クルマ界には常に新しいアイテムが登場するが、今注目度ナンバーワンと言っていいのが 「ディスプレイオーディオ」だろう。
このディスプレイオーディオは国産、輸入車を問わず昨今のニューモデルに採用が拡大している。
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日進月歩のナビゲーションアプリ(本企画担当編集者はもはやGoogleマップなしでは知らない土地には出かけられない)は大変便利だが、これをカーナビとして使うには、耐久性(車内温度の変化や置き忘れリスク)や操作性(そもそも運転中の音声以外での操作は違法になる)の問題で、スマホやタブレットでのナビゲーションアプリ使用にはハードルが高かった。
しかしこの「ディスプレイオーディオ」はその問題を解決。馴染みのスマホと愛車が繋がることで、操作性の問題を大きく改善している。
ディスプレイオーディオはカーオーディオなの? 既存のカーナビと何が違うの? そんな疑問も含め、ディスプレイオーディオのメリット&デメリット、さらには将来性について解説する。
文:高山正寛/写真:TOYOTA、MITSUBISHI、SUZUKI 、YAHOO、ベストカーWeb編集部
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カーナビ機能を省き、スマホアプリで代用する
ディスプレイオーディオは「DA」とも訳されることが多いが、簡単に言えば既存のAV一体型カーナビゲーションからナビ機能を省き、代わりの昨今人気の「スマホナビ」アプリに代用させるという車載器のことである。
北米や欧州ではスマホの画面をそのまま表示する「ミラーリング機能」を活用したDAはこれまでも存在していたし、市販ではこれに近い商品も国内販売されていた。
2019年9月にフルモデルチェンジしたカローラ/カローラツーリングで日本で販売するトヨタ車で初めてディスプレイオーディオを標準装備
そこに一気に市場を拡大しようと乗り込んできたのがトヨタである。
2019年9月17日に発表された新型カローラにはこのDAを標準装備。
対応するスマホアプリ(一部有償)と連携することでカーナビはもちろん、サブスクリプション(定額制)のミュージックアプリにも対応させるなど好調なスタートダッシュを切ったのは記憶に新しい。
文字どおりディスプレイのあるオーディオなので、見た目は既存のカーナビと同じように見えるが、ナビ機能は持たないのがディスプレイオーディオだ
特にトヨタはこのDAに関して本気であることが後にわかってくる。
大衆車の代名詞であったカローラに搭載することは販売台数が見込めることからも標準装備化は容易に予測できたが、採用自体はせいぜい「Cセグメント」のモデルまでだろうと、たかをくくっていた。
しかし、現実はC-HRや上のクラスであるカムリにまで一部改良時に搭載したことからも明らかだ。
2020年1月の一部改良でアルファード/ヴェルファイアもディスプレイオーディオが標準装備された。ただし上級モデルは従来のナビが標準となる
実際のメリット・デメリットは何か?
DAのメリット、デメリットを具体的に挙げると以下のようになる。
■メリット
(1)ディスプレイ自体は付いているので、対応するスマホ&アプリがあればすぐに使える
(2)メーカーオプション、ディーラーオプション、市販を問わず導入初期のコストが抑えられる
(3)スマホ自体が「通信機器」なので最新のテレマティクス環境を簡単に構築できる
(4)地図更新や機能追加などは基本、ナビアプリ側で行われるのでアップデートや進化のスピードが圧倒的に早い
(5)好みに応じてアプリが選べる
ナビ機能を持たないが、スマートフォンと接続することで好きなナビアプリをカーナビとして使用することができる
■デメリット
(1)使用頻度にもよるが基本ナビなどのアプリを使う際の通信費(パケット代)は自分持ち
(2)ナビの自車位置精度はスマホ任せ。つまりGPSやセンサー類の性能もスマホの能力差が出る。一番顕著なのがトンネル内ではGPSの電波が遮断されるので自車位置表示が停まったままになるケースが多い
(3)すべてではないが、無駄な機能を省きコストダウンを実現させるためにこれまでのCD/DVDプレーヤーが実装されていないケースが多く、意外と販売店でガッカリするお客が多い(クレームまでは行かないが)
(4)UI(ユーザーインターフェース)、言い換えれば使いやすさの点ではまだまだ専用機には敵わない
(5)接続するスマホ自体は熱に弱いので影響を受けない場所に置いておく必要がある
使い勝手の面ではまだまだ既存のナビのほうが上となる。下のクラスだとCD/DVDの再生できないものもある(写真はアルファード)
個人の感覚差もあるが、おおむねこのようなことが挙げられる。
DAのメリットは前述したとおり、初期導入時のコストが抑えられることが大きいが、そもそもカーナビは不要! という人にとっては逆に無駄な装備と捉えられるケースもある。
またデメリットの(1)で書いたが、ナビアプリ自体も有償を選べば月額費用が発生する。
これに関しては無料のアプリを選べばいいだけだが、有償アプリはそのぶん、機能や性能が優れている。ナビタイムジャパンの「カーナビタイム」が好例と言えるだろう。
Apple CarPlayとAndroid Autoはどちらが優れている?
