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ジープ レネゲード試乗レポート 女子語の「かわいい」がおじさんに伝染

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ジープ レネゲード試乗レポート 女子語の「かわいい」がおじさんに伝染

ジープから非常に個性的なデザインのSUV「レネゲード」が2015年9月にデビューし、誕生ホヤホヤのレネゲードに試乗してきた。市街地での注目度もバツグンに高く、歩いている人を振り向かせる魅力を持つ新型車だ。<レポート:高橋 明/Akira Takahashi>

ジープブランドではサブ・コンパクトクラス(Bセグメント)のモデルがなく、もっとも小さいサイズがシープ・コンパスだった。しかし世界中の市場で、Bセグメントサイズのクロスオーバー、SUVのニーズが高く、国内でも約30%がそのシェアを占めているという。FCAとしては、そこにモデル投入したいのは当然で、グループのフィアットからもまもなく500Xがデビューしてくる。

もう少し細かく国内のシェアを見るとSUVはトータル42万台、Dセグメントサイズが48%、Cセグメントが19%、Bセグメントが30%、ラージサイズが3%という内訳だという。ジープではラージサイズにグランド・チェロキーがあり、Dセグメントにラングラー、チェロキーがある。そしてCセグメントにコンパスというモデル構成だったがBサイズがなかった、というわけだ。

Bサイズとはいえ、見た目は大きく感じ迫力もある。そしてかわいい。ボディサイズは全長4225mm(4260mm)×全幅1805mm×前項1695mm(1725mm)、ホイールベース2570mmとなっている。()内トレイルホーク。このサイズ、だいたいマツダ・CX-3と同じで少し全長が短く、全幅が広いというのがレネゲードのサイズ。

輸入車のBセグメントでは、クロスポロ、プジョー2008、ルノー・キャプチャー、シボレー・ソニック、MINIクロスオーバー、フォード・エコスポーツなどがあるが、いずれも全長で100mm前後、ホイールベースで50mm程度がレネゲードより小さい。ではCセグメントのゴルフオールトラックと比較すると、全長で300mm、ホイールベースで65mm程度レネゲードのほうが小さいということになる。

レネゲードは、その個性的で推しの強いデザインと、全高が1695mmから1725mmあるため、セグメントサイズを超える大きさに感じるのかも知れない。そしてかわいい。

しかしながら、レネゲードの開発テーマは「アーバンサイズ。アドベンチャークラス」というのがキーワードだ。レネゲードにはFFモデルと4WDモデルがあり、FFモデルはアーバンで、クロスオーバーのテイストがあり、4WDのトレイルホークはジープのDNAとも言うべき悪路走破力を持つハードなSUVでアドベンチャークラスというのがぴったりだ。

スペックをおさらいすると、グレード展開は3つ。エントリーモデルのFFが「Opening Edition」その上級モデルが「Limited」。そして4WDモデルが「Trailhawk」という構成になっている。FFモデルには1.4Lのマルチエアターボエンジンに6速乾式TCT(DCT)でパワートレーンはFPT(フィアットパワートレーン)製となっている。

もうひとつのグレード、トレイルホークには、2.4Lのタイガーシャークマルチエア・エンジンにZF製の9速ATを搭載するオンデマンド式4WDだ。JC08モードではFFモデルが15.5km/L、4WDが10.4km/Lとなっている。ちなみにガソリンは2.4Lタイガーシャークエンジンはレギュラーを使用する。

◆インプレッション

エクステリアは見てのとおり、個性的でかわいい。女性モータージャーナリストも「かわいい」を連呼する。おじさんジャーナリストも「かわいい」とつられる。フロントグリルにはジープのアイコン「7スロット」が大きくデザインされ、いまどき見なくなったまん丸のヘッドライトが個性を印象付ける。サイドはホイールアーチが黒のモールで覆われ、SUVやクロカンイメージを作る。リヤのテールランプには軍用のジェリ缶をモチーフにしたバッテンがデザインされ、またトレイルホークには牽引用のフックまで装備される本格SUVのデザインをもっている。

