もくじ
ー 施設の数より利便性や信頼性の低さ
ー 4分の1近くの充電施設が利用不可とのデータも
ー 統一されていないコネクターや支払いシステム
ー 一度限りの支払いも可能に
ー 卵が先か、鶏が先か
施設の数より利便性や信頼性の低さ
英国の公共充電施設は、電気自動車の普及に合わせて増加しつつある。しかし、今では新たな問題が浮かび上がってきた。充電施設ネットワークの利便性や信頼性の低さだ。
充電施設のマップを提供するZap-Mapの最新データによると、英国には現在、1万3702カ所の公共充電設備があり、合計2万3280台分の充電プラグが備わっている。
これらの充電器が、最近ますます増えている超低排出ガスのクラスに区分されるクルマ(その多くが電気自動車だ)を支えている。その数は、英国運輸省のデータによると、2018年末の時点で18万5853台だった。
フォルクスワーゲンやヴォグゾール、プジョー、そしてホンダなどの自動車会社が、電気自動車のラインアップを増やそうとしている。2030年までに英国でプラグイン車の数は100万台以上に急増すると、コンサルティング会社のデロッティによる最近の調査では予想されている。しかしながら、その多くは自宅で充電するため、必要な公共充電施設の数は2万8000カ所で足りるとのことだ。
4分の1近くの充電施設が利用不可とのデータも
理論上では、既にその半数近い充電施設が英国にはあることになる。とはいえ、充電速度の遅い旧式の充電器は交換する必要があるし、地理的な偏りも是正されなければならない(例を挙げると、Zap-Mapのマップによれば現在は充電施設の26%がグレーター・ロンドンに集中しており、ウェールズには3%しかない)。
しかし、公共充電施設は既に多くのユーザーから不満を買っている。「デタラメに設置された使い勝手の最悪な公共充電ネットワークで、いつになったらわれわれが目指すカーボンニュートラルが達成できるというんだ?」と、英国三菱自動車の広報部長を務めるコナー・トゥーミーはツイートした。同社は英国で最も多くのプラグインハイブリッド車「アウトランダーPHV」を販売している。
5月29日にZap-Mapから提供された地図を見ると、4分の1近い数の充電器が使用不可となっている。それらのうち、7.5%は何らかの問題があって機能しておらず、16%は状況を通信できていないため、Zap-Mapでは使用不可と見做していた。
充電施設を提供する業者が多すぎることも問題のひとつだ。Zap-Mapには50以上の業者が登録されており、それぞれが独自にネットワークを拡げ、ある地域を1社で独占していることもある。例えばエコトリシティは、ウェルカムブレークのような高速道路のサービス・ステーションを展開している企業と独占契約を結んでいるが、その充電器の信頼性の低さは何度も指摘されていることだ。
統一されていないコネクターや支払いシステム
そのため、多くの場合は、サービス・ステーションで食事や買い物をすることなく、高速道路を降りて別の充電施設を利用することになる。エコトリシティはコメントを拒否している。
運よく充電施設が稼働していたら、今度はその使い方を見つけ出さなければならない。たびたび指摘される問題は、自動車メーカーの中には標準的な充電方式を採用しないところもあるということだ。それによって、さまざまな充電方式に対応した、さまざまなコネクターが混在することになる。
CCS(コンバインド・チャージング・システム。ひとつのプラグでACにもDCにも対応するためこう呼ばれる。通称コンボ)の普及は進んでいるものの、英国では日本で開発されたCHAdeMO方式が依然として主流だ。CHAdeMO方式は日産リーフや三菱アウトランダーなどが採用している。
しかし、使いやすさを妨げている最も大きな障害は、おそらく料金の支払い方法だろう。充電施設の業者はユーザーを確保するため、会員になり毎月定額を支払えば料金が安くなると勧誘している。確かに、同じ業者のネットワークを使い続けるならお得な話だが、50以上の業者が存在する現状で、それは非現実的と言えるだろう。
一度限りの支払いも可能に
充電施設業者の競合は、保守党下院議員のビル・ウィギンの注意を引いた。同議員は支払いシステムの導入に関する議員提出法案を上程した。「英国のEVユーザーは現在、欧州のユーザーと比べ、恵まれない境遇にあります。相互運用可能な充電料金の支払いシステムがないからです」ウィギンは昨年11月の議会でそう述べた。
2018年以降、充電施設業者は欧州に合わせ、アドホックな(その場限りの)充電料金の支払いに対応することが求められている。言い換えれば、特定のネットワークの会員にならなくても、その業者の施設で充電できる(料金は割り増しになるものの)ということだ。しかし、依然として支払い方法は潜在的危機をはらんでいる。
「例えば、オランダのEVドライバーは一般的なカード式の支払いシステムを使ってEVを充電することが可能です」とウィギンは述べ、同様なシステムを英国でも導入することを提案した。これは充電の国営化を勧めるものではない。
だが、「単に自由市場を確保することは、消費者のためになる」と彼は付け加えた。3月に予定されていたこの立法手続きの第二読会は行われず、ウィギンはわれわれの質問に答えなかった。
卵が先か、鶏が先か
ソーシャルメディアにおけるEVユーザーの叫びは、非接触型の銀行カードを使って支払い可能になることを求めている。すなわち、ガソリンや軽油を買うのと同じように簡単に充電できるようになってほしいということだ。既にエンジニーやインスタボルト、シェル・リチャージなど、いくつかの業者ではそれが導入されている。
しかし、それ以外の業者はコストを理由に保留を続けている。確かに、資金的には難しい問題だ。デロイトはこれを「卵が先か、鶏が先か」という話に例えている。消費者は満足できる充電ネットワークが確立されるまでEVを購入したいと思わない。しかし、充電施設業者は十分な消費者が増えるまで投資には消極的だ。
公共充電施設はまた、十分に利用されているわけでもない。Zap-Mapのデータによると、2019年1月~3月に、ファスト・チャージャー(急速充電器)は1日あたり平均0.8回しか利用されなかったという。ラピッド・チャージャー(超急速充電器)は1.8回だ。
エコトリシティが展開するエレクトリック・ハイウェイ・カンパニーの計算によると、同社は昨年、83万ポンド(約1.1億円)もの損失を出したという。デロイトでは、英国の充電産業が黒字に転換できるのは、2023年以降と見積もっている。しばらくの間、充電業者の苦悩はおそらくEVドライバーの苦悩でもあるだろう。
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