新車購入から28年、アメリカンなスタイルで進化し続ける
新車で購入した愛車をどれだけの期間維持するか? それは人それぞれの思い入れや事情があるため、どれぐらいの年月を乗るのが正しいといったセオリーは存在しません。しかし、1台の車両に対して愛情を注ぎこみ、長く乗り続けるオーナーには、同じクルマ好きとして無条件に尊敬する気持ちがあふれてきます。今回ご紹介する“yockey450motoring”さん(54歳)は、ホンダ「アコード ワゴン」を所有し続けて28年。アメリカのライフスタイルへの憧れが、この1台に集約されているのです。
ホンダ「アコード ワゴン」で90年代懐かしのカスタム! 一世を風靡したホイールとUS仕様パーツでローライダーテイストに
ストリートファッションと音楽とクルマ。それぞれがリンクするアメリカンカルチャーに憧れた
2023年12月3日に福岡県遠賀郡芦屋町にある芦屋海浜公園で開催された「第8回 ストリート インターナショナル in 九州」に参加した“yockey450motoring”さんの愛車は、1995年式のホンダCE1型「アコード ワゴン Vi」だ。ホンダの主要車種として現在は11代目「アコード」が販売されているが、1985年の3代目で「アコードエアロデッキ」と呼ばれる3ドアハッチバックモデルが登場して以降、「アコード」には4代目から8代目までステーションワゴンが設定されていた。
日本では、1980年代後半より2ボックス=ステーションワゴンのブームが発生。スバル「レガシィ」、日産「アベニール」などが驚異的な売り上げを見せ、各社ではさまざまな車種にツーリングワゴンを設定。今では絶滅危惧種といわれるこのボディ形状が、一大ブームを巻き起こしていた時代があったことを忘れないでほしい。
「高校生の頃に音楽に興味を持ち、ブラックミュージックが好きになったのがきっかけでした。当時のプロモーションビデオでアメ車が頻繁に出てきたり、Run-D.M.C.がアディダスとコラボしたり。音楽、ファッション、クルマがつながったアメリカのライフスタイルがカッコイイなと」
“yockey450motoring”さんが選んだこのアコード ワゴンは、ステーションワゴンとしては2世代目となる。アメリカ現地法人が開発生産を担当しており、それが日本へ輸出され国内で正式販売されたモデルだ。さらに、これ以降のワゴンはアメリカで廃止されたことで、日本国内開発へとシフト。つまり、由緒正しいアメリカ生まれの日本車として、ディーラーから新車購入できた最後のモデルであり、それが、アメリカのライフスタイルに憧れる若者にとっては絶好の素材であったことは間違いない。
可能な限りのUSホンダ純正パーツを投入
「新車で購入してノーマルだったのは、最初の3日間だけです(笑)。足まわりから手を入れて、当時からいろいろとリニューアルを繰り返しながら、現在のこのスタイルに辿り着きました。目指しているのは、1990年代後半から2000年代に見られたニューストリートスタイルで、アメリカン目線でのユーロカスタムを意識しています。しかも、各部に現代の最新技術を投入しているので、当時では獲得できなかった低さなども実現しました」
“yockey450motoring”さんが目指す当時のスタイルで、もっとも特徴的なのはホイール。欧州ブランドのメッキが定番だったため、14セットものコレクションを所有している。その中からこの車両には、イタリアのANTERA製の109にクローム加工を施したホイールをセットする。また、マフラーも当時人気だったオーストラリアのREMUS製を選択。アコード用のラインアップが無いため、VW「ゴルフ3」用のUSタイプを輸入して装着している。
車両作りは基本的にDIY
エアサスは、九州の老舗カーショップ「KROOZ CUSTOMS」のCANOVERを使用しつつ、エアサスのシリンダーやアーム、ナックル類を加工することで、稼働速度の向上と低さを実現している。
「15年ぐらいこのスタイルで楽しんでいますが、手に入るUS純正パーツは可能な限り移植してあります。フロントガラス、オートマのシフトパターンなど、細かいところを挙げたらキリがありません(笑)」
しかも、車両作りは基本的にDIY。純粋なプライベーターとして、ほとんどの作業を自ら手がけていることに驚愕だ。
「28年かけてコツコツと仕上げたので、今が完成形に近いです。今後の目標は、今のスタイルを大きく変えることなくしっかりとメンテナンスして、綺麗な状態を継続していくことですね」
若かりし頃にアメリカのライフスタイルに憧れた人はたくさん存在したはず。しかし、それを憧れだけで終わらせずに、自らのライフスタイルとして貫き通す。その心意気があふれ出るアコード ワゴンだった。
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