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キャンプブームで飛躍? トヨタも本気のコト消費「くるまごと」ビジネスは大化けするか?

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キャンプブームで飛躍? トヨタも本気のコト消費「くるまごと」ビジネスは大化けするか?

■「クルマを使って何をするか」に注目が集まっている

 ここ数年、クルマとキャンプが関係するブームが続いています。いったいどのような要因で流行っているのでしょうか。

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 車種としては、トヨタ「ハイエース」や日産「NV350キャラバン」をベースとしたバンコン(バン・コンバージョン)、国内外の中型コンプリートカーのキャブコン、ホンダ「N-VAN」など軽自動車ベースの軽キャン、また本格的な車両改造なしに日産「セレナ」やトヨタ「ノア/ヴォクシー」などミニバンに車内マットなどを敷いて気軽に楽しむ車中泊も人気です。

 クルマは移動で使い、オートキャンプ場でテントを張ってデイキャンプを楽しんだり、そこまで本格的ではなくても、週末に公営公園までクルマで移動して駐車場にクルマを停めて、1万円前後の小さなテントのようなサンシェードを公園内に広げてのランチタイムなど、プチアウトドア感覚のリラックスタイムを過ごす家族も大勢います。

 新型コロナ禍となり、家族の時間、ひとりの時間をクルマを使って作り出そうという動きが加速しているように思えます。

 こうしたトレンドを受けて、自動車メーカーではホームページに特設サイトとして「Hondaキャンプ」(ホンダ)や「車中HACK」(日産)などを立ち上げて、新たなるニーズを先取りしようとしています。

 一方で、自動車業界では近年、CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリングなどの新サービス・電動化)や、公共交通や町づくりにIT技術を応用するMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)など次世代技術への関心が高まっています。

 ただしこのような分野はもっぱら、自動車メーカーや自動車部品メーカーの経営層や技術者からの関心が高いだけで、多くのユーザーはクルマそのものの技術的な進化よりも「クルマを使って何をするか」、つまりコト消費に対して改めて興味が高まっているように感じます。

 クルマの革新的な技術変化が進めば進むほど、自動車メーカーとユーザーのクルマに対する考え方で“すれ違い”が生まれていて、さらにメーカーとユーザーの狭間でディーラーが苦悩している。自動車産業界を俯瞰するとそんなふうに見えます。

 そうした現状に自動車メーカーも気付いており、新しいアクションを起こそうとしています。

 例えば、トヨタには2021年1月1日付けで、BR(ビジネス・リフォーム)という組織のなかに「BRコト事業」という部署が新設されました。今後、具体的なアクションが次々と世に出てくることでしょう。

■「くるまごと」の本質とは?

 そのうえでクルマを用いたコト消費「くるまごと」をどうやって収益が上がる商品に仕立てるのか。

 筆者(桃田健史)はこれまで、自動車メーカーをはじめとするさまざまな自動車関連業種や地方自治体の関係者と、「くるまごと」について議論してきました。

 結論をいえば、こうした分野でマネタイズ(収益化)することはとても難しいと感じています。

 そのうで、「くるまごと」について、筆者なりの考えを紹介します。

 まず、クルマの使い方(意義)については大きく3つ、「移動」、「ファッション」、「空間」という分野があると思います。

 順に見ていくと、「移動」には、定期的移動(通勤・通学)、半定期的移動(買い物、通院)、不定期移動(レジャー、帰省など)、そして緊急移動(救急救命、災害対応)があります。

 こうした移動では、公共性が高まるほど、自動車メーカーとしての収益性は下がる傾向にあります。

 地方自治体を対象とした、B2G(ビジネス・トゥ・ガバメント)という事業形態もありますが、事業の実施が確定するまでの時間と労力の負担が大きい割に、収益性はあまり高くない印象があります。

 それよりも、自動車メーカーにとってもっとも有益なのは、金融商品を使った新車販売です。

 次に「ファッション」です。

 よく、人生のなかでもっとも大きな買い物は家などの不動産で、二番目はクルマ、という表現を聞きます。

 ですが、クルマの経年による価値の目減りは極めて大きく、3年で新車価格の半分程度は当たり前です。不動産で購入後3年の価値半減では、まるでバブル崩壊のイメージです。

 そうした状況をユーザーがよしとしているのは、クルマが移動手段であると同時に、自身の生活や趣味に関連したファッションだと割り切っているからだと思います。

 こうした感覚の発展形として、経年しても付加価値が上がる場合がある、アンティークという分野で、昭和のクルマ・ネオクラシックなどを好む人がいるのではないでしょうか。

 そして「空間」ですが、自宅の延長(家族団欒、ひとりの世界)に加えて、移動先でのベースキャンプという使い方があります。

 以上見てきたなかで、キャンパーブームの原因を探してみますと、まずは「ベースキャンプ」が主体となります。ここに旅行だけではなく、「空間」の要素も入って「ワーケーション」や「リモートワーク」がつながってきます。

 自動車メーカーやディーラーにとっては、ベースキャンプの場の提供、イベント開催、そして実用性がある用品販売などがマネタイズの基本となるでしょう。

 その他、SUVやミニバンに、さほど利用機会がなくてもルーフキャリアを装着するといったファッション性や、緊急移動における避難場所としてのシェルター的な考え方も加わります。

 このような各種の使い方を踏まえて、定期移動や、不定期移動でキャンパー、ないしはキャンパーっぽく装ったSUVやミニバンを使うことが増えているのではないでしょうか。

 さまざまな「くるまごと」要素が複合的に絡み合って、キャンパーブームが広がりを見せているように感じます。

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