この記事をまとめると
■CVTのメカニズムについて解説
使った経験ゼロの人も多し! 最近軽自動車にまでパドルシフトが採用されるワケ
■オランダ・DAF社が開発した「ヴァリオマチック」が元になっている
■現在では軽や小型車向けの変速機としてCVTが採用されることが多い
CVTってそもそもどういうもの?
メカニズムを評価するにあたって難しいことは、時代の流れのなかで相対評価される対象メカニズムが存在することだ。トランスミッションにおけるCVTとトルクコンバーターを使う通常のAT方式の関係もこのひとつと言えるのではないだろうか。
CVT(Continuously Variable Transmission)は、その名のとおり連続可変トランスミッションで、言い換えれば無段変速機となる。発端は、オランダ・DAF社のフップ・ファン・ドーネ(ドールネという日本語表記もあり)によって開発されたヴァリオマチックが原型となり、DAF600(1958年)で初めて実用化された自動変速機だ。出力側(プライマリー側)と入力側(セカンダリー側)に径が変化するプーリーを設け、その動力伝達にVベルト(ゴム製)を用いる方式だった。このプーリー径が連続的に変化することから、変速比が無段階変化となり、連続可変あるいは無段階変速と呼ばれたものだ。
ちなみに、当時の自動変速機は、トルクコンバーターを介した2速あるいは3速の仕様が標準的なスタイルとして存在していた。ロー/ハイ、またはロー/ミドル/ハイという固定比を持つ変速機とエンジン出力を、トルクコンバーターというフルードカップリングでつなぐ方式で自動変速としたもので、当時のレベルは、伝達ロスや変速比の段差が大きく、現在のようなスムーズな自動変速機構と見なせるものではなかった。
CVTは、こうした自動変速機に対して、変速比を連続可変(低速側から高速側)とすることで、スムースかつ効率的な動力伝達を可能とする新方式だった。しかし、発祥の地であるヨーロッパ市場では、CVTの普及は予想外に振るわぬものだった。その要因のひとつとして、動力伝達(=トルク伝達と考えてもよい)にゴム製のベルトを使っていた点が挙げられる。伝達できる動力の大きさに限界があり、出力の大きなエンジンとの組み合わせが難しかったからだ。
この問題を解決したのが、動力伝達ベルトをゴム製から金属製(鉄製)に代える方式だった。まっ先に実用化したのがスバル(当時の富士重工)で、1リッターカーのスバル・ジャスティ(1987年)で採用。CVTは、エンジンのもっとも効率のよい運転領域(一般的に最大トルク発生回転数前後)に回転数を保ちながらプーリー径を変化させ、車速(ギヤ比)を変化(変速)させる方式のため、燃費性能に優れる特徴を備えることになる。
この金属ベルト方式は、乾式複合素材(アルミ製の芯材にアラミド繊維を被せたもの)に発展。プーリーとベルト間の摩擦係数が大きくなり(伝達効率の上昇)、なおかつ樹脂材が持つ自己潤滑性により、ベルト/プーリー部での潤滑機構が不要となった。
並行して、金属ベルトに代えてチェーンを使うチェーン駆動方式も実用化された。金属ベルト式より動力伝達効率に優れ、プーリーの実効径を小さくできることからシステムの小型化あるいは変速比のワイドレンジ化が可能となった。
これらのCVTは、エンジンを横置きにしてエンジンの出力軸とトランスミッションの入力軸が平行にレイアウトされるFF方式で普及したが、エンジンが縦置き、トランスミッションも縦置きでレイアウトされるFR方式では、まったく異なる方式が考え出された。一時期「次期GT-Rのミッション」とも噂された縦置きCVT、トロイダル方式のCVTである。日産(ジャトコ、日本精工、出光興産と共同開発)が1999年に実用化(Y34型セドリック/グロリア、後にV35型スカイラインにも採用)した「エクストロイド」とネーミングされたハーフトロイダル方式のトランスミッションである。
大出力/大トルクの伝達を可能にしたトロイダル方式のCVTは、伝達効率、燃費性能に優れた自動変速機としての可能性を秘めてしたが、通常のCVTと同様の理由で一般に普及するにはいたらなかった。では、理想に近い自動変速機として有望視されていたCVTが抱えるウィークポイントとは、いったい何だったのだろうか。
エンジン回転と加速感にリニアさがない!
まず、通常のトルクコンバーター式AT(CVTでもトルクコンバーターを併用する方式がある)と比べ、車両コストが割高となった点。CVTの登場は、ちょうどAT車の販売比率がMT車と逆転する時期で、通常のAT方式との価格差は大きな問題だった。
そして、無段階変速というCVT機構の持つ独特のシフト感覚が、市場で受け入れられにくい要素となっていた。CVTは、加速に際して先にエンジン回転数を上げておき、任意の回転域に保ったまま車速が上昇するという特性があり、エンジン回転数一定のまま速度が上昇する加速感に市場が違和感を覚えたためだ。
また、動力伝達をベルト(チェーン)で行うため、ベルトが出力側と入力側のプーリーと接触する際、回転による騒音を発生するという欠点もあった。ただ、この問題は、ベルト構造の見直し(ベルトエレメント、リングなど)によって、音の発生レベルを下げる改良が続けられ、さらに車体側での遮音対策も進められたことで、初期のCVTより騒音レベルは確実に下げられた、という進化の事実もある。
さらに、スムースな変速感覚、優れた燃費特性というCVTの持つ特長が、従来型トルクコンバーター式ATの進化によって目立たなくなった、という点も上げられる。時代の進歩ともに、最も普及、一般的だったトルンコンバーター式ATは、電子制御技術の進化と共にエンジンと一括して協調制御されるようになり、ミッション自体も多段化、全段ロックアップ機構の標準化、トルクコンバーター自体の改良などが加わり、非常に質の高い走行感覚、優れた燃費特性を実現する自動変速状態を作り上げていたからだ。
逆の言い方をすれば、全車両にあえて割高となるCVTを採用する必然性がなくなり、中/大型車はトルクコンバーター式AT、改良が進んだことで小型コンパクト化したCVTは小型車や軽自動車に向く自動変速機として、棲み分けが明確になってきたのが現在のCVT市場と判断してよいかもしれない。
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