今回の試乗では市街地と高速道路での試乗で、湘南エリアを走った。悪路やワインディングはない。最初に試乗したのがトレイルホークで、装着するタイヤもグッドイヤーのオールシーズンタイヤを履く。トレイルホークはFFモデルより車高が高くアプローチアングル30.5度、デパーチャーアングル34.3度、ランプブレークオーバーアングル25.7度と、本格的なスペックを持っている。

プラットホームはFFモデルもフィアット・500Xもスモールアーキテクチャーで同じだが、このトレイルホークだけには、プラットホームにも改良を加えハードな使用にも耐える構造へと変更し、堅牢性を重視している。

そのためか、市街地ではややピッチングがあるのとオールシーズンタイヤのロードノイズが大きめに聞こえてくる。高速を走るとステアリングのセンターの座りがしっかり感じられ、安心感がある。車高が少し高めだが、レーンチェンジのふらつきやロールに不安を覚えることは全くない。

搭載する9速ATでは、チェロキーではトップギヤを固定できる機能があったが、レネゲードには織り込まれていない通常のATだ。2.4Lのタイガーシャークは、このコンパクトなボディには十分すぎるパワー、トルクであり、市街地や高速では力をフルに発揮するまでもない。

レネゲード・トレイルホークの4WDシステムはオンデマンドではあるが、ZF製のソレノイド制御の機械式を採用している。フロントからリヤに駆動を伝えるクラッチにはドグ・クラッチを採用し、後輪左右の駆動にもクラッチを使ったシステムだ。そのためプロペラシャフトやリヤアクスルを分離することが可能で、省燃費に貢献する。また、ロックモードにした際、空転車輪があれば、4輪個別に制御するブレーキを使って空転を止め、グリップするタイヤで脱出する。

トレイルホークには5つの走行モードがあり、ジープのセレクテレイン・システムを搭載する。「AUTO」で先ほどのリヤアクスルが分離されFF走行を自動選択し、他に「SNOW」「SAND」「MUD」「ROCK」のモード切替えがある。ちなみに、スペアタイヤは通常のタイヤを搭載しているので、どんな場所でも即交換、走行というシチュエーションチェンジができる。

もう一台のレネゲードはFFモデルのリミテッドを試乗した。こちらは装着タイヤも通常のロードタイヤで、ミシュランのプライマシーを装着していた。ちなみにタイヤサイズはOpening Editionが215/65R16でLimitedとトレイルホークは215/60R17で、つまり、今回の試乗車のタイヤは性格の違いはあるものの外径サイズは同じということになる。

走行シチュエーションはトレイルホークと同様、市街地と高速道路で、このFFモデルはSUVというよりまさにアーバンクロスオーバーな印象だ。それはトレイルホークで少し感じたピッチングは抑えられ、ロードノイズも小さく静か。ステアリングのしっかり感や適度な重さもあって欧州車の操舵フィールを得るのだ。

市街地では、乾式のTCTが癖を見せる場面もあった。微低速でのアクセルオン/オフでクラッチのつながりで少しショックを出す。それもどこまで一般ユーザーが気にするか?というレベルでのことだが。もちろん、通常走行でのシフトアップ、ダウンは滑らかに素早くTCTのメリットを活かした変速をしている。

欧州の小型車、アメリカのスモール・サイズではカーナビが設定されないことが多い。このレネゲードにも設定がなく、オンダッシュなどの後付けでの対応となる。個性的な装備に、デュアルペイン・パノラミックサンルーフがオプション設定されている。屋根が広範囲でガラスにおおわれていて、しかもこのガラスが外れる。外したガラスはリヤトランクにスッポリ収まるようになっている。まるでオープンカーのような開放感のあるサンルーフだ。

安全装備ではレーンキープやブラインドスポットモニター、アドバンス・ブレーキアシストなどが設定されている。ボディカラーは7色あるが、ビビットな色がかわいい。また国防カラーのコマンドC/Cも雰囲気があり、これもお勧めしたい。

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