三菱自動車はトヨタよりも早くディスプレイオーディオを標準採用。現在はSUV系モデルに標準またはオプション設定している
基本、スマホ&アプリが無ければカーナビとしては使えないDAだが、スマホのOSごとによって使えるテレマティクス環境は違ってくる。
その代表的なものがAppleの「CarPlay」とGoogleの「Android Auto」である。
それぞれが独自の機能を有しているが、基本DAと接続することでカーナビや音楽、ハンズフリー通話などを使える。
スマートフォンが当たり前となった現在はディスプレイオーディオの利用価値が大きくなっているのも事実
筆者的にはこの両方を使い、日々対応するアプリをチェックしているが、カーナビアプリの選択肢の多さという点では現在は「CarPlay」に軍配が上がる。
理由としてはGoogleマップはどちらも対応しているが、無料アプリとして人気の「Yahoo!カーナビ」、前述した有償の「カーナビタイム」はCarPlayしか使えないのが取材段階での状況だ。
Apple純正の地図アプリは正直カーナビとしては使いづらいが、Googleマップが対応したことで一気に「CarPlay」の評価が向上した。それに追従してYahoo!カーナビなどが対応することで選択の幅が拡がった形になる。
逆にAndroid Autoはまだまだ選択肢が少ない(ナビアプリに関してはほとんど無い)。
理由は簡単でGoogle側がサードパーティ製のナビアプリの利用を開放していないからで、この問題が解決できれば今後はシエア拡大もあるかもしれない。
人気で利用が多いYahoo!カーナビはApple CarPlayにしか対応していない。Googleマップが対応したこともApple CarPlayの評価を高めた要因
注目は新規格とも言える「SDL」
しばらくの間は前述した2つの規格がDAにおけるメインになっていくだろう。しかし今後注目し期待がされるのが新規格である「SDL(スマート・デバイス・リンク」である。
これはトヨタなどの自動車メーカーや保険会社、サプライヤーなどが中心となって作られた「オープン・ソース・プラットフォーム」でメーカーや車種によって機能制限を受けない文字どおり常に最新の機能を使いこなせるものだ。
2019年12月にフルモデルチェンジしたハスラーはSDL、CarPlay、Android Autoのすべてに対応しているのがセールスポイント
トヨタは前述した新型カローラ発表時にこのSDLをDAに標準装備、LINEとの協業で「LINEカーナビ」をまず対応させた。逆に言えば「CarPlay」や「Android Auto」を使うためには3万3000円の追加料金が必要になる。
またスズキの新型ハスラーにメーカーオプションで設定された「メモリーナビゲーション」には「SDL」「CarPlay」「Android Auto」すべてに対応している。
SDL対応アプリはまだ少ないのが現状だが、今後期待できる規格であることは間違いないと考える。
特に万が一の事故時などに既存のテレマティクスサービスとは異なる保険会社や警察&救急への連絡などを可能にするアプリも開発中という情報もある。
新型ハスラーにメーカーオプションで設定されている全方位モニター付きメモリーナビゲーションは今後スズキ車に拡大採用されるはずだ
結局どちらがいい?
個人差もあるが、前述したメリット&デメリットも含め、常に最新の地図が必要(仕事でクルマを使っている人)、スマホで使っているサブスクリプションサービスなどを手軽に使いこなしたい人にはDAをオススメする。
特にこれらは音声認識で基本操作が行える点が大きなメリット。走行中の「ながらスマホ」やディスプレイへの視線移動や操作などを極力減らすのにもDAと対応アプリは役立つ。
冒頭に述べたようにDAは接続するスマホのアプリ次第で能力が向上する。IoTの時代に相応しいユニットであることは間違いないだろう。
スマホのカーナビアプリは使いやすさを含めて大きく進化している。カーナビは高額商品だったが、ディスプレイオーディオの登場でさらに可能性が広がる
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みんなのコメント
首都高などだとトンネル内で分岐なども有るので
位置情報が一旦止まるのは困る
位置情報を割り出すセンサー類の機能は搭載して
上手く連動してくれれば、地図も常に最新式でとても魅力的な物になるのですが...。