現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「日本の代表的高級車=クラウン」を取り戻せるか 新型クラウンが目指した走りと強力ライバル

ここから本文です

「日本の代表的高級車=クラウン」を取り戻せるか 新型クラウンが目指した走りと強力ライバル

掲載 29
「日本の代表的高級車=クラウン」を取り戻せるか 新型クラウンが目指した走りと強力ライバル

 先日の新型クラウンクロスオーバーRSの試乗では、見た目からは想像がつかない走りを体感することができた。格上の世界のラグジュアリーメーカーのモデルにも勝る出来栄えであり、これこそが新型クラウンクロスオーバーの真骨頂だと感じた。

 新型クラウンクロスオーバーに設定されている、2.5Lハイブリッドと2.4Lターボハイブリッド、どちらも試乗したことで、新型クラウンとしては、まだセダン・スポーツ・エステートが残されているものの、クロスオーバーが目指すビジョンやライバルなどはみえてきたように思う。はたしてクラウンは、「いつかはクラウン」から、「Discover your CROWN」となったことで、目指す先は変わったのだろうか。 

「日本の代表的高級車=クラウン」を取り戻せるか 新型クラウンが目指した走りと強力ライバル

文:吉川賢一
写真:TOYOTA、NISSAN、MAZDA、Mercedes-Benz、BMW、VOLVO、ベストカーWEB編集部/撮影:奥隅圭之

2.5L HVと2.4LターボHVでライバルは異なる

 エンジン横置きFFベースの改良型GA-Kプラットフォームに、リフトアップしたセダンボディというスタイリング、後輪モーター駆動の4WDでDRS(後輪操舵)は標準装備、全モデルハイブリッド、というキャッチーなアイテムがいくつも投入された新生クラウンクロスオーバー。最上級グレード「RS」では、システム最高出力が257kW(349ps)にもなるデュアルブーストハイブリッドが搭載されている。

 スペックだけ見ていても、実際に乗ってみるまで、どんなクルマなのかまったく想像つかなかったのだが、2.5Lハイブリッド/2.4Lターボハイブリッドそれぞれで、多様なシーンを走行させていただいたことで、新型クラウンクロスオーバーの全貌がようやくみえてきた。

 走りについての詳細はここでは割愛するが、走ることが好きな方であれば、一度乗ってしまうと2.4Lターボハイブリッドしか選べなくなるだろう。逆に、そこまで走りは不要で、最新デザインで優雅にドライブを楽しみたいという方であれば、22.6km/Lの超低燃費をたたき出す2.5Lハイブリッドという選択肢は大いにアリだ。

左がCROSSOVER G 「Advanced Leather Package」、右がCROSSOVER RS「Advanced」。見た目は同じだが、キャラクタは全く異なる

2.5L HVのライバルは「ハリアー」

 新型クラウンクロスオーバーの2.5Lハイブリッド(「X」と「G」)は税込435~570万円、一方2.4Lターボハイブリッド(RS)は税込605~640万円。両者の間には(最上級グレードでの比較で)約70万円もの差があり、走りのキャラクタも全く違うことから、2.5Lハイブリッドと2.4Lターボハイブリッドとでは、ライバルも変わってくると思われる。

 2.5Lハイブリッドのライバルは、車両スペックや価格帯、知名度などから考えると、ハリアーハイブリッド(G:433万円、PHEV:620万円)やエクストレイルe-4ORCE(G:449万円~)、マツダCX-60ディーゼルハイブリッド(505万円~)といった、国産クロスオーバーSUVの上級グレードではないかと考えられる。

 なかでもガチライバルとなるのは、身内である「ハリアー」のハイブリッドだろう。ハリアーの背が低く、フロントからリアへと流れるようなデザインは、非常にスタイリッシュで、クロスオーバーSUVの見本ともいえる。なかでもPHEVモデルの走りには期待でき(RAV4PHVの試乗から推測)、新型クラウンクロスオーバー2.5Lハイブリッドにとっては最大の敵となるはずだ。

