458 イタリア以来のハンサムな量産フェラーリ
ローマ誕生のいきさつを、フェラーリは明らかにしていない。誰かが、550 マラネロのようなクルマを作らないのかと、勇気ある質問を投げかけたのかもしれない。
【画像】待ち望まれたグランドツアラー フェラーリ・ローマ 欧州の競合モデルと写真で比較 全148枚
1990年代後半の550 マラネロは、フロントエンジンのグランドツアラーとして、その時期では同社の最高傑作といって良かった。上品なスタイリングと、心を震わせる運転体験を備え、公道でも至って扱いやすかった。
その後、フロントにV型12気筒エンジンを搭載したモデルは続いたが、ラグジュアリーでワイルドに進化していった。同時に普段使いとの親和性は薄れ、圧倒的なスピードが重視されていった。サウンドとグリップ、スリリングさが追求された。
リトラクタブル・ハードトップを背負うポルトフィーノも生まれるが、モダン・フェラーリの中でのプレゼンスは、高いわけではなかった。しかし、その技術を巧みに活かしつつ、極めて高次元なFRモデルの創出が可能だと、同社は見事に証明してみせた。
このスタイリングは、アルファ・ロメオなども頼ってきた、チェントロ・スティーレ・デザイン部門での偉業の1つに数えられるだろう。筆者は458 イタリア以来、最もハンサムな量産フェラーリだと感じている。
プロポーションは崇高といえ、面処理はエレガント。それでいて、アグレッシブさも滲ませる。ディティールにも抜かりはない。カーボンファイバー製のフロントとサイドのスカートが、その上の金属製ボディと見事な対照関係を織りなしている。
ホワイトボディはポルトフィーノと多くを共有
実は、アルミニウム製シャシーとホワイトボディは、ポルトフィーノと多くを共有している。しかし、2670mmのホイールベースは同値でも、全高は低く全幅は広い。ドライブトレインの設計も異なり、車重は100kg近く軽い。
ローマは、70%が新しいと主張される。これは容積や質量ではなく、部品数での割合ではないかと推測する。
車内は大胆で豪奢なデザイン。メルセデスAMG GTやベントレー・コンチネンタルGTなども検討するユーザーを、強く意識したことは間違いないだろう。
ダッシュボードは、フェラーリSF90 ストラダーレ由来の、メーター用とインフォテインメント用のモニターを統合した、ヒューマン・マシン・インターフェイスを採用。中央のタッチモニターは縦長で大きすぎず、目立たないのが好ましい。
ただし、インフォテインメント用ソフトウエアの完成度は今ひとつ。アップル・カープレイかアンドロイド・オートを起動すれば、気にならないが。
16.0インチのメーター用モニターは、操作系の見直しでシンプルなデザインになった、ステアリングホイール上のタッチセンサーで操作可能。フットレストの位置は手前すぎるものの、シートは座り心地に優れ、長距離も快適なはず。
ワイパーは小さなノブで。それ以外の車載機能はタッチセンサーで操作するが、余り勝手は良くない。
+2の後席側は、小柄なら大人も座れる広さ。荷室には、小さめのスーツケースを2・3個積める。スキーなど長尺の荷物は、後席の背もたれ中央を貫通させて載せられる。
金管楽器のようにシンフォニックな音響
ローマのエンジンは、ポルトフィーノと同じ3.9L V8ツインターボ。新しいカムとターボ制御で、620psの最高出力を引き出している。微粒子フィルターが排気系へ備わるが、新設計のバイパスシステムを採用し、サウンドを調律している。
トランスミッションは、SF90 ストラダーレと共有の8速デュアルクラッチ・オートマティック。シャシー後方の低い位置にマウントされる。トルクベクタリング機能付きのeデフは標準装備。最新バージョンの、サイドスリップ・コントロール6.0も実装する。
公道へ出てみれば、ポルトフィーノより遥かに第一印象は素晴らしい。パワーオン時もコーナリング時も、多くのライバルより意欲的。フラットプレーン・クランクが組まれたV8エンジンの音響は、金管楽器のようにシンフォニック。思わず聞き惚れる。
絶対的な速さは、ハイエンドなスーパーカー級ではない。それでも、中域でのパワー感に魅了される。トルクフルで、高域での柔軟性も素晴らしい。0-100km/h加速は3.4秒で処理する。
ステアリングは、現代のフェラーリらしくダイレクト。少し角度を増すだけで、即座にフロントノーズが反応する。これは同社のモデル特有といえ、少し慣れを必要とするかもしれないが。
カーブでのボディロールは、ポルトフィーノより明らかに抑えられている。シャシーには自然な機敏さがあり、クイックなステアリングとの調和は見事。フロントタイヤの向きを直感的に判断でき、確かな自信のまま高い速度域を保てる。
スムーズな衝撃吸収性とシャープな操縦性
乗り心地はマイルドながら、姿勢制御の方が優先はされている。同社の技術者によると、フロントサスペンションのコイルスプリングは、ポルトフィーノと同じアイテムだとか。トレッドの幅が広いから、スプリングレートとしては落ちることになる。
車重は約100kg軽く、重心位置は10%低く、スムーズな衝撃吸収性とシャープな操縦性を両立。技術の磨き込みで、大きな進化を得ている。カーブが続くワインディングへ飛び込めば、その違いは瞭然だ。
手元のマネッティーノ・ダイヤルには、5つのドライブモードが用意されている。これにより、後輪駆動ならではといえる操縦性のバランスを、お好みで調整できる。電子的なセーフティ・ネットを緩めながら。
その懐は非常に深く、ミドシップのフェラーリ458や488のマナーとも重なるほど。シャシー設定のフレキシブルさには、心から驚かされる。
ローマ・クーペの英国価格は、約17万ポンド(約3315万円)から。ラインナップとしてはエントリー側にあり、例えばアストン マーティン・ヴァンテージは約16万5000ポンド(約3218万円)からで、かなり良い対立関係をなしている。
燃費はカタログ値で8.9km/Lだが、巡航時はそれを上回ることも可能。維持費は決して安くはないとはいえ、包括的な7年間の保証プランが提供されているから、これを組めば安心して楽しめる。
長年待ち望まれていたグランドツアラー
スタイリングが期待させる通りの、素晴らしい運転体験を実現したローマ。フェラーリとしては低めの価格設定で、ポルシェやアストン マーティン、メルセデスAMGの競合を怯ませる完成度へ到達している。むしろ、すべての面で優れているといって良い。
ほぼ季節を問わず、あらゆるクルマ移動で活躍できる。それでいて、バランスに優れ走りは極めて魅力的。長年待ち望まれていた、シンプルで本物のフェラーリ製グランドツアラーだといっていい。
◯:圧巻の操縦性 市販されているモデルの中で屈指の美しさ 素晴らしい乗り心地 ドラマチックなV8エンジン
△:インフォテインメント・システムの完成度が今ひとつ 慣れが必要なほどクイックなステアリング
フェラーリ・ローマ・クーペ(英国仕様)のスペック
英国価格:17万984ポンド(約3334万円)
全長:4656mm
全幅:1974mm
全高:1301mm
最高速度:320km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1570kg
パワートレイン:V型8気筒3855cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/5750-7500rpm
最大トルク:77.4kg-m/3000-5750rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)
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