■1年で人気車の顔ぶれがガラリと変化!?
国内の新車市場は、2020年2月頃からの新型コロナウイルスによる自粛などにより、大きく販売台数を落としています。
では、実際に2019年7月期と2020年7月期では、新車市場にどのような変化があったのでしょうか。
これが「プリウス」なの!? 「フェラーリ」そっくりなプリウスが登場!
日本自動車販売協会連合会(自販連)が公表した2020年7月の登録車販売台数では、1位トヨタ「ヤリス」(1万4004台)、2位トヨタ「ライズ」(1万2283台)、3位トヨタ「カローラ」(1万994台)、4位トヨタ「ハリアー」(9388台)、5位ホンダ「フィット」(9213台)という上位車種でした。
一方で2019年7月の登録車販売台数は、1位トヨタ「プリウス」(1万3137台)、2位日産「ノート」(1万144台)、3位トヨタ「シエンタ」(1万739台)、4位トヨタ「ヴィッツ」(9625台)、5位トヨタ「アクア」(9622台)といった車種が名を連ねています。
2019年と2020年の販売台数を比較すると2020年の上位5車種では、すべてが過去1年以内に新型車もしくはフルモデルチェンジとして登場した新しいクルマとなっています。
しかし、2019年では2010年登場のヴィッツ、2011年登場のアクア、2012年登場のノート、2015年登場のプリウスやシエンタといった、登場からある程度の年数が経っている車種がほとんどでした。
これらの年数が経っている車種は、途中でデザイン変更やパワートレイン追加、シート列追加、安全装備向上など商品力を磨き続けているものの、同時期に登場した新型車よりも売れているのです。
また、2015年以降は上位のプリウス、ノート、アクアは不動の人気車種として知られるほど定番化していました。
なぜ長く続いた人気車種の販売順位は2020年に変革を迎えようとしているのでしょうか。
多くの人気車種を販売するトヨタの販売店スタッフは次のように話します。
「まず2015年、2016年にプリウスやシエンタ、C-HRといった新型車が続々と登場しました。これらは各ジャンルで上位の販売台数を誇っています。
その後、2018年にカローラスポーツが出てから、2019年にはRAV4やカローラシリーズ、ライズなどが登場。2020年にはヤリスやハリアー、秋にはヤリスクロスの発売を予定しています。
このように新型車はジャンル毎に一定の間隔を空けて登場しますので、最近の売れ筋車種が変わってきているのは、そのサイクルが次にサイクルになったということではないでしょうか。
実際に、2、3年ほど前までのSUVジャンルではC-HRが圧倒的な人気を誇りました。しかし、最近ではSUVラインナップの拡充もあり、ライズやRAV4、ハリアーがその人気を分け合っているほか、間もなく登場するヤリスクロスもそこに加わると、必然的に人気車種も変わってきます。
プリウスも同様で同じようなサイズのカローラやカローラツーリングが出てきたほか、プリウスの購入において中心ともなっている高齢層が扱いやすく、最新の安全装備を採用しているヤリスに流れていることも変化のひとつです」
一方で中古車市場にも新車販売台数の変化の影響は出ているといいます。国産中古車を中心に扱う販売店のスタッフは次のように話します。
「新車市場での人気順位によって中古車市場の相場価格や流通台数にも変化が出てきます。
基本的には、新車で人気なクルマは中古車でも相場価格が高くなる傾向にあるほか、売り買いの動きも早いため、オークションでもすぐに買い手が付きますが、人気が落ちてくると価格を下げることやオークションでの動きも渋くなる傾向にあります。
ただし、プリウスなどの場合はブランドが確立されていることや法人需要もあるために、フルモデルチェンジをしない限りは中古車市場に大きな変化はないと思います」
■コロナ禍の影響はどうだった?
登録車販売台数の5位以降にもこの1年で変化が見て取れます。
2020年7月の6位はトヨタ「アルファード」(8448台)、7位日産「セレナ」(7686台)、8位ノート(6730台)、9位トヨタ「ルーミー」(6528台)、10位シエンタ(5344台)です。
2019年7月の6位ルーミー(9477台)、7位カローラ(8849台)、8位セレナ(8791台)、9位フィット(8663台)、10位RAV4(8646台)となっています。
ここでの注目は、トヨタの高級ミニバンといえるアルファードが2020年7月に6位にランクインしていることです。
アルファードは、2020年4月から7月において5位から6位を維持するとともに、約5500台から約8500台の間をコンスタントに販売。エントリーグレードでも350万円からと決して安い車種ではありません。
しかし、近年ではプリウス同様にブランドが確立してきたことや、法人需要の増加が販売台数を押し上げている要因だといいます。
また、2019年7月、2020年7月の上位車種以外の販売台数を比較すると、2019年7月では公表される50位のほとんどが前年比80%を超える状態を維持していました。
しかし、2020年7月では50位のうち約7割が前年比70%を下回る結果となったのです。この背景について、前述の中古車販売店スタッフは次のように話します。
「これは新車・中古車問わずいえることですが、どちらも新型コロナウイルスの影響が大きいです。出たばかりの新型車や人気車、話題車などは、やはりコンスタントに売れるものですが、それ以外のある程度落ち着いた車種だと、『コロナ禍のいま買わなくても』というのがあるのかもしれません」
※ ※ ※
コロナ禍により2020年4月7日から5月25日に緊急事態宣言が発令・解除されたものの、2020年8月上旬には新規感染者が増加傾向にありました。
今後の国内市場はどうなるのか予想出来ないですが、新型車はある程度売れている以上はまだ最悪の状況下ではないようです。
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