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人気の「スポーツSUV」 なぜ誕生した? 悪路に強いSUVなのに舗装路を重視する理由とは? 老舗の「レンジローバースポーツ」に乗って考える

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人気の「スポーツSUV」 なぜ誕生した? 悪路に強いSUVなのに舗装路を重視する理由とは? 老舗の「レンジローバースポーツ」に乗って考える

スポーツSUVはいかにして誕生したのか?

 トヨタ「クラウン・スポーツ」や先頃、本国でフルモデルチェンジを果たしたポルシェ新型「マカン」など、ドライビングプレジャーやデザインのカッコよさをウリとするスポーツSUVが人気を博しています。

【画像】「えっ!…」これが老舗のスポーツSUV「レンジローバースポーツ」の魅力です(50枚)

 今回フォーカスするランドローバーの「レンジローバースポーツ」も、同様の魅力を備えたモデル。果たして新スタイルのSUVは、どのような背景から誕生してきたのでしょうか?

「SUVは悪路走破性が高くなければ意味がない」と考える人も多いことでしょう。SUVはオフローダーを起源とするモデルだけに、悪路走破性を求める人が多いのは当然のことです。

 ですが、見方を変えると、SUVを購入する人のうち、いったい何割の人が激しいオフロードを走るのか? という意見もあるでしょう。

 昨今、SUVが選ばれているのは、運転のしやすさや乗降性のよさ、そして、実用性の高さがウケているから。もちろん、オフロードを走るという人もいるでしょうが、そうでない人が大半なのです。そういう時代だけに、「オフロードを意識していないSUV」というのも、商品性としては大いにアリなのです。

 とはいえ自動車メーカー各社は、SUVを単なる実用車ではなく、何か特徴を持ったクルマにしたい、と考えたのでしょう。そこで浮かんできたアイデアのひとつが、舗装路でのスポーティな走りを得意とするSUVでした。

 何を隠そう、21世紀に入ってから爆発的に盛り上がったSUVブームのきっかけとなったのは、そんな走りを得意とするSUVだったのです。

 ドイツのプレミアムメーカーであるBMWが、同ブランド初のSUV「X5」を発売したのは2000年のこと。そして、ドイツのスポーツカーブランドであるポルシェが、同ブランド初のSUVであり、同じく初めての“スポーツカー以外の車種”として世に送り出した「カイエン」が誕生したのは2002年のことでした。

 どちらもセダンとは比較にならないレベルのオフロード性能を備えてはいるものの、両社が声高にアピールしたのはオンロードでのスポーティな走りでした。

 2台が誕生した背景には、当時すでに盛り上がっていたアメリカでのSUVブームがありました。しかし当時、アメリカで人気を博していたSUVは、まだまだオフロード性能を重視したものがほとんど。オンロードの走りに力を入れたものはありませんでした。

 そこで、BMWとポルシェが、アメリカをメインマーケットにしつつ、従来のSUVとの違いを打ち出そうとして考えたのが、スポーティな走りを楽しめるスポーツSUVというキャラクターだったわけです。

 BMWもポルシェも、オンロードでの走行性能の高さをウリとしていたブランドです。なので、新たに生み出したSUVも、オフロード重視ではなく、オンロードの走りの楽しさを強調したモデルであったことは、当然の成り行きといえるでしょう。

「X5」も「カイエン」も、発売されるやいなや大ヒットを記録したのはご存じのとおり。その際、2台が創造した「オンロードをスポーティに走れるSUV」というコンセプトは、大きなマーケットとして成立するようになったのです。

 よくよく考えれば、それも当然のことかもしれません。なぜなら、SUVとはいえ実際に激しいオフロードを走るという人は少数派なのですから。オフロードでの走行性能を高めるよりも、峠道をスポーツセダンのように俊敏に走れて、高速巡行性能だって高く、ドライビングを楽しめるスポーツSUVに、多くの支持が集まるのも当然といえるでしょう。

スポーツSUVの隆盛を見過ごさなかったランドローバー

 こうして徐々に市民権を得ていったスポーツSUVですが、そんなマーケットの成長を黙って見過ごせなかったブランドがありました。イギリスの老舗SUVブランド・ランドローバーです。

 そんなランドローバーが2005年に世に送り出したのが、初代「レンジローバースポーツ」。同ブランドで初めて、悪路よりも舗装路での速さを重視したモデルです。

 筆者(工藤貴宏)は、初代「レンジローバースポーツ」に乗ったときの衝撃を今も忘れることができません。エンジンは、同じグループに属すジャガーのスポーツモデルに搭載されていた4.2リッターのV8スーパーチャージャーで、最高出力は当時としては圧倒的な390ps。重量級の車体ながら、アクセルペダルを踏み込めば荒々しくもグイグイと加速していきます。

 またサスペンションは、オフロード車ブランドのモデルとは思えないほど締め上げられていて、コーナリング時の挙動はとてもクイック。「パワフルなエンジンを積んでサスペンションを硬めれば、スポーティな走り味になるのは当然でしょ?」とでもいいたげな初代「レンジローバースポーツ」は、速さと楽しさを味わえるとてつもなく個性的なモデルでした。

 そんな「レンジローバースポーツ」も、2022年に発売された現行モデルで3世代目。従来モデルに比べてスタイリングがグッとモダンになりました。

 乗り味も同様にブラッシュアップされており、ひたすら硬かった初代に比べるとなめらかさが格段に増し、乗りやすくなっています。当初はスポーティな乗り味を重視していた「レンジローバースポーツ」も、世代が経るごとに洗練されてきたことを実感します。

 一方、インテリアはラグジュアリーSUVブランドである、ランドローバーならではの仕立て。上質なレザーをふんだんにあしらった前後シートは、ロングドライブでも快適で、インフォテインメントは最新モデルらしい先進性を感じさせます。

* * *

「レンジローバースポーツ」を始めとするスポーティなSUVは、SUVらしい高い実用性を備えながら、セダンやステーションワゴン顔負けの走りを楽しめるという美点を持っています。

 オフロード重視のSUVは、高速巡行時や曲がりくねった峠道での安定性などにおいて、セダンやステーションワゴンにはかないません。しかし、オンロード重視のスポーティなSUVなら、そんな心配には及びません。

 セダンやステーションワゴンの感覚で安定して楽しく走れる……そこに魅力を感じる人に積極的にお勧めしたいジャンルがスポーツSUVなのです。

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みんなのコメント

13件
  • mae********
    目線の高さや乗り降りのしやすさも選ぶ基準としてあると思うよ
  • rvu********
    オンロード重視のモノコック系プレミアムSUVの元祖は1997年登場のレクサスRX/トヨタ・ハリアーでしょ。そこに追従したのがBMW X5(1999年)と開発当初BMW下にあった3代目レンジローバー(2001年)。

    初代レンジローバースポーツ、ディスカバリー兄弟はむしろセミモノコックでXJチェロキー同様ある程度オフロードを意識した作りだった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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