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プラグインハイブリッドSUVの本命はどっちだ!? 乗ってわかった新型アウトランダーPHEVとRAV4 PHVの真実

掲載 更新 48
プラグインハイブリッドSUVの本命はどっちだ!? 乗ってわかった新型アウトランダーPHEVとRAV4 PHVの真実

 ほぼ満点の評価でプラグインハイブリッド+SUVのパイオニアとして昨年10月にフルモデルチェンジされ、現行モデルからプラグインハイブリッド専用車となったアウトランダーは、すでに1万台を超える受注を集めるという好調なスタートを切った。

 新型アウトランダーとガチンコのライバルとなるのはRAV4 PHVで、ここでは昨年実父がRAV4 PHVを買い、納車後即預かって1カ月で1000km走った(慣らしを任されただけとも言う、笑)経験のある筆者が2台を項目ごとに10点で比較してみた。

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文/永田恵一、写真/トヨタ自動車、三菱自動車、ベストカー編集部

■エクステリア……より個性的でPHVを主張しているアウトランダー

 好みの分かれる分野だが、アウトランダーは強い存在感あるフロントマスクなどにより大きめのミドルSUVに欲しい押し出し、ボリューム感を備える。RAV4 PHVはPHV専用の精悍なフロントマスクを持つが、アウトランダーほどのインパクトは感じない。

アウトランダー 8点

昨年登場した新型アウトランダー。デザインは三菱共通のダイナミックシールド顔を取り入れ、アクは強いがひと目で三菱車だとわかるもの 

RAV4 PHV 7点

2019年に標準モデルが登場し、2020年6月に追加されたPHVモデル。外観の差異はグリルやバンパーの形状程度とほとんどない。ハイブリッドシステムはPHV用に高出力化され、306psを発揮する

■インテリア……随所に上質感あふれるアウトランダー、スポーティー感のあるRAV4

 アウトランダーはダッシュボードなどが上質感にあふれており、特に最上級グレードのPに標準装備されるセミアリニンレザーシートはキルティング仕立てとなっているのに加え、インテリアカラーもタンカラーのアクセント、ホワイト系のライトグレーともに上質感を際立てている。

 一方、RAV4 PHVはシートやセンターコンソールボックスのレッドステッチなど、スポーティな雰囲気を演出しているが、アウトランダーに比べると地味である。そのためPHVでないRAV4にあるインテリアの細部パネルに付くアクセントカラーを設定してほしい。

アウトランダー 9点 

アウトランダーのインパネ。わかりにくいがメーターパネルもフル液晶化されている。欧州のライバルモデルに比べると物理スイッチはそこそこあるが、かなり攻めた仕上がりとなっている

RAV4 PHV 7点

RAV4 PHVのインパネ。基本は標準モデルと変わらない。デジタル化の進んだアウトランダーと比較すると、どうしても1世代前の趣を感じてしまう

■なんと、アウトランダーには3列目シートが存在! RAV4もリアは広々ゆったりだ

 2列目の広さ、快適性は同等だ。アウトランダーが座るには2列目の乗員の協力が必要など補助席的ながら、あればイザという時に便利な3列目シートを備えている点はRAV4 PHVに対するアドバンテージになっている。3列目シートの出し入れがしやすい点も評価できる。

アウトランダー(3列目シートの存在含め) 9点

RAV4よりも大きな電池を搭載しながら7人乗りを実現した新型アウトランダーの室内。三菱の技術陣のこだわりが詰まったシートレイアウトだ

RAV4 PHV 8点

こちらはベーシックに5人乗りのみの設定となるRAV4 PHV。グローバルモデルらしいゆったりとくつろげる空間が用意されている

■ラゲッジスペース……ほぼ同等のスペースを確保、両車とも広い

 どちらも大きめのミドルSUVとして十二分な広さを備えている。

アウトランダー 8点

7人乗りでも3列目を畳むとフラットなラゲッジスペースとなる。いつもは2列、たまに3列といった使い方ができるのもアウトランダーの魅力だ

RAV4 PHV 8点

対するRAV4 PHVも充分なラゲッジスペースを備える。ただし、大型電池をつむため、ラゲッジアンダートレイは装備されない。それを考えるとアウトランダーの凄さがより理解できる  

