■後への影響が大きかったクルマを振り返る
現在、日本は自動車大国と認められており、本格的な自動車製造の歴史は100年以上も前に始まりました。
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日本製のクルマが大きく様変わりしたのは第二次世界大戦終結後で、とくに1970年代から現在までの進化は目をみはるものがあります。
これまで膨大な数の日本車が誕生しましたが、そのなかには後世に与えた影響が大きかったモデルも存在。
そこで、日本の自動車史で大きな分岐点になったモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ初代「プリウス」
トヨタの現在に通じるハイブリッド車の開発が始まったのは1980年年代の初頭で、そこから長い年月をかけて技術が結実したのが、1997年に誕生した初代「プリウス」です。
世界初の量産ハイブリッド車としてデビューしたプリウスは、当時としては驚異的な28km/L(10・15モード)という低燃費を実現。
この燃費性能は同クラスのガソリンエンジン搭載のAT車に比べ約2倍の燃費性能であり、CO2の排出量を約2分の1に削減できたクルマとして世界的にもセンセーショナルなモデルだったといえます。
しかし、初代プリウスの価格は215万円(消費税含まず)からと、当時の「カローラ」の標準的なグレードよりも50万円ほど高価だったことからヒット作にはなったといえませんでした。
また、ユーザーもハイブリッド車についての知識も乏しく、まだ環境意識も高まっていなかったのも、ヒットにつながらなかった要因といえます。
そうした背景がありながら、他メーカーもハイブリッド車こそ低燃費車の切り札という考えが浸透し、次々とハイブリッド車の開発に成功。
プリウスも2003年に大きく進化した2代目が登場すると大ヒットを記録して、現在も低燃費車のトップランナーに君臨しています。
初代プリウスの誕生は国内外のメーカーに大きく影響を与え、現在の世界的な電動車普及もプリウスの誕生無くしては考えられないといえるでしょう。
●日産4代目「フェアレディZ」
日本車の進化は1970年代から大きく前進したといえますが、技術的な革新は1980年代に開花したといえるでしょう。
そして、日産は1980年代の終わりに「1990年までに世界No.1の動力性能を実現する」という開発目標を掲げ、これを「901活動」と名付けてプロジェクトを推進。
この901活動で誕生したモデルとして、日本市場向けの「R32型 スカイラインGT-R」、欧州市場向けの初代「プリメーラ」、北米市場向けに「Z32型フェアレディZ(300ZX)」が誕生。
この3台のうち最初にデビューしたのがZ32型 フェアレディZで、1989年7月に発売されました。
外観は新時代のスポーツカーにふさわしく過去から脱却を図り、全幅の拡大と低い全高によるロー&ワイドな迫力あるフォルムを採用し、バブル景気という背景もあってたちまち人気車となります。
一方、Z32型 フェアレディZで最大のトピックはエンジンにあり、トップグレードには3リッターV型6気筒DOHCツインターボ「VG30DETT型」を搭載。
最高出力280馬力を誇り、これがきっかけで国産車は280馬力を上限とする自主規制が2004年まで続くことになります。
サスペンションは前後マルチリンク式とされ、ターボ車にはスーパーHICAS(電子制御式4WS)を搭載するなど、パワーだけでなく優れた旋回性能も実現しました。
本来、この280馬力自主規制によって日本車の進化は停滞しても不思議ではありませんでしたが、より小排気量でも達成できるようになり、エンジン性能だけでなくシャシ性能の進化を加速させたともいえます。
輸入車では280馬力を上まわることが許されるなど不合理といえる自主規制でしたが、国産メーカーの技術力を高める絶妙な数字だったのかもしれません。
■高額なスポーツカーはここから始まった?
●ホンダ初代「NSX」
前述のZ32型 フェアレディZやR32型 スカイラインGT-Rと同世代ながら、異なるアプローチで開発された高性能車がホンダ初代「NSX」です。
1990年に発売された初代NSXは、空気を切り裂くようなシャープなウェッジシェイプの外観で、まさに和製スーパーカーというべきフォルムを採用。
さらに世界初のオールアルミ製モノコックシャシとボディ外板によって、高いシャシ剛性を確保しながら軽量化を両立しました。
エンジンは最高出力280馬力(MT)を発揮する新開発の3リッターV型6気筒DOHC VTECエンジンをリアミッドシップに搭載。トランスミッションは5速MTに加えて4速ATを設定することで、スーパーカーながらイージードライブを可能とする、それまでにないコンセプトでした。
足まわりはドイツのニュルブルクリンクで鍛えられた4輪ダブルウイッシュボーンを採用し、軽量な車体と相まって、ホンダのフラッグシップスポーツカーにふさわしい、優れた旋回性能を発揮。
一方、価格は800万3000円(MT車、東京価格、消費税含まず)と、当時の国産車のなかでも非常に高価でした。
これはNSX専用に工場を建設したことや、ボディにアルミをふんだんに使ったこと、チタンコンロッドやメッキシリンダーなどエンジンの製造コストも高騰したことが要因で、R32型 スカイラインGT-Rが445万円、トヨタ初代「セルシオ」のトップグレードが620万円だったのに比べても、かなり高額だったといえるでしょう。
それでも、初代NSXは発売と同時に3年分のバックオーダーをかかえたといいますから、バブル景気のすごさがわかります。
その後、初代NSXは1000万円オーバーとなり、近年はさらに高額な日本車も珍しくありませんが、日本車の高額化はNSXから始まったということです。
※ ※ ※
初代NSXが800万円代、R32型 スカイラインGT-Rが400万円代というのは、現在の水準から考えると安い印象があります。
しかし、同世代の「シビック SiR II」が162万円でしたから、庶民にとって両車は当時としてはかなり高額なモデルと感じられました。
一方、1989年当時のBMW「E30型 M3」が758万円だったことを考えると、かつてはいかに輸入車が高額だったことがうかがえるのではないでしょうか。
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みんなのコメント
セルシオは源流主義を標榜し、精緻な作りこみによる静粛性、4L級のクルマに似合わない低燃費で世界の高級車メーカーをあっと言わせ、ロードスターは風前の灯火だったオープンタイプのスポーツカー市場をよみがえらせた立役者、どちらも世界中でフォロワーが現れたのが影響力の凄さを物語っていますからね。
どれも80年代後半の、まさにバブル絶頂期に誕生したものばかりですね…
今考えてもすごい時代でした…