まさかの駆動輪変更 それがEVなら
同じクルマが外観はほぼそのままに、前輪駆動から後輪駆動に変わることは稀だ。筆者が知る限りでも、1960~70年代にトライアンフ1300/1500がトレド/ドロマイトに移行したときぐらいである。
【画像】ボルボの最新EV「EX30」「XC40リチャージ」【外観/内装をチェック】 全39枚
でもこのときは、縦置きフロントエンジンであることはそのまま、前輪駆動から後輪駆動に切り替えていて、さすがにエンジンを前から後ろに積み替えたりはしていない。
でも電気自動車なら、似たようなことが楽にできる。エンジンよりモーターのほうが、はるかに小型軽量だからだ。ボルボC40リチャージとXC40リチャージは2024年モデルで、それを具現化した。このブランドとしては940/960以来のRWDということになる。
これまで前輪駆動だったのは、エンジン車のXC40がフロントにエンジンを横置きしていたからだろう。しかしAWDは、エンジン車がリアにプロペラシャフトを伸ばす方式だったのに対して、リチャージは多くの電気自動車同様、前後2モーターとした。つまりフロントモーターを取り去れば、簡単にRWDができる。
FWDからRWDへ スペック比較
ではなぜ後輪駆動に切り替えたのか。スペックを見比べると、いろいろなことがわかってきた。
モーターは新たに自社開発したもので、最高出力は従来の231ps/4919-11000rpmから238ps/4000-5000rpm、最大トルクは33.6kgm/0-4919rpmから42.6kgm/1000rpmになった。これまでより低回転大トルク型になったと言える。
一方で駆動用リチウムイオンバッテリーの容量は69kWhから73kWhへ拡大。車両重量は2WD同士で30kg重い2030kgになった。
となると満充電での航続距離は減っていそうだが、WLTCモードでは502kmから590kmに延びていて、電力量消費率は159Wh/kmから143Wh/kmに削減している。
最終減速比を見ると、前輪駆動時代の10.510から8.770と、大幅にハイギアード化されていることにも気づいた。新開発の低回転大トルク型モーターをゆったり回すとともに、大トルクを与えてもホイールスピンなどのロスが少ない後輪駆動にすることで効率を高めたのかもしれない。
実感 「変わったのはすぐわかる」
グレードはXC40/C40ともにプラスとアルティメットで従来と同じだが、これまでAWDだった後者もRWDに統一された。前輪駆動車のAWD化は高性能車におけるトラクション能力確保という側面もあったので、今後XC40/C40リチャージにはAWDの想定はされないかもしれない。
装備は、今回乗ったXC40リチャージ・プラスではホイールのデザインが変わり、エアピュリファイヤーが標準装備化されたぐらいで、これまでとほとんど変わらない。タイヤはフロントが235/50、リアが255/45の19インチだが、調べてみたら前輪駆動時代からこのサイズだった。
フロントフード内のリッド付きの収納スペースも、容量を含めて前輪駆動時代と同じ。内部に補強を入れたためだそうで、前輪の切れ角も変わらない。このあたりはEX30を含めた次世代に期待といったところだろうか。
ただし走り始めれば、駆動輪が変わったことはすぐにわかる。ステアリングがすっと軽く切れるようになり、ノーズの動きも軽快だ。
高速道路ではパワーアシストがやや渋めになって、安定感を出そうとしていることが伝わってきた。
乗り心地は以前乗ったXC40同様、ボルボらしい穏やかなテイストで、この点は以前と大きく変わらないが、路面からのショックを受けたときの感触は、前輪駆動とは少し違うものだった。
新機能オートモードの出来は?
ハンドリングも後輪駆動を意識させるもので、コーナーの立ち上がりでアクセルペダルを踏み込むと、リアを外側に押し出すような感触とともに旋回していく。
前輪に駆動が掛からないので、ステアリングの手応えがしっとりしているところもメリットだ。
ここまで明確に駆動輪の違いによる差が体感できるとは思わなかった。ボルボはもともとハンドリングうんぬんのブランドではないので、過度な演出を行わなかったことが、素直に違いとして現れたのかもしれない。
2024年モデルでは、これまでオン/オフ切り替えだったワンペダルドライブにオートモードが加わったというトピックもある。前方の信号が赤に変わったりすると、回生ブレーキを的確に効かせてスピードを落とし、停止まで導いてくれるものだ。
その作動には唐突感が一切なく、積極的に使いたくなるほどだった。前輪駆動のままでは、ここまで滑らかにできなかった可能性もある。これも後輪駆動にしたことで実現できた制御かもしれないと思った。
航続距離はEVの一面ではあるが…
現在日本で新車で買える電気自動車では、他にもホンダ、テスラ、フォルクスワーゲン、ヒョンデなど、多くのブランドが後輪駆動を選択している。
パッケージングや衝突安全性能で優位というのがまず思いつく要素であるが、今回2024年モデルのXC40リチャージに乗って、他にもメリットがいろいろあることが理解できた。
価格はXC40リチャージ・プラスで639万円から679万円に上がっているが、それだけの価値はあると感じたし、多くの車種で500km以上の航続距離を実現した今、効率以外の部分にも目を向ける時期がきたのではないかと思った。
XC40リチャージ・プラス・シングルモーター
価格:679万円
全長:4440mm
全幅:1875mm
全高:1650mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
航続可能距離:590km
CO2排出量:0g/km
車両重量:2030kg
パワートレイン:交流同期モーター
最高出力:238ps(175kW)/4000-5000rpm
最大トルク:42.6kgm(418Nm)/1000rpm
ギアボックス:1速固定式
乗車定員:5名
駆動方式:後輪駆動
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
【悲報】マジかよ!? ホンダ二輪スポンサーのレプソルが2024年限りで契約解消へ
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント