■若返りに成功した「スカイライン」のその後は?
1990年代までは、日本で高い人気を誇っていたセダンですが、近年では軽自動車、コンパクトカー、ミニバン、SUVといったボディタイプが主流となり、その結果、セダン市場は年々縮小傾向となってます。しかし、最近ではその傾向に変化があるといいます。
一部のユーザーからは「セダンは古い」や「オヤジ臭い」といわれることのあるいまですが、近年ではスタイリッシュなデザインを採用したモデルも増えています。
日産を代表するセダンの「スカイライン」は2019年7月にマイナーチェンジを発表。同年9月17日に発売され、これまでのマイナスなイメージを払拭したといえる全面刷新を遂げました。
マイナーチェンジの前年となる2018年の年間販売台数は約2000台でしたが、マイナーチェンジ後の3か月で1974台を受注し、前年の年間販売台数と同等の台数を記録しています。
マイナーチェンジの内容は、外観デザインを大幅刷新すると同時に、日産が展開する高級ブランド「インフィニティ」から「NISSAN」にエンブレムロゴが変更されたこと、テールランプにスカイラインの伝統である「丸テール」が復活したことなどが大きな話題となりました。
また、スカイラインにはガソリン車とハイブリッド車が設定され、ハイブリッド車には「プロパイロット2.0」と呼ばれる、ハンドルから手を離したまま高速道路を走行できる最新システムを国産車初搭載しています。
一方のガソリン車は、マイナーチェンジ前に搭載していたダイムラー(メルセデス・ベンツ)製の2リッター直列4気筒ターボから、日産製の3リッターV型6気筒ターボへとエンジンが刷新されました。
通常仕様のエンジンでも最高出力304馬力とハイパワー車に分類されますが、さらに100馬力以上アップした405馬力のエンジンを積む「400R」というグレードも新たに設定されています。
発売当初のパワートレイン別の比率は、ガソリン車とハイブリッド車がほぼ半々で、ガソリン車の半分強が400Rを選んでいたようです。
スカイラインのマイナーチェンジ当時、日産は次のように話していました。
「新型スカイラインは当初の想定以上にガソリン車の割合が高くなっていて、そのガソリン車のなかでも400Rは約6割を占めます。また、発売以来のグレードごとの月別販売実績でも、400Rがナンバーワン人気です。
また、購入者の平均年齢が50代後半というセダン市場のなかで、400Rの購入者の約3割は40代以下となっている点も驚いております」
このようにマイナーチェンジ直後は大きな話題となったスカイラインですが、発表から約1年となった2020年6月現在では、どのような状況なのでしょうか。
日産の販売店スタッフは次のように話します。
「現在では、去年ほどの話題や勢いはありませんが、コンスタントにお客さまから問い合わせを頂きます。
全体的には50代以上の男性は多いものの、最近でも30代や40代の男性が購入されることあるため、近年のスカイラインとしてはユーザーの若返りに成功したといえるのではないでしょうか」
■セダン人気復活の鍵は「若さ」&「スポーティ」
セダンに「若さ」や「スポーティ」といったトレンドをひと足先に示したのが、2018年8月1日にトヨタ「カムリ」のスポーティグレードとして後から追加された「WS」です。
WSグレードは標準グレードとは異なるフェイスデザインを採用し、北米仕様のカムリに設定されるスポーティグレード「XSE/SE」と同様のフロントグリルやバンパーを装着しています。
また、リアスポイラーや18インチアルミホイール(ブラック塗装)、2本出しマフラーカッターなどによりスポーティさを演出。内装には専用シートやパドルシフトを採用しました。
WSグレードは、標準グレード「G/X」と同じ2.5リッター直列4気筒ガソリンエンジン+ハイブリッドシステム(THSII)を搭載。足回りは、日本と北米用の部品を使い分けているといいます。
カムリWSの導入背景やデザインコンセプトについて、チーフエンジニアの勝又正人氏は次のように話します。
「もともと、2017年に発売した10代目カムリについても、常に若者に購入してほしいと考え企画しました。
年齢層としては、30代後半から40代前半の方に購入して頂けるように開発しましたが、10代目カムリにおいては先代カムリからの乗り換えが多く、50代後半のお客さまが大半を占めています。
今回のカムリWSについては、先行受注の段階において予想より若い20代や30代のお客さまもご購入いただいているのには、正直ビックリしています」
また、最近のセダンは単純なユーザー層の若返りだけが目的ではないようです。
2020年2月21日に発売された10代目となるホンダの新型「アコード」は、ローングノーズのスタイルに加えて走行性能が格段に向上しました。
新型アコードについて、開発責任者の宮原哲也氏は次のように述べています。
「歴代アコードを振り返ると実用性や走りに関しては高い評価を得ています。しかし、デザインに関してはそれ以上でもそれ以下でもないことが大きな課題でしたので、新型アコードでは『若返り』を開発キーワードとしています。
ただし、おじさんが無理に若作りするということではなく、若い人が見て『おじさんカッコいいよね』といわれるようなモデルを目指しました」
このように、単純に若い人へ向けたモデルということではなく、実際の購入ターゲットとなる中年男性の購入ハードルを下げる要因にもなっているようです。
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みんなのコメント
スカイラインは終わったと思う。
広くて安い無難セダンの定番
貧富の差が激しく治安の悪い米国には
日本車のような無難な車がベストなだけ