日産のEVのルーツ「たま」
EVシフトの減速がメディアで報じられることもある昨今ですが、世界的なカーボンニュートラルトレンドが進んでいく限り、モビリティのゼロエミッション化は避けられないものであり、世界は確実にEVシフトを受け入れ、進めていくであろうというのが中長期的な見方なのは変わりません。
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カーボンニュートラルが求められるのは地球温暖化・気候変動の対策において人間社会ができる有効かつほとんど唯一の方法がCO2排出量削減であるからですが、それとは別の視点でEVのニーズが高まった時代もありました。
それが第二次世界大戦後の日本です。
1945年の終戦からしばらく、日本では占領軍による軍需物資統制が敷かれていました。そのなかには原油も含まれていましたから、深刻な石油不足に陥ることになります。
一方、山の多い日本では水力発電によって電力供給をすることは可能です。そこで小さなモビリティとしてEVが解決策として求められたのです。
その時代に生まれたEVの代表作といえるのが「たま」です。製造したのは「東京電気自動車」で、のちに日産自動車に吸収合併されるプリンス自動車の前身となる会社です。つまり、リーフやアリアなど、日産EVのルーツは「たま」にあるともいえるのです。
多摩地区に工場があったから「たま」という名前にしたというエピソードも微笑ましいところですが、後ろヒンジのドア、丸目ヘッドライト、幅の狭いタイヤといった要素からなる丸っこいフォルムは、令和の感覚でみると可愛いもので新鮮に思えるかもしれません。
性能試験では航続距離96kmを達成
ボディサイズは全長3035mm・全幅1230mm・全高1618mm、ホイールベース2000mmというもので、現在の軽自動車よりも小さな寸法となっています。
ちなみに、日産の軽EV「サクラ」のサイズは全長3395mm・全幅1475mm・全高1655mm。見比べてみると全長はさておき、「たま」の全幅がかなり狭いことがわかります。筆者は「たま」の後席に乗って試乗した経験がありますが、たしかに最新の軽自動車とは比べるべくもないキャビンで、遊園地のアトラクション的な乗りもの感覚だったと記憶しています。
それもそのはず、「たま」の性能は、いまの視点からすると公道を走っていたことが信じられないほど貧弱なのです。
後輪を駆動するモーターの定格出力は3.3kW(約4.5馬力)で、カタログスペックの最高速度は35km/h。バッテリーを有効に使える経済速度は28km/hとなっています。つまり、性能的には50ccエンジンのミニカー相当であったといえるレベルなのです。
カタログスペックでの一充電航続距離は65kmとなっていますが、伝え聞くところによると当時の公的な性能試験において96kmの航続距離を達成したといいますから、その点においては、意外に実用的だったといえそうです。
「たま」が積んでいたバッテリーは、もちろん鉛電池。スペックは40V・162Ahと発表されています。ここからバッテリー総電力量を計算すると約6.48kWhとなります。SAKURAのバッテリーが20kWhですからだいぶ小さいバッテリーであったことがわかります。それでもリアルワールド的なテストで96kmも走ったというのは驚きでしょう。
そして、「たま」のバッテリーが、2Vタイプのユニットを20個積むという設計となっている点は、最新のEVに通じるものがあります。搭載位置が床下であるのも、現在と共通。ある意味、EVの基本パッケージは70年以上前から変わっていないといえるかもしれませんね。
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