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アルピーヌA290を超える?:ミカ・ミーオン 「小型・軽量」の面白さ ベスト・ファンEV(4)

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アルピーヌA290を超える?:ミカ・ミーオン 「小型・軽量」の面白さ ベスト・ファンEV(4)

A290と近いサイズで車重半分 後輪駆動

2025年のベスト・ファンEVは、アルピーヌA290 GTSに決定したのではないかって? ご指摘の通り。ただし、バッテリーEVでもドライバーズカーが誕生し得ることを喜ぶ前に、特別枠として確かめてみたいクルマが1台ある。

【画像】2025年のベスト・ファンEV アルファ・ロメオ・ジュニアにミニ・クーパー、アルピーヌA290ほか 全198枚

最高得点を集めたA290は、電動化時代のホットハッチといえるかもしれない。それでも、車重はGTSグレードで1479kg。決して軽いとは呼べない。もし、同じくらいのボディサイズで、重さが半分程度だったら? きっと、一層面白いに違いない。

A290のステアリングは、比較した5台の中でも特に素晴らしかった。しかし前輪駆動だから、路面の感触は操る人の手のひらへ伝わる前に、駆動用とパワーステアリングのモーターの影響を受けている。後輪駆動なら、もっとピュアな感触を味わえるはず。

加えてバッテリーEVの多くは、駆動用バッテリーをフロア下に敷き詰めている。ボディの内側へ身体を収めるのではなく、その上に座っているような感覚は拭えない。路面へ近い位置で、理想的なドライビングポジションを取れるわけではない。

これらは、エンジン時代だけに許されるものなのだろうか? そんなことはない。多少の妥協は伴うが、どうやらバッテリーEVでも可能なようだ。かなりお値段は張るものの、ミカ・ミーオンは訴求力の高い提案だといっていい。

パワステやABSはなし シャシーはオリジナル

開発を率いたのは、シャシー技術者のロビン・ホール氏。彼の経歴には、素晴らしいドライバーズカーが何台も含まれている。ミーオンで挑んだのは、重さの縛りを取り除いた時、どこまで優れた走りをバッテリーEVで実現できるのか、だったという。

またホールは、フォルクスワーゲンビートル譲りの技術という縛りからビーチバギーを開放した時、どんなクルマになるのかも確かめたいと考えた。AUTOCARでは既に試乗記をお伝えしているが、ポップな見た目にはとらわれないで欲しい。

シャシーは、完全なオリジナル。容量20.0kWhの駆動用バッテリーは、シャシー中央部分に背骨のように積まれている。218psの駆動用モーターは、リアアクスル側。ドライバーをアシストする、パワーステアリングやABSなどは一切備わらない。

実用性は、ハッチバックの比ではないほど低い。A290と、冷静に乗り比べる相手ではないといえる。しかしケータハム的な存在として、純粋に現在のバッテリーEVが叶える運転体験を、比較するのはアリだろう。

試乗したのは真冬。ご覧のとおり、ミーオンにはサイドウインドウもルーフもなく、1桁台の気温では小さくない我慢がドライバーへ求められる。ペダルの位置には癖があり、まだ試作段階ということで、回生ブレーキも完全ではなかった。

目からウロコのステアリング 低速域での楽しさ

それでも、ステアリングの反応は目からウロコ。駐車場の速度域でも充分に軽く回せ、高解像度な情報が手のひらへ逐一伝わってくる。反応は極めて正確で、ボディを狙ったとおりに導ける。

乗り心地はしなやか。シャシーバランスにも優れ、A290を含む5台とは異なるマナーで、ワインディングを存分に駆け回れる。リミテッドスリップ・デフは、組まれていなかったが。

単体で楽しむ限り、A290も素晴らしい。グリップが抜ける様子を感知できるし、トルクステアもよく抑え込まれている。しかしミーオンと比べると、鮮明度で劣ることは否めない。感触を確かめながら、滑らかに操ることが難しく感じられてしまう。

耳がちぎれそうなほど寒いものの、スピード感は想像以上。少し気張りすぎたように感じてスピードメーターを確認しても、グレートブリテン島の一般道の制限速度、97km/hを超えてはいなかった。

駆動用モーターはBYD由来。加速時には、ザラついたエンジンのような音を放つ。これが、運転体験を一層濃いものにしている。最大トルクは31.6kg-mだが、軽さとモーターの特性が相まって、倍近くあるかのよう。低速域で楽しめるクルマは、本当に面白い。

EVが進化する余地はまだまだある

ミーオンは、駆動用バッテリーの軽量化・小型化へ、大きな期待を抱かせてくれる。航続距離は161kmだが、週末の喜びのためと割り切ったクルマは、電動でも既にすこぶる楽しい。ケータハムのように。

車重1497kgの電動ハッチバックと、675kgの電動ビーチバギーを並べるのはフェアではないだろう。とはいえ、発展途上の電気自動車に、進化できる余地がまだまだあることは間違いない。

今回の5台のように、実用にも耐える楽しいバッテリーEVは揃いつつある。2005年のルノー・クリオ(ルーテシア)R.S.200の印象を、A290 GTSは越えてはいないかもしれない。だがクルマは進歩し続ける。来年は、更に良い運転体験を味わえるに違いない。

ミカ・ミーオン(プロトタイプ/英国仕様)のスペック

英国価格:7万5000ポンド(約1463万円)
全長:3061mm
全幅:1613mm
全高:1177mm
最高速度:161km/h
0-100km/h加速:3.5秒
航続距離:161km
電費:8.0km/kWh(予想)
CO2排出量:−
車両重量:675kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:20.0kWh
急速充電能力:60kW
最高出力:218ps
最大トルク:31.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

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