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「ディーノ」がついに1億円オーバー! およそ50台のみ作られた「チェア&フレア」仕様とは

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「ディーノ」がついに1億円オーバー! およそ50台のみ作られた「チェア&フレア」仕様とは

国際マーケットにおけるディーノ相場に異常あり

 超レアなはずのクラシックカー/コレクターズカーが、なぜか立て続けに国際オークションへと出品されるという事態は、時おり見られることである。2022年5月末にRMサザビーズ欧州本社が開催した「MONACO」オークションにて、わずか50台が作られたにすぎないというディーノ246GTS「チェア&フレア」仕様車が、約7500万円という高価格で落札されたことは、先ごろAMWでもお伝えしたばかりである。ところが2022年8月下旬、北米カリフォルニア州モントレーで開催されたRMサザビーズ「Monterey」オークションにも、もう1台の「チェア&フレア」が出品されることになったのだ。

「ディーノ」が7500万円! フランス女優が愛した美しすぎる「246GTS」とは

北米限定でおよそ50台のみのチェア&フレアとは?

 ピニンファリーナのアルド・ブロヴァローネとレオナルド・フィオラヴァンティによる見事なデザインに、スカリエッティの熟練工による見事な金属加工を施したディーノGTは、多くの点でフェラーリの未来形を示唆するものであった。

 彫刻的に美しいボディの下には、当時のフェラーリのロードカーとしては大胆な、レーシングカー由来のミッドシップ・レイアウトを採用。65度V型6気筒4カムシャフトのエンジンをドライバー背後に横置き搭載し、最適な重量配分を実現した。

 1969年には、206GTから進化したディーノ246GT、1972年にはタルガスタイルの脱着式ルーフを採用した「246GTS」が登場し、北米マーケット(一部の州を除く)では175psまでディチューンした2.4L V型6気筒が搭載されたといわれている。

 ディーノ246GTSは生産期間の短さもあって、作られた台数はわずか1274台という希少なモデル。さらにその中でも、「チェア&フレア(Chairs and Flares)」と呼ばれる、2つの専用装備を兼ね備えた北米仕様のオプション仕様車は、ディーノ愛好家の間ではとくに魅力的なGTSとされている。

 まず、フェラーリのV型12気筒エンジンを搭載したスーパーツアラー「365GTB/4デイトナ」から流用された、本革張りのスペシャルシート。そしてグループ4のレーシングカー譲りのフレアしたホイールアーチが、ディーノが本来持つ美しい流線型のボディラインにアグレッシブさを加えている。

 さらにこのホイールアーチを埋めるように、7.5インチ幅のカンパニョーロ社製マグネシウム合金ホイールが装着され、このオプション仕様のスタイリングを完成させたのだ。

 主に北米市場向けのオプションだったという「デイトナスタイル」の本革シートと、同じく北米での交通法規を満たすために幅広のホイールアーチを与えられ、246GTSとしては望ましい仕様とされる「チェア&フレア」の製作台数は、約50台といわれる。

 それぞれのオプションは単独でオーダーすることが可能だったそうだが、両方のオプションを兼ね備え、コンプリート状態で製作されたGTSは、非常に希少だったのである。

新車当時の「チェア&フレア」のオプションプライスとは

 今回RMサザビーズ「Monteley」オークションに出品されたディーノ246GTSは、1973年型のアメリカ仕様車。シャシーナンバーは#06462である。

 246GTSフェラーリの歴史家、マルセル・マッシーニ氏のレポートによれば、この米国仕様のディーノは「ロッソ・キアロ」ベージュ・コノリー・レザー・インテリアで、1973年12月19日に完成したとのこと。

 ネバダ州リノの「ビル・ハーラー・モダン・クラシック・モーターズ」を経て、カリフォルニア州のハリウッド・スポーツ・カーズに渡り、1974年5月に同州内の愛好家が新車として購入した。

 付属のセールスインボイスに記されるように、工場出荷時には「フレアホイールウェル(675ドルのオプション)」、「デイトナシート(110ドルのオプション)」がともに装備された、いわゆる「チェア&フレア」仕様である。さらにパワーウインドウやエアコン、レザーインテリアなど、工場出荷時の装備はもとより充実していた。

 最初のオーナーは、この246GTSを1998年まで保有した。そののち、2003年にカリフォルニア州の有名なフェラーリ愛好家がオーナーとなるとともに、フルレストアを敢行。新車として作られた当時の輝きを取り戻した。

 そして2004年初頭に全面的なレストアが完了すると、アメリカ各地のカーショーに送り込まれる。2004年1月に開催された「第13回パームビーチ・カヴァリーノ・クラシック」にて「フェラーリ・クラブ・オブ・アメリカ(FCA)金賞」を受賞したのを皮切りに、翌年の同イベントではプラチナ賞と「コッパ・デッラ・マッキナ」賞を獲得している。

 そののち、アメリカ各州の複数のオーナーのもとでも大切に維持されてきたのは、2022年4月に行われたオイルフィルター交換と油脂類チェックを記した請求書に至るまで、あらゆる整備記録が保管されていることでも明らかと思われよう。

 今回のオークション出品に際しては、これまでのレストアと継続したメンテナンスの請求書などが付属されたほか、オリジナルの販売明細書に取扱説明書、販売用の資料、ツールキット、ディノキーホブ、トノカバーなどの付属品も充実していた。

ディーノがついに1億円オーバー!

 ナンバーズマッチのエンジンとギアボックス、そして純正ペイントを用いて北米各地のコンクール審査員を唸らせるレストアが施されたこの246GTSに対して、RMサザビーズでは、昨年までの246GTS相場を思えば強気ともとれる、55万ドル~65万ドルのエスティメート(推定落札価格)を設定した。

 ここで思い出されるのが、2022年5月24日の「MONACO」オークションにて53万9375ユーロ(邦貨換算約7500万円)で落札された1972年型ディーノ246GTS「チェア&フレア」仕様車である。

 モナコで落札されたチェア&フレアは、フランスのスーパーモデルにして国民的女優とも称されるレティシア・カスタ氏が約11年間にわたって保有してきたという、大きな付加価値を持つ個体であった。

 一方、今回のチェア&フレアは、コンディションは申し分ないとはいえ、来歴の点ではコンクール歴などが目立つ程度で、モナコの時ほどの高額落札はないかと予測していたのだ。ところが、当日の競売では入札がどんどん進み、終わってみれば80万2500ドル(邦貨換算約1億1100万円)で小槌が落とされるという結果となったのだ。

 現況の円安ゆえに、われわれ日本人にはことさら衝撃的に感じてしまうのだが、ディーノGTがついに1億円を超えてしまったというインパクトは、やはり今後の国際マーケットに与える影響も小さくはないだろう。

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みんなのコメント

11件
  • 最後のクルマとして手元にディーノを置いておきたい。
  • このチェア&フレア仕様というのは希少だと思うが、普通のGTSは生産期間が短くても意外と多く作られてディノの1/3はGTSです。だから諸説あるが1300台弱というのはディノの中では希少ではない。希少なのは206だね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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