■動力性能……RAV4 PHVはトータル出力306psで圧倒的な動力性能を誇る

 絶対的な動力性能を0-100km/h加速で見ると、アウトランダー8.2秒、RAV4 PHV6.0秒とRAV4 PHVの圧勝だ。しかし、RAV4 PHVのアクセルを深く踏むと、車内は静かなままスピードメーターだけが猛烈な勢いで進む加速は魅力だが、アウトランダーも十二分な速さを備えている。

 ハイブリッドのフィーリングはいい意味でエンジンの存在感が薄いのはアウトランダーで、電気自動車に近いフィーリングが好みの人にはアウトランダーが向くだろう。

アウトランダー 8点

アウトランダーのパワートレーンは2.4Lエンジン(98kw)+前後モーター(前85kw+後100kw)
の組み合わせ。バッテリーは20kWhへ大型化され、EV走行は83km可能だ!!

RAV4 PHV 10点

見た目に差異がないRAV4 PHVだが、中身は……実は電池以外はHVと変わらないのだ。しかし、この電池(18.1kWh)のおかげで出力は約1.4倍(225ps→306ps)にアップしている

■ハイブリッド状態の燃費、電気自動車状態の電費……効率性のよさではTHSに分があるようだ

 カタログに載るWLTCモード燃費が22.2km/LのRAV4 PHVは、実用燃費を計測したところ18.0km/L程度だった。対するアウトランダー(WLTCモード燃費は最上級グレードのPで16.2km/L)は計測した経験はないが、おおむね14.0~15.0km/Lといったところだろう。

 電気自動車状態での電費は、RAV4 PHVは18.1kWhのバッテリーを積み、満充電からの航続距離は95kmと公表されている。RAV4 PHVを預かっている際に充電設備がなかったため、バッテリーをチャージモードで95%程度まで充電したイメージで計測したところ、電費は6.5km/Lで、気候のいい時期なら80km程度電気自動車として使えることが期待できそうだ。

 アウトランダーは20kWhのバッテリーを積み、満充電からの航続距離は公表値で73km(最上級グレードのP)なので、電気自動車状態での航続距離はバッテリーが大きいこともあり、RAV4 PHVと同等だろう。

アウトランダー 8点

アウトランダーの燃費はトヨタの一世代前の同クラスのHVと同等の燃費となる。しかし、2トンをゆうに超える重量級のSUVが叩き出す燃費としては素晴らしい

RAV4 PHV 10点

HV仕様との比較となってしまうが、306psの高出力を誇りながらEV走行も可能なPHVのメリットが最大限に発揮された結果と言えるだろう。22.2km/Lの燃費は驚異的である


■ハンドリング、乗り心地……三菱自慢のS-AWCと上質な足回りのアウトランダーが光る

 この点がアウトランダーとRAV4 PHVの大きな違いで、クルマのキャパシティ(容量、器)によるものなのか、アウトランダーの圧勝となった。

 RAV4 PHVは動力性能の向上、バッテリーの搭載による重量増に対してクルマが追い付いていない傾向で、RAV4の2Lガソリンや2.5Lハイブリッドほどハンドリングや乗り心地といった質、乗り味はよくない。そのため、そのあたりの質をブレーキも含めて高めたGRスポーツのようなグレードも欲しい。

 日産のプラットフォームを使うアウトランダーは20インチタイヤの装着をはじめとした三菱自動車からの要望もあり、クルマのキャパシティに余裕がある。加えてショックアブソーバーなどもいいものが付いているようで、20インチタイヤを履きながらオフロードコースですら路面への追従は申し分なく、公道で不快な硬さを感じることもない。

 ハンドリングもオンロードではバッテリーを床下に積むプラグインハイブリッドらしいドッシリとした印象を持つのに加え、オフロードコースでも車重2トンオーバーのSUVとは思えないほどガンガン走れる。さらに、リアモーターの出力の大きさによるコントロール性の高さやモード選択による変化といった楽しさも備える。

