「ホンダセンシング エリート」は市販車で世界初となる自動運転レベル3を実現した、ホンダセンシングのフラッグシップ。高速道路で追従クルーズコントロール(ACC)+車線中央維持支援システム(LKAS)を使用中、渋滞時にはシステムがドライバーに代わって運転操作することを可能にした(ハンズオフに加えて視線オフもできる)。2021年3月、100台限定だがレジェンドに搭載されている。
一方、「ホンダセンシング360(サンロクマル)」は、標準タイプのホンダセンシングを車両の全方位検知に進化させた高性能版だ。従来の単眼フロントワイドビューカメラに加え、フロントと各コーナーに計5台のミリ波レーダーを追加。360度センシングの実現で車両の死角をカバーし、衝突被害軽減ブレーキなどの予防安全性能を大幅に高めている。
この360は2022年12月に発売の中国向けCR-Vに初搭載され、日本には2023年に導入予定(北米向けが発表されたばかりの新型アコードか!?)。現在はいわばエリートが“松”、標準タイプは“梅”で、両者のあいだには機能・性能で大きな開きがあるが(もちろんコスト面も)、その中間に位置する360の登場によってホンダセンシングの松竹梅がそろうことになる。
そして、その360とエリートの次世代技術が、2022年12月1日に早くも公開されたのだ。
「360ネクストコンセプト」では、ドライバーの異常や周辺環境を検知し事故のリスクを減らすことでドライバーの運転負荷をさらに軽減する新機能を追加。
「エリートネクスト コンセプト」では、ホンダ独自のAI技術を活用した認知・理解技術により、従来の高速道路に加え一般道も含めた自宅から目的地までのシームレスな移動を支援する機能を新開発する。具体的には次の3つだ。
■360で培った安全運転支援機能を一般道まで拡大する「一般道路運転支援」。
■戸建て・集合住宅などの自宅駐車場における自動出庫・入庫を実現する「自動駐車支援」(将来的には外出先での呼び出し・乗り捨てが可能なオートバレーパーキングを目指す)。
■従来機能に加え、合流・分岐シーンでの支援機能を追加する「高速道路全域運転支援」。
そして、360の次世代技術については、ホンダの栃木テストコースでごく短時間ながら実際に体験することができた。
■「ドライバーの状態と前方リスクを検知 回避支援を行う技術」。車間調整や車線維持といった運転負荷軽減機能をふだんの運転にも取り込み、予防安全性能を高める。具体的には次の3つの技術だ。
(1)「注意喚起、衝突注意警報」。システムがドライバーの状態を検知して注意力低下や漫然運転と判断すると、警報やブレーキで注意を喚起する。さらに、前方車に近づき過ぎると減速、また車線の中央を維持するようにステアリング支援を行う。車間調整の機能はトヨタが「トヨタセーフティセンス」の一機能「プロアクティブドライビングアシスト」(PDA)で採用済みだが、次世代360はアクセルオンの状態でも減速させるなどさらに踏み込んだものだ。また、アクセルを踏んでいるのにブレーキがかかる違和感が、ドライバーへの注意喚起にも効果的だという。
しかし、助手席でデモを体験している限り、一連の作動はまったく気づかないほどスムーズ。違和感があって同乗者に敬遠されては元も子もない。開発ではそうした点にも十分気が配られているのだ。
(2)「車線内回避支援技術」。歩行者、自転車、路肩の車両などに衝突するおそれがある場合、走行中の車線内に十分な回避スペースがあるとシステムが判断すると、車線内で減速しながらステアリング制御で衝突回避を支援する。想定車速は80km/hくらいまでとのことだが、それ以上でもシステムは作動する。
(3)「緊急回避操舵支援技術」。上記と同じ状況でドライバーがステアリング操作をした場合、減速しながら操舵をアシストする。隣の車線に回避後は、さらに逸脱しないようにステアリングを支援して二次衝突被害を防ぐ。
■「ハンズオフ機能付高度車線内運転支援機能」。ACC+LKASによるハンズオフの高速道路走行が、渋滞時だけでなく高速域まで行える。日産「プロパイロット2.0」やトヨタ「アドバンストドライブ」と同じく、次世代360も3次元の高精度マップやさらに高性能な制御システムを搭載しているのだ。カーブでは曲率を前もって読み取り、適切な減速でスムーズなコーナリングを支援する。「エリート」のハンズオフ機能を360で実現したかたちだが、360は次世代型もレベル3ではないため、渋滞時のハンズオフもドライバーによる監視が必要だ。
■「ハンズオフ機能付高度車線変更支援機能」。同じくエリートのハンズオフ時レーンチェンジ支援を次世代360でも実現。前方の低速車追い越しやルート案内などでレーンチェンジが必要な場合、ドライバーのウインカー操作だけではなくシステムが自ら状況を判断して操作を支援する。プロパイロット2.0やアドバンストドライブはレーンチェンジの際、一時的にハンズオンが必要だが、次世代360はハンズオフのままでオーケー。ドライバーの安全確認ももちろん必要だが、クルマ自身が積極的に追い越しをかける高速の走りっぷりは、公道で試したエリート搭載のレジェンドと同じだ。
■「ドライバー異常時対応システム」。近赤外線カメラによってドライバーの顔の向きや目の開閉状況などをつねに検知。ドライバーが気を失うなどした場合、最終的にはハザードとホーンで周囲に警告しながら減速し、車両を車線内に停止させる。さらに緊急通報サービスに自動接続し、迅速な救命活動をサポートする。
プロパイロット2.0やアドバンストドライブ、スバル「アイサイトX」の同機能は高速道路でACCやLKASの使用中に作動するが、次世代360はマツダ「コ・パイロット1.0」と同様に一般道でも有効だ。システムがドライバーに何らかの異常が発生したと判断すると、音と表示でドライバーに通知するとともに、車線の中央付近を走るようステアリングを支援。ドライバーの反応がない場合は強く警告し、アクセルを無効にする。それでも応答がない場合の最終段階が停車、そして緊急通報サービスだ。
このほかに「降車時車両接近警報」も搭載する。駐停車中、後側方に接近する車両や自転車を検知。降車でドアを開けて衝突するおそれがあると、インジケーターの点滅と警報で注意を喚起する。他メーカーも導入を始めており、技術的には次世代型でなくても採用できる機能だが、そこは新型車のモデルチェンジのタイミングなど社内事情があるらしい。
次世代型のホンダセンシング360は2024年からグローバルで順次適用が開始される。まだ少し時間がかかるが、先進安全・知能化ソリューション開発部の四竃(しかま)真人エグゼクティブチーフエンジニアは「レジェンドに載せたハンズオフの機能をお求めやすく普及できるコストで造り込んでいます。システムはレジェンドからさらに熟成を進めており、走りの安心感も大きなポイントです」と、商品力に自信を覗かせる。
ホンダは2030年に全世界でホンダ2輪・4輪車が関与する交通事故死者半減を目指すべく、同年までに2輪検知機能付ホンダセンシングの全世界の4輪全機種への適用と、先進国でホンダセンシング360の全機種への適用に取り組んでいく。そして究極の目標は、2050年に全世界でホンダの2輪・4輪車が関与する交通事故の死者をゼロにすることだ。
〈文=戸田治宏 写真=ホンダ、ドライバーWeb編集部〉
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