現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 2021年11月から「自動ブレーキ」義務化! 10年で一気に普及した先進機能は今後どう進化する?

ここから本文です

2021年11月から「自動ブレーキ」義務化! 10年で一気に普及した先進機能は今後どう進化する?

掲載 更新 11
2021年11月から「自動ブレーキ」義務化! 10年で一気に普及した先進機能は今後どう進化する?

■「ぶつからないクルマ」をきっかけに認知度アップ

 このところ、いわゆる「自動ブレーキ」の普及が進んでいます。正式には、「衝突被害軽減ブレーキ」といいますが、最近は国が作成する各種資料の一部でも、一般的に認知度が高い自動ブレーキという表現を使うようになってきました。

駐車場で隣のクルマがドアパンチ! 傷は確認できないけど、警察を呼んでもいいの?

 では、自動ブレーキは具体的にどのくらい普及しているのでしょうか。

 国土交通省の資料によると、いま(2021年)から10年前の2011年には日本国内で販売されている乗用車全体の1.4%に過ぎなかったのですが、2013年には15.4%となり、その後2015年には45.4%と一気に増加。2016年は66.2%、2017年は77.8%、2018年は84.8%と右肩上がりが続き、直近の2020年では95.8%にまで達しています。

 そして2021年11月からは国産車の新型車への搭載が法的に義務化されます。

 それにしても、なぜ過去10年間で自動ブレーキは一気に普及したのでしょうか。

 時計の針を少し戻してみると、自動ブレーキという存在が一般的に知られるようになったきっかけは、人の目のように、ふたつのカメラ(ステレオカメラ)を用いたスバル(当時は富士重工業)の「ぶつからないクルマ」という宣伝広告でしょう。

 有名タレントがスバル車に乗って、自動ブレーキが作動するシーンをテレビCMなどで紹介しました。これは2000年代後半に、「レガシィ」から搭載した「アイサイト」に関するものです。

 スバルでは、1980年代からアイサイトの前身となる商品として、「アクティブ・ドライビング・アシスト(ADA)」が設定され、その後に改良が進んできましたが、ごく一部のユーザーしかその存在を知らない特殊な装置でした。

 それが段階的に進化してアイサイトとなり、ユーザー自らが安全運転を強く意識するような世の中の空気になっていきました。

 2000年代後半から2010年代初頭、筆者(桃田健史)が当時のスバル関係者に取材した際、「正直、販売店やユーザーからここまでアイサイトが強く支持されるとは想定していなかった」と本音を漏らすほどでした。

 また、トヨタなど他メーカーの販売店からは「ウチもアイサイトのような商品が必要だ。ユーザーからそうした要望が増えてきている」という声が挙がるようになりました。

 一方で海外に目を向けると、アイサイトの進化と同じ時期、イスラエルのエルサレムに本社を置くベンチャー企業・モービルアイ(現在の米・インテル傘下)が、ひとつのカメラで画像認識技術を高めた手法で自動ブレーキに対応する半導体の企画・設計で世界の注目を集めるようになります。

 筆者(桃田健史)は2010年代にモービルアイの本社を単独取材し、同社の成り立ちや各自動車メーカーとの関係について詳しく聞いたところ、その当時で公になっていたのは、ボルボ、GM、アウディ向けで、ここに日産やマツダが加わっていきます。

 こうして、スバルのアイサイトとモービルアイが、グローバルで自動ブレーキ普及の地盤を固めていったのです。

■自動ブレーキは今後どう進化する?

 自動ブレーキ装着車が市場で増えてきたことで、自動ブレーキがアセスメントの項目に入るようになりました。

 アセスメントとは、第三者機関が量産車の衝突安全や予防安全について評価し、その結果を消費者に公表するという仕組みです。欧州や米国、オーストラリア、日本など世界の国や地域と連携しながら、それぞれ独自の検査項目を持っています。

 このアセスメントは当初、事故を想定した衝突時の安全性が重視されていましたが、2010年代に入ってからの世界的な自動ブレーキの普及によって、衝突を回避するための予防安全という領域が加わりました。

 まずは対停止車両で始まり、対歩行者や対自転車、さらに夜間での対歩行者へと、評価内容が段階的に厳格化されてきました。

 そのため、自動車メーカーとしては「まずはアセスメントへの対応」(複数の日系メーカー・予防安全技術開発担当者)という自動車開発の基本的な考え方が広まったことで、2010年代中盤から後半にかけて、日本でも自動ブレーキの普及率が一気に上がると同時に、その性能も段階的に向上したといえるでしょう。

 そのうえで、日本は世界の国や地域に向けて、自動ブレーキ普及の中心的な役割を果たしてきました。

 自動車関連技術の国際協調について話し合う、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)では2017年1月に、WP29の専門家会合で日本が提案した自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)に関する技術要件の議論が始まりました。

 そうした議論に基づき2019年1月には、前方静止車両、前方走行車両、そして横断歩行者を含む協定規則152号が成立。

 2021年11月から、乗用車などで自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)の義務化が決まったのです。

 さらに、横断自転車に対する技術要件についても2021年3月に成立しており、2024年7月から義務化されます。

 こうして、自動ブレーキ義務化が確定したことで、自動ブレーキの性能は今後さらに向上していくことは間違いありません。

 カメラの精度、いわゆるAI(人工知能)技術を活用した画像認識、処理速度が高い半導体など、さまざまな技術が複合的に絡む分野です。

 広義においては、自動ブレーキは5つの自動運転レベルのうち、初期段階のレベル1に分類されていますが、日常生活のなかで自動ブレーキの重要性は極めて高くあるべきだと感じます。

 それと同時に大事なことは、ユーザーは自動ブレーキなど新しい自動車技術によって運転に対する過信をせず、運転に対する責任を常に持ち続けることだと思います。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
VAGUE
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
GQ JAPAN
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
レスポンス

みんなのコメント

11件
  • その代り、運転に集中していない人の割合も増えましたけどね。
    バイクで後ろから見ていると明らかに視線が下向きの人の多いこと。
  • 保険として自動ブレーキを認識している人なら
    良いのですが、自動ブレーキが無ければ
    怖くて運転させられない様な人の免罪符には
    してはいけないと思います。
    運転免許証はあくまでも運転能力がある人に
    与えられる資格である事が大前提です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

310.2576.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

59.8638.0万円

中古車を検索
レヴォーグの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

310.2576.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

59.8638.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村