アウトランダー 10点

アウトランダーには三菱自慢のS-AWCが進化して搭載! さまざまなドライブモードで悪路でも雪上でも積極的に走りを楽しみたくなる

RAV4 PHV 7点

RAV4にもドライブモードが備わる。こちらは高出力のフロントモーターで、ぐいぐい引っ張るタイプの制御だ

■装備内容、コストパフォーマンス……ともに500万円級のSUVとして申し分ない装備内容だ

 各々の量販グレードとなるアウトランダーP(532万700円)、RAV4 PHV G”Z”(上級グレード、499万円)で、アウトランダーPのアドバンテージを見ていくと、主にV2Hのための急速充電機能、ヘッドアップディスプレイ、セミアリニンレザーシート、前席のリフレッシュ(マッサージ)機能、3列目シート、BOSEのオーディオ、18インチのRAV4 PHVに対して20インチタイヤと、33万700円の差額を大幅に上回る装備が加わり、お買い得感はRAV4 PHVより高い。

 なお、RAV4 PHVの最上級グレードとなるブラックトーン(539万円)はG“Z”に対し、19インチタイヤ、デジタルインナーミラー、ヘッドアップディスプレイなどが加わるものの、40万円の差額ほどではなく、加わる装備も必要性が薄いものが多い。

 その挙句、ブラックトーンというグレード名だけにツートンカラーのボディカラー代は539万円に含まれるのかと思いきや、別料金とかなり割高なので、基本的に避けることを薦める。

アウトランダー 10点

日産と三菱のアライアンスがあるからこそ、両社共通の装備も可能だ。日産のプロパイロットが三菱ではマイパイロットと名を変えて装備。事実上のワンペダル運転も可能だ

アウトランダーはオーディオシステムにもこだわる。音響機器の名門BOSEのプレミアムサウンドシステムを装備している。三菱と言えば以前はDIATONEというプレミアムブランドもあったが……

RAV4 PHV 8点

PHVの大容量バッテリーを活かした使い方といえば外部給電機能だろう。アウトドアを楽しむにしてもいっさいの我慢をしなくてもすみそうなくらいの容量を持っているため、重宝するだろう

■総合評価点…三菱渾身の力作にして最新作のアウトランダーに分があるか

アウトランダー 10点

三菱渾身の作アウトランダーは、いまの三菱が持つすべての技術を投入して生まれたクルマだ。日産とのアライアンスもうまく取り入れている。これからのPHVを牽引していく存在になるだろう

RAV4 PHV 7点

かたやRAV4も電動化著しい欧州での販売を念頭において開発されたクルマだ。アウトランダーまでの気合は感じないが、随所にPHVのこれからを示すベンチマークになりそうだ

 この2台は総合すると質のアウトランダー(主にハンドリングや乗り心地)と量のRAV4 PHV(強烈な加速、燃費と電費)というキャラクターである。RAV4 PHVの強烈な加速は大きな魅力だが、それは普段めったに使う機会のないものだけに、総合すると乗っていていつでも「いいな」と感じられる質を持つアウトランダーの圧勝だ。

 この2台の燃費の差は小さくないものと思われるが、アウトランダーも燃費は充分いいのに加え、500万円級のクルマであることを考えれば大きな差ではないとも考えられるのではないだろうか。

■まとめ……アウトランダー登場でますますこれからのPHVの発展に期待が持てた!!

 何よりも驚かされたのが三菱自動車から、あれだけ高い商品力を持つRAV4 PHVを慌てさせるクルマが出たということで、アウトランダーに乗ると三菱自動車からこれから出るクルマが非常に楽しみである。

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48件
  • アウトランダーPHEVの圧勝
  • 【OUTLANDER PHEV】
    日産エクストレイルのFMCがEV keiカー【サクラ】登場のずっと後らしいので先日三菱OUTLANDER PHEVのPグレードを契約しました。

    試乗は3回。MazdaのCX-8とだいぶ迷いました。
    決め手はあの顔と日産AURAをも越えた快適な走りです。また綺麗な液晶メーターは先進的で他車が古くさく感じてしまいます。
    急速充電が可能なのも加点ポイント。このクラスに乗るなら細かい燃費差とかは後回し。助手席にもセットされたパワーシートとマッサージ機能で奥様満足。
    リアのエアコンとシートヒーター、サンシェード、シートスライド、リアリクライニングはファミリーご機嫌仕様です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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