ヤリス・シリーズに迫るアクア
執筆:Takahiro Kudo(工藤貴宏)
【画像】日本に向けたアクア/欧州に向けたヤリス【2台を比較】 全130枚
編集:Taro Ueno(上野太朗)
今年7月に初めてのフルモデルチェンジを受けて新型へバトンタッチしたトヨタ「アクア」。
2021年9月の登録車販売台数ランキングでは1万1137台を販売し、「ヤリス」(ハッチバックだけでなく「ヤリス・クロス」や「GRヤリス」まで含む)に約1500台の差まで迫って2位につけるなど、好調なスタートを見せている。
そんなアクアは、プラットフォームからハイブリッドシステムまで全面刷新したメカニズムに関して先だって登場した「ヤリス・ハイブリッド」と共通部分が多く、つまり新型アクアはヤリスとの血の繋がりが濃いモデルだ。
しかし、まったく同じというわけではなく異なる部分もいくつかある。
そこで、アクアとヤリス(この記事において対象となるのはハッチバックのハイブリッドモデル)との違いを整理してみよう。
居住性のアクア、燃費のヤリス
まず異なるのは、車両サイズとパッケージングだ。
アクア:全長4050mm×全幅1695mm×全高1485mm
ヤリス:全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mm
全幅はどちらも同じだが全高はアクアのほうが15mm低い。
そしてもっとも大きな違いは全長で、110mmもアクアのほうが長いのだ。
ホイールベースはアクアの2600mmに対してヤリスは2550mmと、アクアのほうが50mm長い設計となっている。
何を隠そう、このパッケージングの違いこそが両車の差を明確なものとしている。
最大のポイントといえるのは後席居住性で、「ヴィッツ」からの車名変更を伴うフルモデルチェンジで後席が狭くなったヤリスに対して、アクアは新型なって後席スペースが拡大しているのだ。
足元のゆとりと開放感で明確に差がついている。
従来モデルの後席を比較すると「アクア<ヴィッツハイブリッド」だったが、新型は「アクア>ヤリス・ハイブリッド」となり、立場が逆転。
ちなみに先代アクアの後席が狭かった理由は、燃費性能を向上するために室内空間を犠牲にしてまで空力を磨いたからだ。
従来モデルのバイヤーズガイドでは両車を比較すると「アクアは燃費特化タイプで後席が狭い。だからファミリーユースならヴィッツ・ハイブリッドをおススメする」だったが、新型では「実用性を考えると、ヤリスよりも後席が広いアクアのほうがふさわしい」となる。
そんな立ち位置の変化を如実に表している別の要素もある。それは燃費だ。
従来モデルは、先代アクアの燃費はもっともすぐれたグレードでJC08モード値38.0km/L、ヴィッツ・ハイブリッドは同34.4km/Lだった。
一方で新型アクア(もっとも優れるグレードのWLTCモード値)は33.6km/Lで、ヤリスは同36.0km/L。
アクアよりもヤリスのほうが勝っているのである。
すなわち後席居住性同様に、低燃費を突き詰めたクルマとしてのポジションも入れ替わっているというわけだ。
運転環境 「思想」にちがい?
運転環境でも両車の違いを感じることがある。
クルマを運転するたびに動かすことになる操作系、シフトセレクターやパーキングブレーキだ。
まずシフトセレクターは、ヤリスではストレートゲート式でセンターコンソールに置かれている。伝統に忠実なスタイルといっていいだろう。
一方アクアは、軽自動車やミニバンに採用例のインパネ設置型(いわゆるインパネシフト)で、操作自体も操作後のレバーが中立位置に戻って「P」へはボタンで入れる電気式だ。先進性を感じるセレクトといえる。
またパーキングブレーキも異なるタイプ。
ヤリスはセンターコンソールに置くサイドレバー式。対してアクアは足踏み式と、こちらもコンベンショナルなヤリスに対して、アクアは従来のコンパクトハッチバックとは違う感覚で作られていることが理解できる。
ここで伝えたいのは、どちらがいいとか悪いということではなく、思想が異なるということ。
ヤリスがあくまで基本に忠実なのに対し、アクアは従来の考えを踏襲するのではなく新しい感覚を盛り込むことを恐れないクルマ作りになっているのだ。
センターコンソールからシフトレバーやパーキングブレーキを排除したアクアは、センターコンソールを収納部として有効に使えるという価値を手に入れている。
キャラに明らかな違いが生まれたワケ
ところで、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は車速どちらも全車速対応で完全停止まで対応するが、停止後の対応は両車で異なる。
停止するとシステムが解除されるヤリスに対して、アクアは停止保持まで対応。
ドライバーが操作しなくても停止状態を保ち、アクセルを踏むなどドライバーの操作をきっかけに再発進までおこなえる、より高度な機能となっているのだ。
停止保持機能は「電動パーキングブレーキ装着車でないと組み込めない」といわれることも多いがそれは誤解で、電気式シフトレバー採用車であれば停止時にポジションを自動でNにできる(動力をカットできる)ので、アクチュエーターでブレーキをかけることにより停止保持が可能となる。
メカニズムでいえば、乗り心地の質感を高めるためにトヨタのコンパクトカー初となる「スウィングバルブ式ショックアブソーバー」を2WDの「Z」のフロントに採用し、「B」グレードにはトヨタのハイブリッドカーでも初となる「ハイボーラ型」と呼ぶ構造のニッケル水素電池を搭載。
走り、そしてシステムの要となるハイブリッドにも新しいメカニズムを採用するのもアクアの注目すべき特徴なのだ。
そんなアクアとヤリスの中身の違いはどこからくるのか?
それは、クルマは目指した使われ方の違いに尽きるといっていいだろう。
欧州を見据えて開発されたヤリスは、燃費、そして後席居住性よりもコンパクトに感じさせるスタイルなど現地で求められるニーズをしっかり盛り込んだ。
一方、新型から基本的に国内専用車となったアクアは、日本のユーザーにジャストなクルマ作りをおこなったのである。
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みんなのコメント
冷静に考えればみな些細な差異でしかない。
外観デザインや安全機能の差が最も大きいところだがヤリスでも不足はない。