2.4L ターボHVのライバルは「Eクラス」「5シリーズ」「V90」

 一方の2.4Lターボハイブリッドのライバルは、600万円以上(フル装備だと750万円オーバー)という価格とボディサイズを考慮すると、高級輸入車となるだろう。海外市場へ出た際には、強敵が出そろうEセグのラグジュアリー界隈で戦うことになる。

 日本で購入できるEセグのラグジュアリーは、メルセデスベンツE200ステーションワゴン(920万円~)、BMW523dツーリング(853万円~)、ボルボV90 B5(884万円~)などだが、いずれも価格帯が100~200万円ほど上であり、パワートレインや基本装備(4WDや後輪操舵など)などを同等にすると、余裕で1000万円オーバーとなる。

 それらと比べれば、圧倒的にコスパがいい新型クラウンクロスオーバー2.4L ターボHVだが、ただそのぶん、新型クラウンクロスオーバーは最上級グレードであっても、インテリアの質感がこれら高級輸入車のレベルには全く追い付いていない。走行性能については、これらと同等以上だといえるが、「価格の安さをとるか、インテリアの質感をとるか」ということになりそうだ。

クラウンが見据えるのは「世界のラグジュアリーメーカーのモデルたち」

 「いつかはクラウン」は、1970年代から1980年代の著しい経済成長によって豊かになった日本で、日本人のひとつのステータスとして掲げられたフレーズだ。この「いつかはクラウン」以降も、クラウンのキャッチコピーは、日本人エンジニアが、日本の顧客が欲しいモデルを提供する、という意味が込められたフレーズだった。12代目の「ゼロクラウン」も、これまでのクラウンのイメージを知っている日本人へ向けたフレーズだ。

 ただ、今作の「Discover your CROWN」は、世界に向けて発信したフレーズだ。「4つのモデルからお気に入りを探してください」というメッセージだが、ここにこれまでのクラウンの歴史や、日本人に向けたメッセージといった要素は一切ない。これまで海外では限定的な販売だったクラウンも、今作から世界約40カ国で販売されることとなり、いよいよ世界の荒波にさらされることになる。新型クラウンが見据えるのは、世界のラグジュアリーメーカーのモデルたち。そこには、後悔するほどの強敵と、それらを崇拝する顧客が多くいる。

 トヨタブランドは世界中で有名だが、クラウンは、(中国を除く)海外ではほとんど知られていない。「Discover your CROWN」の「お気に入りを探して」という意味の中には、「(お気に入りを探すことで)クラウンを知ってください」という意味もこめられているのだろう。日本では、70年近くもの歴史をもつ名門「クラウン」だが、その歴史を引っさげることもなく、また自らを卑下することもなく、グローバルへの船出のキャッチコピーとして、いいキャッチコピーだと思う。

 新型クラウンクロスオーバーは、特に2.4Lターボハイブリッドの出来が素晴らしく、世界のラグジュアリーメーカーのモデルとも堂々と戦える仕上がりだ。この新型クラウンクロスオーバーを知った海外がどのような反応をみせるのか、日本が誇る名門「クラウン」が海外で活躍する日が非常に楽しみだ。

