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【スバル・アイサイトの裏事情】なぜ技術で他社先行できる? ぶつからないクルマ スバルにしかない拘りとは?

掲載 更新 7
【スバル・アイサイトの裏事情】なぜ技術で他社先行できる? ぶつからないクルマ スバルにしかない拘りとは?

スバル・イメージ 継承と超・革新

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】新型スバル・レヴォーグ【じっくり見たい】 全118枚

スバルといえば……。

水平対向エンジン、シンメトリカルAWD、WRC(世界ラリー選手権)、雪道走行が得意な生活四駆。

従来のスバルイメージに加えて、最近のスバルといえば、アイサイト。

それが一般常識になっている。

なぜなのか?

アイサイトが世界市場において、高度運転支援技術(ADAS)の分野をリードしてきたからだ。

技術進化に対して、スバルは手を緩めることはなく、周知の通りさらなる進化を遂げた。

今年(2020年)10月15日に日本国内発売が始まる、新型「レヴォーグ」ではスバルが「次世代アイサイト」と呼ぶアイサイトとしてのフルモデルチェンジをおこなう。

ハードウェアとしては、ステレオカメラを刷新し、さらにフロントバンパー両端に周波数帯域77GHzミリ波レーダーを装着。

これにより、交差点での右折対向車では自車速度1km/h~約20km/h、対歩行者では自車速度10km/h~20km/h以下で衝突回避をおこなう。

目の前を横断する自転車についても、自車速度約20km/~60km/hで対応する。

また、電動ブレーキブースターを新採用し、衝突回避の精度をさらに上げた。

こうした、道路環境のどこで、どのような対象物に適合するかは、大前提として世界的な共通認識がある。

それが、JNCAPやユーロNCAPに代表される、アセスメントという考え方だ。

そもそもアセスメントとはなにか?

クルマの性能の基本は、走る・曲がる・止まるの三要素だ。

車両スペックでの性能表記は、エンジン出力・トルク、そして燃費。電動車では満充電での航続距離。乗り心地やハンドリングでは、車体構造や剛性、サスペンションのシステム。

また、インフォテインメントと呼ばれる車内での音響・画像・通信の使い勝手も重要になる。

こうした平時の走行状態での性能とは別に、緊急事態を想定したクルマの性能がある。

衝突など事故に対する、「事故後」と「事故前」の性能だ。

技術的な進化は、「事故後」が先行した。これを衝突安全性能という。衝突してしまった後に、乗員をどのようにして守るか、という観点だ。

具体的には、エアバックや、クラッシャブル(上手く壊れる)を想定した車体構造の設計、ブレーキ性能、シートベルト性能などがある。

衝突安全性能に対して、国など行政機関が主体となる第三者機関が独自に車両を購入し、衝突実験をおこなった結果と評価レベルを一般公開するのがアセスメントだ。

自動車メーカーに対してさらなる技術改善を求め、ユーザーに対してはクルマ選びの手助けとなる。

日本では1995年から各項目で順次、実施されている。

そして近年注目が集まっているのが、「事故前」。予防安全性能だ。

その筆頭にいるのが、スバルのアイサイトである。

大勢は「アセスメントありき」?

ぶつからないクルマ。

スバルが2008年から、テレビCMなどで訴求を始めた、予防安全技術アイサイトの宣伝文句である。

効果てきめんで、「レガシィ」や「インプレッサ」ではオプション設定の枠組みを超え、アイサイト装着グレードが売れ筋となった。

この頃、衝突被害軽減ブレーキは、日本での予防安全技術のアセスメント試験項目ではなかったが、スバルは欧州市場での動向や日本市場の今後を睨み「アイサイトを、スバル車の差別化要因として強化する」戦略を進めた。

時期としては、スバルの北米市場シフトとも重なることから、日本市場でディーラーがスバル車を売れる体制作りを構築する上でも、アイサイトで予防安全技術を先行する必要があった。

予防安全性能が日本でアセスメントの試験項目になったのは2014年度と、まだ日が浅い。

試験項目は、衝突被害軽減ブレーキでは、対車両(2014年度~)、対歩行者・昼間(2016年度~)、対歩行者・夜間・街灯あり(2018年度~)、対歩行者・夜間・街灯なし(2019年度~)。

その他、車線逸脱抑制(2018年度~)、アクセルとブレーキの踏み間違い時加速抑制装置性能(2019年度~)と対象が拡大している。

これらを見てわかるように、自動車メーカー各社はアセスメント対応で予防安全技術の開発が必然となったのだ。

スバルの拘り/優位性どこにある?

ぶつからないクルマの技術開発が盛んになる中、スバルの優位性はどこにあるのか?

アイサイト開発統括者は「実験(担当部)が性能の達成目標を立てること。その評価をもとに設計(担当部)が連携する。さらに、部品サプライヤーでもカメラ製造のティア1はもとより、イメージセンサーや画像認識に直接関係する半導体メーカーとスバルは直接交渉しています」と、他社ではやらないスバルの拘りがあると説明する。

次世代アイサイトでは、ティア1として、これまでの日立オートモティブシステムズ製からスウェーデンのVEONEER製に変更された。ティア2では米オンセミコンダクターと
ザイリンクスとなる。

他銘では、ティア1としては、ドイツ大手のボッシュやコンチネンタル。

画像認識技術では、BMW、GM、ボルボ、日産、マツダが使う、インテル傘下のイスラエル・モービルアイ。

また、メルセデス・ベンツはエヌビディアとのビックデータ事業を含めた総括的な連携を発表したばかりだ。日系では、トヨタ系のデンソーが主流だ。

次世代アイサイトはオプションとして、高速道路での高精度三次元地図との連動を採用している。

スバルはこれからも、ユーザー目線第一で、アイサイトの熟成を進める。

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みんなのコメント

7件
  • センサーの種類や検知・解析能力はトップではないかもしれないが、実際に車の動きとしてアウトプットされる能力や挙動の自然さは、国産車ではスバルがトップだと思う。
  • xですらモービルアイより遅れている
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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