激戦区に足を踏み入れたヴェゼル
text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
【画像】ヴェゼル/キックス/ヤリス・クロス【激戦区BセグSUVを比べる】 全219枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
新型ヴェゼルが属するコンパクトSUVにはライバル車も多い。
そこで新型ヴェゼルの実力をライバル車と比べて判断したい。ライバル車では、トヨタ・ヤリス・クロスと日産キックスが該当する。
まずヴェセルのエンジンは、直列4気筒1.5Lのノーマルタイプとe:HEV(ハイブリッド)だ。
ヤリス・クロスは直列3気筒1.5Lのノーマルタイプとハイブリッドになる。
キックスにはノーマルエンジンは用意されず、直列3気筒1.2Lをベースにしたeパワー(ハイブリッド)のみを搭載する。
ボディサイズやデザインは?
ヴェゼルのボディサイズは、全長4330mm、全幅1790mm、全高1590mm(XとGは1580mm)になる。
ヤリス・クロスは少しコンパクトで、4180mm×1765mm×1590mmだ。キックスは4290mm×1760mm×1610mmだから、ヴェゼルとヤリス・クロスの中間的な大きさになる。
最小回転半径は、ヴェゼルが5.3-5.5m、ヤリス・クロスは5.3m、キックスは5.1m。
小回り性能は、ボディサイズの割にキックスが優れている。
ボディスタイルは、フロントマスクに特徴がある。ヴェゼルはグリルの直立感を際立たせ、オデッセイなど最近のホンダ車との共通性を感じる。
ヤリス・クロスはヘッドランプが鋭角的で、キックスは日産車を表現するV字型グリルが備わる。それでも横方向から見ると、各車ともに似通った形状で個性が乏しい。
リアゲートを少し寝かせた5ドアハッチバックで、パターン化されている。
内装/前後席の居住性は?
インパネなどの内装は、各車ともていねいに仕上げた。
そのうえで比べるとヴェゼルには上質感が伴う。その次がキックス、ヤリス・クロスと続く。
ヤリス・クロスのインパネは、基本的にコンパクトカーのヤリスと同様の形状だ。
居住空間の広さは、前席は各車とも同程度だ。ヴェゼルとキックスでは、座り心地にボリューム感を持たせた。
ヤリス・クロスにも不満はないが、電動パワーシートの使い勝手に注意したい。1個のモーターにクラッチによる切り替え機能を組みあわせたから、コストが安い半面、反応が鈍く少し使いにくい。
後席はヴェゼルが最も広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシが2つ半収まる。次はキックスで、握りコブシ2つ弱だ。ヤリス・クロスは1つ少々と狭いが、後席に座った乗員の足が前席の下側に収まりやすく、4名乗車の実用性は妨げない。
荷室の大きさ/シートアレンジは?
荷室の奥行寸法は、キックスが十分に確保した。もともと荷物を積む機会の多い海外で販売することを考えて開発されたから、ボディはコンパクトでも荷室容量にこだわった。
そのためにキックスの後席は少し前寄りに配置され、全長とホイールベース(前輪と後輪の間隔)はヴェゼルと同等なのに、後席の足元空間は前述のとおり少し狭くなった。
ヴェゼルも荷室は広い。リアゲートを大きく寝かせたから背の高い荷物は積みにくいが、床面積は十分に確保した。
またヴェゼルは先代型と共通のプラットフォームを使うので、フィットなどと同じく燃料タンクを前席の下に配置した。
後席を床面へ落とし込むようにコンパクトに格納できる。後席の座面を持ち上げて、背の高い荷物を車内の中央に積むことも可能だ。ヴェゼルでは多彩なシートアレンジも魅力になる。
ヤリス・クロスの荷室は、コンパクトカーに近い広さだ。リアゲートを寝かせたから背の高い荷物も積みにくいが、実用的にはさほど不満を生じない。
エンジン/ハイブリッドシステムは?