こんな記事も読まれています

今季10戦目にしてなんと5回目の11位……ヒュルケンベルグ抜群の安定感も”入賞圏外”に落胆「新しいポイントシステムが必要だ」
今季10戦目にしてなんと5回目の11位……ヒュルケンベルグ抜群の安定感も”入賞圏外”に落胆「新しいポイントシステムが必要だ」
motorsport.com 日本版
オートバックスセブン、林野庁と協定締結 店舗での国産木材使用を拡大
オートバックスセブン、林野庁と協定締結 店舗での国産木材使用を拡大
日刊自動車新聞
そういえば滑りづらくなった!? 首都高の二輪車安全対策「フィンガージョイントすべり止め」「カーブ部のカラー舗装延伸」とは?
そういえば滑りづらくなった!? 首都高の二輪車安全対策「フィンガージョイントすべり止め」「カーブ部のカラー舗装延伸」とは?
バイクのニュース
日産が新型「軽“ワゴン”」発表! ホンダ「N-BOX」対抗の「超背高モデル」! 超スゴイ“ピンク”も追加の「新ルークス」に販売店でも反響あり
日産が新型「軽“ワゴン”」発表! ホンダ「N-BOX」対抗の「超背高モデル」! 超スゴイ“ピンク”も追加の「新ルークス」に販売店でも反響あり
くるまのニュース
「ChatGPT」車載化、VWがゴルフやティグアンにオプション設定…欧州仕様
「ChatGPT」車載化、VWがゴルフやティグアンにオプション設定…欧州仕様
レスポンス
アクセルを戻せば減速する……のはわかる! でも説明しろと言われると悩むエンジンブレーキの「仕組み」とは
アクセルを戻せば減速する……のはわかる! でも説明しろと言われると悩むエンジンブレーキの「仕組み」とは
WEB CARTOP
フレッシュアップされたBMW 3シリーズの全情報 価格から走行性能&比較テストまで 新型BMW 3シリーズのすべて
フレッシュアップされたBMW 3シリーズの全情報 価格から走行性能&比較テストまで 新型BMW 3シリーズのすべて
AutoBild Japan
ついに始まった首都高「新ルート事業」の凄さとは 「箱崎の渋滞」も変わる!? 都心に地下トンネル「新京橋連絡路」爆誕へ
ついに始まった首都高「新ルート事業」の凄さとは 「箱崎の渋滞」も変わる!? 都心に地下トンネル「新京橋連絡路」爆誕へ
くるまのニュース
新型コンパクトSUV『EMZOOM』、世界市場で成功…中国広州汽車
新型コンパクトSUV『EMZOOM』、世界市場で成功…中国広州汽車
レスポンス
日本でまさかの拳銃を使ったタクシー強盗発生! キャッシュレス化で現金をもたない仕組み作りが一番の解決策
日本でまさかの拳銃を使ったタクシー強盗発生! キャッシュレス化で現金をもたない仕組み作りが一番の解決策
WEB CARTOP
本田宗一郎とイーロン・マスクに共通点があった? 稀代の経営者を支える「無知の知」とは何か
本田宗一郎とイーロン・マスクに共通点があった? 稀代の経営者を支える「無知の知」とは何か
Merkmal
全長5m級!トヨタが新たな「ラージSUV」まもなく発売!? 17年ぶり復活! 斬新フェイス&車中泊出来そう空間の「クラウン」 発売はどうなった?
全長5m級!トヨタが新たな「ラージSUV」まもなく発売!? 17年ぶり復活! 斬新フェイス&車中泊出来そう空間の「クラウン」 発売はどうなった?
くるまのニュース
伝統を継承するマッスルクルーザー! スズキが米北米市場で2025年型「ブルバードM109R」を発売
伝統を継承するマッスルクルーザー! スズキが米北米市場で2025年型「ブルバードM109R」を発売
バイクのニュース
フレキシブルウイング巡る論争が再燃。メルセデスに注目集まるも、今のところFIAは介入せず
フレキシブルウイング巡る論争が再燃。メルセデスに注目集まるも、今のところFIAは介入せず
motorsport.com 日本版
驚異のパフォーマンス向上! 最新スパークプラグの技術とその効果~カスタムHOW TO~
驚異のパフォーマンス向上! 最新スパークプラグの技術とその効果~カスタムHOW TO~
レスポンス
シボレー コルベット【1分で読めるスーパーカー解説/2024年最新版】
シボレー コルベット【1分で読めるスーパーカー解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
『ぽんこつジムニー』ハコ替え計画26-1「JB64のシートを移植しよう」
『ぽんこつジムニー』ハコ替え計画26-1「JB64のシートを移植しよう」
グーネット
【新車価格情報】軽自動車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年6月20日時点
【新車価格情報】軽自動車 デビュー&改良情報(ダイジェスト)※2024年6月20日時点
カー・アンド・ドライバー

みんなのコメント

29件
  • クラウンは死んだんだよ
    もうそっとしておいてやれ
  • クラウンと言えばセダン
    後に登場するセダン出来次第では?
    クロスオーバーはあくまでクラウンシリーズの1台に過ぎないと思う。
    クロスオーバーは人をもてなすラグジュアリー車に思えない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509.9575.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

26.8879.0万円

中古車を検索
クラウンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509.9575.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

26.8879.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村