバッテリー火災がある。しかし、エンジン車でもエンジン本体や燃料系統に限らず、熱の作用で排出ガスの浄化機能を果たす触媒マフラーの過熱により火災になる事例があるなど、クルマの火災はEVのバッテリーに限った話ではない。

 だが、まだ普及がはじまろうとする初期段階のEVでは、ことさらに事件や事故が大きく取り上げられがちだ。

 そうしたなか、たとえば日産リーフで使われているバッテリーは、2010年の発売以来、バッテリーに起因する火災は起こしていない。いまだ、火災事故ゼロを続けている。それはなぜか?

 2009年に三菱自動車工業からi-MiEVが、続いて翌10年に初代日産リーフが発売されたとき、両社が使ったリチウムイオンバッテリーの正極に採用されたのは、マンガン酸リチウムという金属だった。これは、先に実用化されてきたノート型パーソナルコンピュータ(PC)や、携帯電話/スマートフォンで使われたコバルト酸リチウムとは結晶構造が違う。

 マンガン酸リチウムの結晶構造はスピネル構造といって、万が一過充電になった場合でも結晶構造が崩れにくく、短絡(ショート)しにくいので、過熱したり火災に至ったりしにくい根本的安全性に優れている。一方、コバルト酸リチウムは、万一の過充電で結晶構造が崩れやすく、それによってショートし、過熱し、最悪の場合は火災に至る懸念が残る。

 以上のように、そもそも安全性に優れた電極材を使うことで、EVの実用化と市販化を世界に先駆け実現させたのだ。そして市販することにより、多くのEVが広く消費者の手によって使われ、充放電を繰り返し、バッテリー制御の安全基準と有効活用の限界が検証されていった。

 急速充電器にもバッテリー火災を防ぐ技術が備わっている

 そのうえで、2代目リーフでは一般に三元系とよばれるコバルト/ニッケル/マンガンの3元素を使った電極材料が使われるようになり、充電量をより多く実現し、安全と大電力の貯蔵というふたつの目的を果たした。それができたのも、充放電の安全な制御を、マンガン酸リチウムを使いながら手の内にしたからである。

 加えて、日産が採用したラミネート型のバッテリー形式は、表面積が広いため冷却性能に優れ、加熱を予防する基本性能で一歩リードする。韓国のLGや、それを基にしたゼネラルモーターズ(GM)のアルティウムバッテリー、あるいはメルセデス・ベンツが採用したラミネート型リチウムイオンバッテリーなど、いずれも安全性が高いはずだ。

 一方で、テスラは、PCなどで使われた汎用のリチウムイオンバッテリーで、モデルSを成り立たせた。路面で床下を打つなど、事故による火災の事例がなくはないが、汎用リチウムイオンバッテリーで市販EVを成り立たせた背景には、日産などがマンガン酸リチウムを採用しながら慎重に充放電制御を検証したことに通じる知見を、1990年代からベンチャー企業などが積み上げてきたという歴史的背景がある。バッテリーの安全管理は、バッテリー技術はもちろんながら、制御技術が大きなカギを握る。

 また、国内においては、急速充電のCHAdeMOが、充電用接点のほかに充電器とEVとで交信するための通信専用接点を備え、充電中も安全を確認していることも見逃せない。

 急速充電と普通充電をひとつのコネクターで済ませる欧米のCCS(コンバインド・チャージング・システム)方式は、通信専用の接点をもたないので、充電中は充電状況を車両とやり取りしにくいため、充電中によるショートや火災などが発生した事例がある。

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