ヴェゼルのノーマルエンジンはベーシックなGグレードのみだ。主力はe:HEVになる。
1.5Lエンジンは主に発電機の作動に使われ、駆動はモーターが担当する。そのために運転感覚は電気自動車に近い。モーター駆動だから加速が滑らかで、アクセル操作に対する反応も機敏だ。
高速道路の巡航などでは、エンジンがホイールを直接駆動するモードもある。その方が効率が高まるからだ。
e:HEVのWLTCモード燃費は、前輪駆動の2WDが24.8km/L(e:HEV ZとPLaY)になる。ノーマルエンジンのGは17km/Lだ。
ヤリス・クロスは、1.5Lのノーマルエンジンと、THSIIによるハイブリッドを搭載する。
両タイプともにヤリスから採用が開始されたタイプで設計が新しい。とくにヤリス・クロスはWLTCモード燃費が優れている。
2WDの場合、ノーマルエンジンが18.8-20.2km/Lだ。ハイブリッドでは27.8-30.8km/Lに達する。ハイブリッドは、コンパクトSUVでは燃料消費量が最も少ない。
キックスはeパワーのみを搭載する。エンジンは発電機を作動させ、駆動はモーターが担当するからe:HEVに似ているが、システムはシンプルだ。
高速道路の巡航などでエンジンがホイールを直接駆動させる機能は採用されない。ブレーキペダルとの協調制御も備わらず、燃費効率でも差が生じた。WLTCモード燃費は21.6km/Lになる。
衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備は?
ヴェゼルの安全装備は、従来と同様のホンダ・センシングだ。
衝突被害軽減ブレーキは歩行者や自転車にも対応する。ペダルの踏み間違い事故を防ぐ誤発進抑制機能は前後両方向で作動する。
さらに低速時の衝突を防ぐ近距離衝突軽減ブレーキも前後両方向に設定した。路側帯の歩行者との衝突を避けるため、操作制御をおこなう歩行者事故低減ステアリングも備わる。
さらに後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットインフォメーション、車庫から後退しながら出る時の安全性を高める後退出庫サポートもある。安全装備を充実させた。
ヤリス・クロスでは、右左折時の直進車や歩行者も検知して、緊急自動ブレーキを作動させる。ちなみにホンダの開発者によると、ホンダ・センシングも同様の作動をするが、ウェブサイトやカタログには明記されていない。
キックスの場合は、後方の並走車両などを検知して知らせる機能は採用されない。
運転支援機能は、各車ともに、車間距離を自動制御して追従走行できるクルーズコントロール、車線の中央を走れるようにステアリングを制御する機能が採用されている。
グレード構成&価格では?
ヴェゼルで販売の主力になるグレードは、e:HEV Z(289万8500円/2WD)だ。基本的な安全&快適装備は標準装着され、これにカーナビをディーラーオプションで加える。オプションを加えた総額は約310万円だ。
ヤリス・クロスにはノーマルエンジンのグレードも豊富だが、2020年度の販売構成比を見るとハイブリッドが66%を占める。そうなると主力グレードはハイブリッドZ(258万4000円/2WD)だ。
ヴェゼルに比べると、ブラインドスポットモニターはオプション(4万500円)だが、ディスプレイオーディオは標準装着される。
したがって装備水準は同等だ。そうなるとヤリス・クロスZはヴェゼルe:HEV Zに比べて約31万円安い。
この価格差が、ヴェゼルの後席と荷室の広さ、多彩なシートアレンジに支払われる対価と考えれば良い。
キックスはタイで生産される輸入車だから、グレード構成はシンプルだ。
ベストグレードはX(275万9900円)になる。ヴェゼルe:HEV Zに比べて約14万円安いが、シートヒーターなどはオプションになる。こういった装備とシートアレンジの違いを含めると、キックスの価格はヴェゼルと同程度だ。
それぞれオススメのユーザーは?
ヴェゼルは後席や荷室が広いので、ファミリーユーザーに適する。
コンパクトなサイズで、ミドルサイズSUVと同等の実用性が欲しいユーザーにもピッタリだ。上級車種からの乗り替えにも適する。
キックスは少し荷室に重点を置くので、レジャーに使いたいユーザーに向く。
アクセルペダルだけで速度を幅広く調節できるeパワーの運転感覚も特徴で、試乗してご自身の運転スタイルにあえば、選択理由になり得る。
ヤリス・クロスでは、まず価格の安さにメリットだ。ハイブリッドは燃費性能も優れているから経済性が優れている。そのかわり後席は狭いから、基本的には2名以内の乗車で使うユーザーに推奨したい。
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